東地区
この地区は昨年優勝のフィラデルフィア・フィリーズと、一昨年優勝のニューヨーク・メッツとの争いになる。フィラデルフィアは、ジミー・ロリンズ、チェイス・アトリィ、ライアン・ハワードの三人を中心にした打線は他ティームの脅威である。昨年不調だったブレット・マイアーズが先発に戻って15勝をマークし、新加入のクローザー、ブラッド・リッジが完全な復活を果たせば、連覇の可能性は高い。
片やメッツは、サイ・ヤング賞2回のホアン・サンタナを加えたうえ、サイ・ヤング賞3回のペドロ・マルティネスも開幕からメンバー入りする。ヘルニアの手術を受けたモイセス・アロウを始め、故障のために調整が遅れている選手はいるが、ベストメンバーが揃えば、打力でフィラデルフィアにはひけをとらない。
アトランタ・ブレイヴズの朗報は、この2年間左肘の故障でほとんどマウンドに登れなかったマイク・ハムプトンが復帰すること。これで、右肩を傷めたジョン・スモルツが復帰すれば20勝経験者4人がローテーションに並ぶことになる。問題は、アンドルウ・ジョーンズが抜けて得点力が低下した打線が、どれだけ投手を支えられるかだ。
03年世界一のメンバーが全員いなくなったフロリダ・マーリンズだが、練習試合では好成績を収めている。この春調子の良いホルヘ・カントゥ、マーク・ヘンドリクスン、アンドルー・ミラー、ジョー・ネルスンなど新加入の選手たちがレギュラーシーズンでも活躍すれば、地区の最下位から抜け出せそうだ。
ワシントン・ナショナルズは、復活の期待されたジョン・パタースンが解雇されたが、ヴェテランのオダリス・ペレスが、マット・チコ、ジェイスン・バーグマン、ジョン・ラナンなど経験の少ない先発スタッフの中で柱となる。ブルペンが強力なので、あとは打線の援護が加われば、意外に勝ち星が伸ばせるかもしれない。
中地区
昨年地区優勝を果たしたシカゴ・カブズと、そのカブズと最後までタイトルを争ったミルウォーキー・ブルワーズとが、中地区の優勝候補。カブズ打線はデレク・リー、アラミス・ラミレス、アルフォンソ・ソリアノと、右の長打者は揃っているが、左打者がかなり見劣りする。この春打撃好調なフェリクス・ピエが、シーズンでも活躍できるか。今年からクローザーを任されるケリー・ウッドの投球も注目される。
ミルウォーキーは、昨年新人ながら好成績を収めた右腕ヨバニ・ガヤルドが故障者リスト入り、クリス・キャプアノは左肘の手術を受けることになるらしく、シーズン序盤の先発ローテーションが大きく変更される。しかし、プリンス・フィルダー、ライアン・ブラウンを中心とする打線の得点力で、十分カヴァーできるだろう。
06年世界一から勝率5割未満に成績を落としたセイントルイスは、先発スタッフと外野手とが浮上のかぎを握る。しかし先発ではホエル・ピニェイロ、マット・クレメント、マーク・マルダーが故障者リスト入りと暗い話ばかり。外野では若手のレギュラー争いが熾烈で、中でもルール5ドラフトで来たブライアン・バートンの活躍が目覚ましい。
シンシナティ・レッズはクローザーにフランシスコ・コルデロを獲得して、ブルペンは強化されたが、アーロン・ハラング、ブロンスン・アロヨ以外の先発スタッフがなかなか決まらない。その中で、招待選手から抜擢されるホニ・ケトが注目される。ボルティモアでの2年間で82盗塁をマークしたコリィ・パタースンは定位置を確保できるか。
ヒューストン・アストロズも昨年のナショナルリーグのセーヴ王ホセ・バルベルデを迎えて試合終盤を固めたものの、ロイ・オズウォルト以外の先発スタッフには不安が残る。ランス・バークマン、カルロス・リーに、今年はミゲル・テハダが加わった打線は、この地区では一番の迫力がある。
ピッツバーグ・パイレーツの打線では、06年のナショナルリーグ首位打者フレディ・サンチェスは好調に打っているが、その他には目立った活躍を見せる選手もなく、今年も得点力不足で苦しみそうだ。先発投手ではザック・デューク、ブルペンでは肘の故障から復帰したショーン・バーネットの両左腕の好投が目を引く。
西地区
昨年、93年に創設以来初のリーグ優勝を成し遂げたコロラド・ロッキーズは、西地区2位のワイルドカードから勝ち上がった。しかし、コロラドとワイルドカードを争ったサンディエゴ・パドレス、西地区優勝のアリゾナ・ダイアモンドバックスもいて、ナショナルリーグではこの地区の争いが最も激しくなりそうだ。昨年終盤のコロラドの勢いはすさまじかったが、そうでなければコロラドのシーズン通算勝率はおそらく5割がやっとだったろう。マーク・レドマン、ジョシュ・タワーズを加えた先発スタッフはその勢いを保つことができるか。5人が争っていた二塁手には、新人のジェイスン・ニックスが抜擢される。
アリゾナは昨年15勝の右腕ダン・ヘイレンを加えて、先発スタッフが強化された一方で、ホセ・バルベルデの抜けたクローザーは不安。場合によっては、複数の投手で試合終盤をまかなうことも考えられる。ジャスティン・アプトン、コナー・ジャクスンなど、練習試合では打撃好調な選手が多く、打線の得点力アップは期待できそうだ。
サンディエゴにも昨年のサイ・ヤング賞右腕ジェイク・ピーヴィにクリス・ヤング、グレッグ・マダクスと並ぶ、強力な先発三本柱が揃っている。広い本拠地球場ゆえに打線に長打者が少ないのが泣き所だが、組織内No.1の若手と評判のチェイス・ヘッドリィが左翼に定位置を得て、猛打を揮えるだろうか。
ロサンジェルス・ダジャーズは、ゴールドグラヴの常連で長打力もあるアンドルウ・ジョーンズの加入は大きいものの、ノマー・ガルシアパラ、ジェフ・ケントの両ヴェテランが故障者リスト入りしそうなのは痛い。ブラッド・ペニー、デレク・ロウに続く先発投手争いは熾烈だが、中でも7年ぶりの古巣復帰を目指すパク・チャンホの好投が目を引く。
バリー・ボンズが去って気分一新のサンフランシスコ・ジャイアンツでは、外野の定位置争いが激しくなっている。しかし内野手には怪我人が続出で、今だにレギュラーが定まらない。エースのバリー・ジトが13四球を許して防禦率10点台とひどい不振に陥っている他、投手スタッフも全体的に振るわない。