アリゾナ・ダイアモンドバックス

概観
昨年終盤の激しい首位争いを勝ち抜いたアリゾナ・ダイアモンドバックスは、90勝72敗の成績でナショナルリーグ西地区優勝に輝いた。地区シリーズでは中地区優勝のシカゴ・カブズを3連勝であっさりと退けたが、優勝決定シリーズでは、西地区タイトルを争ったコロラド・ロッキーズの勢いに抗うことができず、4連敗でポストシーズン敗退となった。このオフシーズンにダン・ヘイレンを迎えて、先発スタッフは強化されたものの、クローザーは不在。MLB経験が3年以内という若手の成長が得点力向上のかぎとなるが、この状況でアリゾナは、タイトルを守りきることができるのか。

先発
昨年の先発スタッフからリバン・エルナンデスが抜けたが、オークランド・アスレティックスから右腕ダン・ヘイレンを獲得。昨年前半は10勝3敗、防禦率2.30という好成績で、オールスターゲームで先発も務めた。しかし、後半は5勝6敗、防禦率4.15と、全く別人の投球内容だった。今年はシーズン通して、安定した投球が期待される。しかし、アリゾナには06年のナショナルリーグのサイ・ヤング賞右腕ブランドン・ウェブというエースがいる。昨年8月には、3試合連続完封勝利を含む42イニング連続無失点。シーズン通算でも防禦率3.01と現役屈指の安定度を披露した。今年は自身初の20勝も狙えそうだ。左腕ダグ・デイヴィスは、04年以来4年連続のふたケタ勝利をマーク。勝ち数と負け数とが毎年ほぼ同数になるという不思議な投手で、今年はせめて負け数をひとケタに減らしたい。昨年新人ながら先発ローテーションに抜擢された右腕マイカ・オゥイングズは、春期練習での好投が認められてローテーションに抜擢された。オールスターゲーム以降は3勝しか挙げられなかったものの、防禦率はシーズン前半4.84から3.72と大きく改善されている。高校時代から評判の打撃を見るのも楽しみの一つである。腰の故障で昨年は10試合しか投げられなかった左腕ランディ・ジョンスンが、再起を目指している。通算300勝まであと16勝に迫っているが、春の練習試合では2試合の先発で防禦率8.31と振るわない。過去の実績で先発スタッフに残してもらえるかもしれないが、さもなければエドガル・ゴンサレス、ダスティン・ニッパート、ユスメイロ・ペティトなど、かつてはローテーション入りを大いに期待された右腕投手たちがジョンスンの代役を狙う。ヒューストン・アストロズから獲得したホアン・グティエレスは、アストロズ組織内ではトップクラスの若手と期待され、昨年初めてMLBで投げて1勝1敗、防禦率5.91。カンザスシティ・ロイアルズから来た右腕ビリー・バックナーも昨年8月にMLBデビューを果たしており、ローテーション争いの一角に食い込んでくるかもしれない。
評価:B

救援
昨年47セーヴでタイトルを手にしたホセ・バルベルデをヒューストン・アストロズに譲り渡し、9月にアトランタ・ブレイヴズから獲得したボブ・ウィックマンとは再契約しなかった。今年は新しいクローザーに右腕ブランドン・リオンが起用されるようだ。05年にも抑え役を任された経験のあるリオンだが、そのときにはシーズン序盤に肩を傷めてしまっている。しかし、昨年は自身最多の73試合に登板して防禦率2.68と、右肩の不安はもうなさそうだ。前抑えには、ヒューストンから獲得した右腕チャド・クウォールズが適任。この3年間平均で79試合登板、防禦率3.37と安定した成績を残している。昨年ティーム最多の75試合でマウンドを務めた右腕トニー・ペニャも、クウォールズと並んで試合終盤を締める役割を果たしてくれるはずだ。ホアン・クルスは06年に先発で15試合投げているが、昨年は救援に専念している。長いイニングの投げられる救援投手として、活躍の場面は多い。右腕ブランドン・メダーズはMLB初年度に27試合で防禦率1.78、06年には、60試合でリリーフを務めたが、昨年は不調で6月から3ヶ月間マイナーリーグに送られている。昨年終盤にワシントン・ナショナルズから獲得したエミリアノ・フルトは、昨年のフューチャーズゲームに選ばれている右腕投手。片や左腕はダグ・スレイテンが61試合で防禦率2.72と好投しているが、昨年がMLBデビューだったビル・マーフィの保有権をトロント・ブルージェイズに渡してしまったので、それに続く左腕投手がいない。
評価:D

