アトランタ・ブレイヴズ

概観
91年から続いていた地区優勝は06年に途絶え、勝率も90年の最下位以来初めて5割を下回った。昨年は4月に16勝9敗の好スタートを切ったものの、シーズン半ばでニューヨーク・メッツにつかまり、8月下旬にはフィラデルフィア・フィリーズにも抜かれてしまった。最終成績はナショナルリーグ東地区3位の84勝78敗。地区タイトルの奪回はならなかった。シーズン終了後に緊縮財政のティーム方針の中で辣腕を振るってきたジョン・シュアホルツが統括の職を退き、一つの時代の終わりが近づいているのを感じずにはいられない。

先発
左腕トム・グラヴィンが6年ぶりにブレイヴになる。アトランタを離れてからは下り坂になるかと思われながら、ニューヨーク・メッツでの5年間で61勝をマーク。昨年8月6日に史上23人目の通算300勝も達成した。開幕を迎える直前に42歳になるが、昨年も200イニング以上投げており、まだしばらくは現役が続けられるだろう。06年に16勝でナショナルリーグ最多勝を分け合った右腕ジョン・スモルツも、昨年5月に40歳になったが、14勝、防禦率3.11とやはり衰えを知らない。ティム・ハドスンは、アトランタに移って3年目でようやく本来の投球を取り戻したように見える。8月までに15勝を挙げ、00年以来の20勝も期待されたが、9月は防禦率3.38と好投しながら1勝3敗と勝ち星に恵まれなかったのは残念だった。このヴェテラン3人に続く左腕チャック・ジェイムズは、06年に新人ながら11勝をマーク。しかし、昨年後半は勝ち星が伸びず、前年と同じ11勝にとどまった。5人目の先発候補には、左肘のトミー・ジョン手術のために、2シーズンをリハビリテイションに費やしているマイク・ハムプトンの復帰が期待されている。先日練習試合でマウンドに登り2回を1安打無失点に抑え、順調に快復しているところを示した。若手では、昨年デトロイト・タイガーズで3勝をマークしている新人右腕ヤイア・ユーリエンスの評価が高い。昨年MLBデビューのジョジョ・レイエスは、11試合先発で打たれた本塁打が9本。奪三振数を上回る四球を与えたが、9月は4先発で2勝負けなし、防禦率3.10と落ち着いてきた。昨年8年ぶりにMLBで勝ち星を挙げると、さらに7勝も積み重ねた右腕バディ・カーライルや、昨年終盤にアトランタに呼ばれ、2試合の先発で1勝1敗、防禦率3.09の右腕ジェフ・ベネットは、ローテーションの谷間や、故障者が出たときのための、臨時先発投手が精一杯だろう。
評価:B

救援
昨年開幕時にはクローザーだったヴェテランのボブ・ウィックマンを8月に放出。ピッツバーグ・パイレーツから獲得した左腕マイク・ゴンザレスはトミー・ジョン手術を受けたため、復帰は6月ごろになると言われている。しかし、右腕ラファエル・ソリアノがいれば、今年の抑え役について心配することはあまりないだろう。シアトル・マリナーズ時代から将来のクローザー候補と言われていたソリアノは、故障の影響で伸び悩んでいた時期もあったものの、昨年自身最多の70試合登板で、防禦率3.00をマークして、ようやく頭角を現し始めた。経験不足がやや心配だが、ティームの期待に応えることができるか。右腕ピーター・モイランは、昨年が初めてのフルシーズンだったが、ティーム内で最も多い80試合に投げて防禦率1.80と好投した。右腕タイラー・イェイツは防禦率5.18ながらも、モイランに次ぐ75試合に登板。右腕チャド・パロントは、昨年2度の故障に苦しんだが、2年続けて防禦率3点台と安定した数字を残している。右腕ブレイン・ボイアーは、この2年間MLBではほとんどマウンドに登っていないが、05年のデビューのときには、43試合で防禦率3.11と好投した。昨年マーク・テイシェイラとともにテキサス・レンジャーズからやって来て、30試合で防禦率2.25と好投したロン・マヘイが抜けたが、シカゴ・カブズ3年間で203試合投げているウィル・オーマンを獲得。左打者に対するワンポイント救援として定着しつつあるロイス・リング、タムパベイ・デヴィルレイズから獲得したジェフ・リッジウェイたちとメンバー入りを争う。
評価:B

