08年新人ドラフトプレヴュー 内野手編

今年の新人ドラフトで最も高い評価を受けている野手は、ヴァンダービルト大学の三塁手ペドロ・アルヴァレスだ。今シーズンは手の骨折の影響で出遅れたものの、アマチュア球界トップクラスと言われる打撃への不安は全くない。三塁の守備は可もなく不可もなしといったところだが、契約したティームの事情によっては一塁に移動することもあるだろう。今年の全体第1位指名権を持つタムパベイ・レイズがアルヴァレスの名前を呼べば、大学の先輩で、昨年の全体第1位指名のデイヴィッド・プライスと再会を果たすことになる。アルヴァレスには及ばないものの、アリゾナ州立大学の三塁手ブレット・ウォレスも、大学球界屈指の強打者と評されている。ずんぐりとした体型のために、守備や走塁のときにはぎごちなさが見られるが、動きそのものはさほど悪くはない。しかし打撃を活かすために、プロ入り後は一塁に移動することになりそうだ。ウィチタ州立大学の三塁手コナー・ギレスピーは、昨年夏のケープコッドリーグで活躍、3年生のシーズンでも4割近い打率をマークし続けた。長打力が備わってくれば、MLB昇格の時期も早まることだろう。サウスカロライナ大学の三塁手ジェイムズ・ダーネルは、バットを上からたたきつけるようにして、鋭いラインドライヴを飛ばす打者。まだ荒削りな打撃は今後成長の余地があるが、三塁守備には難があり、プロ入り後は外野に移動することも考えられる。高校生の三塁手はやや人材不足のようだが、ケンタッキー州プレジャーリッジパーク高校のザック・コックスは注目選手として名前が挙がっている。打撃、守備ともにこれからの選手ではあるが、スウィングの鋭さに将来性を感じさせる。

サウスカロライナ大学のジャスティン・スモーク、フロリダ大学のヨンデル・アロンソの二人が、大学球界トップクラスの一塁手と見られている。スモークは、左右の打席から、どの方向にでも長い当たりを飛ばせる強打者で、打撃については今すぐにもMLBで通用するだろうとも言われている。脚力ではやや劣るものの、一塁の守備は無難にこなせる。アロンソとスモークとを比較すると、長打力ではスモークの方が上だが、守備ではアロンソがやや上回るという評価になっているようだ。上体の強さを活かした鋭いスウィングには迫力がある。フットワークは危なっかしいように見えるが、グラヴさばきは意外に軽やかだ。高校生一塁手で上位指名が期待されているのは、フロリダ州アメリカン・ヘリティジ高校の一塁手エリク・ホズマー。打率も長打も期待できる、バランスのとれた打撃に加えて、一塁の守備も抜群に巧い。ロサンジェルス・エンジェルズのケイシィ・コッチマンに似たタイプの選手と評されている。ウェイクフォレスト大学の一塁手アラン・ダイクストラは、打撃面では長打力がついてくるなど成長が著しいものの、課題は守備。三塁を守ることもあるが守備範囲はそれほど広くないので、一塁に固定するのがベストの選択だろう。カリフォルニア大学の一塁手デイヴィッド・クーパーは、当てるのが巧い打者で、好調不調の波が小さい。また、3年生のシーズンでは長打力も備わってきた。

遊撃手ではジョージア州の二人のベッカムへの評価が非常に高い。グリフィン高校の遊撃手ティム・ベッカムは、打撃走塁守備揃った素材と評判だ。まだ18歳なので、今後の成長が楽しみな選手である。ただ最近では、高卒の遊撃手はMLBでは大成しないというが、ベッカムの場合はどうだろうか。ジョージア大学の遊撃手ゴードン・ベッカムは、小柄な体型のために見過ごされやすいが、ときおり外野席に放り込む長打力も発揮する。守備範囲は広いが、肩の強さは平均的なので、二塁手の方が向いているのではないかという声も聞かれる。なお、ティムとゴードンの間には血縁関係はない。ジャスティン・スモーク、ジェイムズ・ダーネルと並ぶサウスカロライナ大学の内野トリオ、遊撃手リース・ヘヴンズは高校時代から注目を集めていた。ボールに当たってからのバットの振り抜きが素早く、内角のボールでも力負けすることがない。脚力がやや劣るために守備範囲は狭いが、捕球、送球ともに堅実な守備を披露する。ヴァンダービルト大学の遊撃手ライアン・フラハーティは、典型的な中距離タイプの左打者だが、3年生のシーズンでは13本塁打を放っている。狭い守備範囲を、肩の強さと堅実な捕球とでカヴァーしているが、プロ入り後は三塁に移動するかもしれない。テキサス州ハワード短期大学の遊撃手タイラー・ラーデンドーフは過去に2度指名された経験を持つ。今シーズンは53試合で打率.542、82打点、16本塁打、31盗塁という驚異的な数字を残している。守備も水準以上と見られているが、やや太めの体型が遊撃手に向いているかどうかという点では評価が分かれている。フロリダ州サラソタ高校のケイシィ・ケリーは、遊撃手に必要な素質は全て備わっている。しかし、90マイル前後の速球と、変化の大きなカーヴボールを評価するクラブも多く、そのうえアメリカンフットボールのクウォーターバックとしても注目されているため、大学進学の可能性もある。ネヴァダ州デュランゴ高校のニコ・バスケスは、長打強肩の遊撃手として知られている。広い守備範囲に、確実な捕球と、守備も優れており、水準をやや下回ると言われるスピード面の課題は十分にカヴァーしている。コネティカット州ソルズベリー・スクールの遊撃手アンソニー・ヒューイットは、変化球への対応にまだ課題を残しながらも、抜群の長打力に高い評価を得ている。打撃を活かして外野に定着させれば、大きく飛躍する可能性のある選手だ。

ジョージア州のベッカム二人は全くの他人だが、マイアミ大学の二塁手ジェマイル・ウィークスは、ミルウォーキー・ブルワーズの二塁手リッキー・ウィークスの実弟だ。兄ほどの長打力はないものの、確実に当てていく打撃と水準以上の脚力とはリードオフマンに向いている。ヴァージニア大学の二塁手デイヴィッド・アダムズは、積極的なプレイを心情とする選手だ。大学1、2年での大活躍から、今シーズンは一転して打撃不振に陥ったため、指名順位は下がるかもしれないが、野球をよく知っている選手という評価は変わらない。
(5/29/08)