先発
ブランドン・ウェブ
A
ダン・ヘイレン
(オークランド)
B
ダグ・デイヴィス
B
マイカ・オウィングズ
D
ランディ・ジョンスン
C
エドガル・ゴンサレス
D
ダスティン・ニッパート
D
ユスメイロ・ペティト
D
ホアン・グティエレス
(新人)
E
中抑え
チャド・クウォールズ
(ヒューストン)
C
ホアン・クルス
C
トニー・ペニャ
D
エミリアノ・フルト
(新人)
D
ブランドン・メダーズ
D
ダグ・スレイテン
(新人)
D
抑え
ブランドン・リオン
C

捕手
98年にティームが創設されて以来、アリゾナの捕手は2人から3人が併用されているが、今年は少し様子が変わるかもしれない。昨年最も多くマスクをかぶったクリス・スナイダーは、攻守両面での成長が著しい。昨年の47打点、13本塁打は自己ベストの数字。守りでの動きも以前よりも素早くなっている。マイナーリーグ時代から打撃を高く評価されているミゲル・モンテロは、指の骨折のために調整が遅れている。膝を傷めたために捕手としてのプレイはもう無理だろうと言われていたロビー・ハモックは、見事に復帰。昨年マスクをかぶったのは12試合だけだったが、盗塁を狙った4人のうち3人をアウトにしている。捕手の他に一塁、三塁、外野も守れるので、開幕メンバー入りは堅そうだ。
評価:D

内野手
ヴェテラン二塁手オーランド・ハドスンが、若い内野手たちを引っ張った。03年から5年続けて打率を向上させ、昨年は.294をマーク。得意の守備では、守備範囲は例年よりもずいぶん狭まったものの、それでもMLBの平均以上で、3年連続のゴールドグラヴ賞を授かっている。シーズン終盤に故障でメンバーを離れ、ポストシーズンにも出場できなかったのは残念だった。一塁を守るコナー・ジャクスンは、前年の打率.291、79打点、15本塁打から、.284、60打点、15本塁打と数字を落とした。頼りになるヴェテラン、トニー・クラークがティームを去った後、04年のボストン・レッドソックス世界一の主力選手で、昨年はクリーヴランド・インディアンズでプレイしていたトロット・ニクスンを春期練習に招いている。クラーク同様に、一塁の控えと代打とで働いてもらいたいところだが、練習試合では2割未満の低打率に苦しんでいる。05年の新人ドラフト第1巡指名のスティーヴン・ドルーは、昨年が初めてのフルシーズンだったが、打率.238と全くの不振に終わった。ただ、9月には24試合で.266、15打点を打っており、何とかそのときの感覚で開幕を迎えたいところだろう。正三塁手だったチャド・トレイシーは、5月には脇腹、8月には右膝を傷め、76試合しか出場できなかった。トレイシーに代わって三塁に抜擢されたのは、昨年MLBデビューで打率.279、62打点、17本塁打をマークしたマーク・レノルズ。トレイシーは現在リハビリテイションで、メンバー復帰の時期はまだはっきりとしていないため、レノルズが今年も三塁を守るだろう。トレイシーの長打力は捨て難いが、三塁の守備が不安定なので、復帰後は外野に移動することになりそうだ。内野手として登録されているが、クリス・バーキは捕手以外の全てのポジションを守った経験のある多能選手だ。レギュラーで出場できれば、20個から30個の盗塁を決められる脚力があり、ベンチに控えさせておくのにはやや惜しい気もする。オージー・オヘダも内野ならばどこでもこなせる、貴重な控え選手である。
評価:B

