昨年の新人ドラフトで全体第1指名を受けたのは左腕投手のデイヴィッド・プライスだったが、今年も大学球界No.1と評されているのは左腕投手のようだ。サンディエゴ大学の左腕ブライアン・マトゥスは、90マイル前半の速球、鋭く曲がるスライダー、変化の大きいカーヴボールにチェンジアップと、いずれも水準以上の球種を揃える。投球術も心得ており、2、3年でMLBのローテーション入りできる素材だ。マトゥスと比べると、完成度という点で譲るが、イースタンケンタッキー大学のクリスティアン・フリードリックも上位指名の期待されている左腕投手だ。90マイル前後の速球は平均的だが、大きな変化を見せるカーヴボールと、カットファストボールに似た変化をするスライダーとに高い評価を受けている。右腕投手で第1巡での指名が期待されているのは、まずミズーリ大学の右腕アーロン・クロウ。マトゥスを上回る、最速98マイルの速球を投げる選手で、スライダーの制球が乱れるときがあるものの、速球にチェンジアップを交えて球速に変化をつけて打者を翻弄する。ルイジアナ州テュレイン大学の右腕シューター・ハントは、90マイル前半のフォーシーマーと縦に曲がり落ちるカーヴボールとで、投球回数を上回る三振を奪う。チェンジアップを使って急速に変化をつけられるようになれば、MLB昇格が早まることだろう。カリフォルニア州フレズノ州立大学の右腕タナー・シェッパーズは、今シーズンに入って急成長を遂げ、95マイル前後の速球に、鋭く変化するスライダーには注目が集まっている。もともと遊撃手のため、今後はマウンドで経験を積む必要があるだろう。
第1巡での指名は難しそうだが、上位指名の期待される先発投手を挙げる。カリフォルニア大学の右腕タイスン・ロスは、大学1年のときからローテーションに加わって投げていた。上体を立たせたまま、やや横から腕を振り出す投球フォームが独特だが、わずかに変化する速球とチェンジアップとを組み合わせて、球速の変化で打者を退けるのがうまい。ミシガン大学の右腕ザック・パトナムは、90マイル前半の速球に加えて、スライダー、カーヴボール、スプリッター、チェンジアップと多彩な変化球を投げる。昨年のケープコッドリーグでは指名打者として打棒を振るっているように、強打の外野手としても注目されている。カリフォルニア州ペパーダイン大学の右腕ブレット・ハンターは、春先に肘を傷めて試合を休んでいるが、球速は90マイル前半まで回復している。試合終盤になっても球速が落ちない体力の持ち主で、制球を乱して自分を窮地に追い込む悪い癖が改善されれば、プロでも十分通用するだろう。オハイオ州ケント州立大学の右腕クリス・カーペンターは、大学1年のときにトミー・ジョン手術を受けているが、大学最終年度の今季は最速98マイルまで球速が戻っている。変化の大きなカーヴボールも高い評価を受けており、健康面での懸念をクリアできれば、上位指名確実の素材である。ミシシッピ大学のコンビ、コディ・サッターホワイトとランス・リンとはいずれも上位指名が期待されている右腕投手だ。サッターホワイトは大学2年生まではブルペンにいたが、今シーズンから先発スタッフに加わっている。長い腕から投げ込む速球は95マイル近くを計時、スライダーの変化も素晴らしいが、制球力にやや難がある。リンは、6フィート5インチの長身に体重250パウンドと、がっしりとした体躯の投手。球速は90マイル前後だが、カーヴボール、チェンジアップなどを交えた配球が巧みである。
ジョージア大学の右腕ジョシュア・フィールズは、3年生だった昨年アトランタ・ブレイヴズから第2巡指名を受けている。懸念されていたコントロールの問題も改善され、今や大学球界トップクラスの救援投手との呼び声が高い。球速は前年から5マイル近くも増え、変化球も威力を増している。テキサス州には第1巡指名が期待される救援投手が3人いる。テキサス・クリスティアン大学の右腕アンドルー・カシナーは、常時90マイル後半、最速で98マイルの速球を投げる、大学球界最速の投手だ。現在はクローザーとして投げているが、MLBクラブの中には、先発としての起用を検討しているところもあるようだ。テキサス工科大学の右腕ザック・ステュワートも90マイル後半の速球が注目される。スライダーを覚えた今季はさらに成績が向上し、第1巡指名候補の一人として数えられるようになった。ライス大学の右腕ブライアン・プライスは、球速ではカシナー、ステュワートに譲るものの、鋭い変化を見せるスライダーとの配球に長けている。ただ、今シーズンは、制球に苦しむ場面がしばしば見られたため、第1巡での指名は避けてくるかもしれない。アリゾナ大学の右腕ライアン・ペリーは、ローテーション投手としてもいい素材だが、救援でマウンドに立つときには90マイル後半の速球を投げる。水準以上と評されるスライダーを交えて、プロでは抑え投手として活躍の機会を手にすることだろう。アリゾナ大学のブルペンには、ダニエル・シュリーレスという左腕投手も控えている。2年生だった昨年も、オークランド・アスレティックスからドラフト第8巡で指名を受けているが、トミー・ジョン手術のためにプロ入りを断念した。90マイル前半の速球、縦に落ちるカーヴボール、チェンジアップと球種は揃っており、後は効果的な投球術をマスターすることが課題だ。UCLAの左腕ティム・マーフィは、90マイル前半の速球、カーヴボール、スライダー、チェンジアップと揃えた球種はいずれも水準以上と評価されているものの、腕を大きく振り下ろす投法がコントロールに影響するときがある。
(5/26/08)