先発
ジョン・スモルツ
B
ティム・ハドスン
B
トム・グラヴィン
(メッツ)
B
チャック・ジェイムズ
C
マイク・ハムプトン
(復帰)
D
ヤイア・ユーリエンス
(新人)
D
ジョジョ・レイエス
D
バディ・カーライル
D
ジェフ・ベネット
D
中抑え
ピーター・モイラン
D
タイラー・イエイツ
D
チャド・パロント
D
ウィル・オーマン
(カブズ)
D
マイク・ゴンザレス
C
ロイス・リング
D
ブレイン・ボイアー
D
ジェフ・リッジウェイ
(新人)
E
マニー・アコスタ
(新人)
D
抑え
ラファエル・ソリアノ
C

捕手
ブライアン・マキャンは、打てる捕手としての地位を確立したと言っていい。打率こそ前年の.330から昨年は.270まで下がってはいるが、92打点、18本塁打をマーク。主に5番打者として活躍した。守備の方は相変わらず不安定で、13失策、6捕逸、盗塁阻止率は20パーセントがやっとだったが、投手のリード面では進歩が見られる。マキャンの控えを務める予定だったブラヤン・ペニャは、昨年試合中に脳震盪を起こし、その後遺症に苦しんでいる。ペニャの復帰を待つ一方で、クラブは92年から03年にかけてアトランタの本塁を守ったハビー・ロペスを春期練習に招いた。守備も打撃もかなり衰えたが、昇格前のマキャンを知るヴェテランの加入がいい刺激になるかもしれない。
評価:C

内野手
ティームの中心チパー・ジョーンズは、昨年もひと月ほど故障者リスト入りしたものの、3年ぶりに規定打席に到達。打率.337、108得点、102打点、29本塁打は、欠場があったにしては悪い数字ではなかった。5選手との交換でテキサス・レンジャーズから獲得したマーク・テイシェイラは、アトランタでプレイした54試合を上回る56打点。打率.317、17本塁打を打つ活躍を見せた。ジョーンズ、テイシェイラの両打ちコンビは、今年も大いに打棒を振るうことだろう。ケリー・ジョンスンは、二塁手マーカス・ジャイルズの抜けた穴を見事にカヴァーした。肩の故障のために06年にはMLBでプレイしていないジョンスンだったが、4月に出塁率.473をマークしてリードオフマンに定着。シーズン後半数字を落としたものの、通算出塁率.375、68打点、18本塁打は悪くなかった。遊撃手ラファエル・フルカルに代わったエドガル・レンテリアがデトロイト・タイガーズに去ったが、ユネル・エスコバルなら十分に後継者が務まるはずだ。チパー・ジョーンズがメンバーを離れた6月初めにMLBに呼ばれて三塁を任され、レンテリア欠場時には遊撃手を務めた。昨年打率.326と打撃で活躍したが、マイナーリーグ時代は堅守強肩の内野手と高い評価を受けていた。しかし、春期練習に招かれているブレント・リリブリッジも、組織内で最多の42盗塁を記録した脚力に、強肩も備えた好素材で、今年中にはMLBでプレイする姿が見られるかもしれない。フューチャーズゲームに出場。シカゴから獲得したオマル・インファンテは内野外野をこなせるユーティリティ選手で、昨年活躍したウィリー・ハリスの代役を務める。ジョンスンとの二塁手争いに敗れたマルティン・プラドは、また出番が少なくなりそうだ。
評価:B