外野手
昨年9月に3年契約を結んだ左翼手エリク・バーンズは、打っては20本塁打、50盗塁をマーク。守備では12人の走者をアウトにして、打撃走塁守備、いずれをとっても素晴らしい活躍だった。レギュラーのほとんどが20代というダイアモンドバックスの中で、32歳バーンズにはティームのまとめ役としての働きも期待される。中堅手のクリス・ヤングも、バーンズと並ぶ俊足長打の外野手で、昨年は32本塁打、27盗塁をマークして、新人賞の候補にも加わった。振り回す打撃と出塁率の低さとを改善できれば、リードオフマンに固定されるだろう。05年の新人ドラフト全体第1位指名のジャスティン・アプトンは、昨年8月2日に19歳の若さでMLB昇格。打っては、打率.221、11打点、2本塁打、守りでは外野手なのに5失策と苦しんだが、ポストシーズン通算で.357をマーク。今年は開幕から右翼手定着が期待されているが、04年8月2日にやはり19歳でMLBに呼ばれたものの、レギュラー確保まで3年もかかった兄B・Jと同じ轍は踏みたくない。ジェフ・サラザーは4人目の外野手としてメンバー入りするだろう。MLBではまだ57試合しか出場経験はないが、得点圏打率.391という勝負強い打撃と、ホームラン性の打球をもむしり取るアクロバティックな守備とで有名になった。アレクス・ロメロは昨年AAA級で.310をマーク。しかし、サラザーと同じ左打者なので、外野手争いでは不利だ。
評価:C

LF
クリス・ヤング
C
SS
スティーヴン・ドルー
C
CF
エリク・バーンズ
B
1B
コナー・ジャクスン
C
3B
マーク・レノルズ
D
RF
ジャスティン・アプトン
D
2B
オーランド・ハドスン
B
C
クリス・スナイダー
D
C
ミゲル・モンテロ
D
C
ロビー・ハモック
D
IF/OF
クリス・バーキ
(ヒューストン)
C
IF
オージー・オヘダ
D
1F
エミリオ・ボニファシオ
(新人)
E
1B/3B
チャド・トレイシー
D
1B/OF
トロット・ニクスン
(招待選手)
C
OF
ジェフ・サラザー
D
OF
アレクス・ロメロ
(新人)
D

監督
シアトル・マリナーズ時代には選手起用で必要以上に気を遣わなければならなかったボブ・メルヴィンは、アリゾナに復帰したことで自分の野球を取り戻すことができたのだろう。前年にティーム史上最悪の111敗を喫したアリゾナの監督に就任したのが05年。最初の2年はいずれも勝率5割にわずかにとどかなかったが、昨年は若手の多いティームをうまくまとめ上げて02年以来のナショナルリーグ西地区優勝に輝いた。その手腕を評価され、シーズン終了後に最優秀監督に選ばれている。
評価:C

期待の若手
昨年のセーヴ王ホセ・バルベルデが去り、アリゾナはまたクローザーを探さなければならない。そこで組織内から候補者を選ぶとなると、まず右腕マックス・シャーザーの名前が挙がる。06年の新人ドラフトで第1巡指名されたが、独立リーグでのプレイを経て、昨年のドラフト直前にプロ入りした。アリゾナ秋季リーグではリリーフ投手として活躍、100マイル近い速球を主体にする投球で、13回を投げて18個の三振を奪った。春期練習での不調でAAA級に配属されたが、この1、2年のうちにMLBのマウンドで投げる機会が必ず訪れるはずだ。