外野手
中堅手アンドルウ・ジョーンズがついにティームを去った。ゴールドグラヴ10回、05年にはブレイヴズ史上初めてシーズン50本塁打を放ったスーパースターの後継者を探し出すのは簡単なことではないが、クラブが選んだのは意外にもオークランド・アスレティックスのマーク・コツェイだった。長打力はない代わりに、当てていく打撃と優れた選球眼とは2番打者に向いている。故障続きでやや肩の力は衰えたものの、現役屈指の巧守の中堅手という評価は変わらない。右翼のジェフ・フランクーアは2年連続で全試合に出場し、100打点もマークした。積極的な打撃を身上とするが、投球を見極めて四球を選ぶ場面も多くなり、今後さらなる成長が期待できる。守備では、19人の走者をアウトにした強肩を評価されて初のゴールドグラヴに選出されている。左翼は、昨年.338、45打点、12本塁打を打ったマット・ディアスが最有力候補だが、シーズン終盤に昇格した新人ブランドン・ジョーンズが将来はレギュラーに定着するだろう。昨年はマイナーリーグ2階級合計で打率.295、100打点、19本塁打、17盗塁をマークして、9月16日にMLBデビュー。長打俊足の好素材と高い評価を得ているが、定位置確保にはより守備を安定させる必要がありそうだ。しかし、テイシェイラの加入で一塁の位置を失ったスコット・トーアマンも、長打力では引けをとらない。フロリダ・マーリンズでも定位置を得られなかったジョー・ボーチャードが、招待選手として春期練習に参加している。
評価:C

2B
ケリー・ジョンスン
C
CF
マーク・コツェイ
(オークランド)
C
3B
チパー・ジョーンズ
A
1B
マーク・テイシェイラ
A
C
ブライアン・マキャン
B
RF
ジェフ・フランクーア
B
LF
マット・ディアス
C
SS
ユネル・エスコバル
C
C
ブラヤン・ペニャ
(新人)
D
C
ハビー・ロペス
(招待選手)
D
C
コーキー・ミラー
(招待選手)
D
1B
スコット・トーアマン
D
IF
オマル・インファンテ
D
IF
マルティン・プラド
(新人)
D
IF
ブレント・リリブリッジ
(招待選手)
E
OF
ブランドン・ジョーンズ
(新人)
E
OF
ジョー・ボーチャード
(招待選手)
D
OF
ジョーダン・シャーファー
(招待選手)
E

監督
通算2,255勝、最優秀監督賞選出4回のボビー・コックスは、91年に前年ナショナルリーグ西地区最下位だったアトランタをワールドシリーズ進出へと導き、以後、選手組合のストライキによってシーズンが中断された94年を除いて、05年まで14年連続地区優勝という大記録を打ち立てた。90年途中にコックスがアトランタの監督に就任した後、統括職に就いたのがジョン・シュアホルツだったが、昨年10月にシュアホルツは現場を離れて社長になっている。コックス自身も今年がMLB監督として最後のシーズンになるらしく、二人三脚で築き上げたアトランタの黄金時代に、ついに幕を引くときが訪れる。
評価:A

期待の若手
ハビ・ロペスに代わってマキャン、J・D・ドルーに代わってフランクーア、エドガル・レンテリアに代わってエスコバル。主力選手が抜けても、それをカヴァーする若手が飛び出しているアトランタだが、アンドルウ・ジョーンズの穴を埋める新人は誰になるのか。今年『ベースボール・アメリカ』誌が組織内No.1素材に選んだジョーダン・シャーファーは、05年の新人ドラフト第3巡指名選手。プロ入り当初は打撃が冴えなかったが、昨年Low A級、High A級の2階級合計で打率.312をマークして注目された。強肩俊足で守備範囲は広く、ジョーンズの水準は難しいとしても、ゴールドグラヴを争える中堅手になれる素材である。