概観
昨年のコロラド・ロッキーズの躍進ぶりは見事のひとことに尽きる。9月前半までは首位から6.5ゲームも引き離されてのナショナルリーグ西地区4位だったが、9月16日からティーム史上最長の11連勝。シーズン最終試合でサンディエゴ・パドレスと並ぶと、プレイオフで延長13回裏に2点差を逆転するさよなら勝ちでワイルドカードを決めた。コロラドの勢いは止まらず、地区シリーズ、優勝決定シリーズを無敗で勝ち抜き、何とティーム史上初の優勝決定までの22試合でわずか1敗しかしなかった。そんなコロラドがボストン・レッドソックスから1勝も挙げられずにワールドシリーズ敗退したのにはあきれてしまったが、今年は若手のさらなる成長で世界一を成し遂げたい。
先発
かつて『ベースボール・アメリカ』誌でマイナーリーグ最優秀選手に選ばれたジェフ・フランシスが、昨年ナショナルリーグの左腕投手としては最多の17勝を挙げた。練習試合での調子も上々で、今年はティーム史上初の20勝への期待がかかる。右のエースは、血管の病気から見事に立ち直ったアーロン・クック。このオフシーズンに4年間3,450万ドルの内容で契約更新した。春期練習中に傷めた肩の具合は気にかかるが、今年はフルシーズンを務め上げて、初のふたケタ勝利をマークしてもらいたい。左腕フランクリン・モラレスは、8月中旬にMLBデビューを果たした当初はよく打たれたが、9月に入ると3勝無敗、防禦率2.88と立ち直った。まだMLBでは39イニングしか投げていないので、今年の成績によっては新人賞に選ばれる可能性もある。モラレスの登場でやや影が薄くなったようだが、右腕ウバルド・ヒメネスも素質十分の若手だ。昨年はオールスターゲーム後にローテーションに抜擢されて15試合に先発、4勝4敗、防禦率4.28をマーク。とりわけ地元クアーズ・フィールドでは3勝3敗、防禦率3.81とよく投げている。この4人のローテーション入りはおそらく決まりだろうが、5人目の先発投手には多くのヴェテランと若手とが入り交じった激しい争いが行なわれている。昨年セイントルイス・カーディナルズで7勝17敗、防禦率5.70と全く振るわなかった右腕キップ・ウェルズは、01年から3年連続ふたケタ勝利の実績がある。トロント・ブルージェイズから来た右腕ジョシュ・タワーズは2年連続負け越しだが、05年には13勝。この年208回3分の2を投げて29四球と、制球力には定評がある。昨年後半契約を結んだ左腕マーク・レドマンは、クアーズ・フィールドで3試合に先発して1勝負けなし、防禦率3.77というのが目を引く。若手では、昨年後半故障で欠場した右腕ジェイスン・ハーシュや、100マイルの速球を活かしきれない右腕ホアン・モリヨがいる。春期練習に招かれている左腕ジョン・コロンカは、06年にテキサス・レンジャーズで23試合に先発した経験があるが、昨年は不振で2試合にしか投げられなかった。
評価:C
救援
05年から、左腕ブライアン・フエンテスがコロラドのクローザーとして働いてきたが、昨年はオールスターゲーム直前に肘を痛めて故障者リスト入りした。しかし、フエンテスの代役を務めた右腕マニー・コルパスが、シーズン後半に18セーヴ、防禦率1.54と大活躍。抑え役をコルパスに譲ったフエンテスだが、今度は前抑えに回ると24試合で3勝1敗、防禦率1.52と、こちらも抜群の働きを見せ、強力な二本柱を形成した。シーズン前半はほとんど登板機会のなかった右腕マット・ハージェスもシーズン後半に5勝1敗、防禦率2.47の好成績を収めている。右腕テイラー・ブックホルツは、先発では振るわなかったが、オールスターゲーム以降はブルペンに定着して成功した。右腕ライアン・スパイアは、中抑えとして8月下旬に再昇格し、17試合で3勝無敗、防禦率2.30をマークした。この顔ぶれに加わったのは、まずニューヨーク・ヤンキーズから来た右腕ルイス・ビスカイノ。昨年自己最多の77試合に登板。この6年間で5回も70試合以上でマウンドを務めている、体力のあるリリーヴァーである。デトロイト・タイガーズから来た右腕ホセ・カペヤンには、フューチャーズゲームで披露した豪腕ぶりを今一度見せてもらいたいものだ。フエンテス以外にはブルペンに左腕投手がいないので、先発の経験もあるマイカ・ボウイー、クリス・ジョージ、ジョン・コロンカの中からメンバーが選ばれるだろう。
評価:C
| 先発 |
|
|
|
| ジェフ・フランシス |
左 |
|
B |
| アーロン・クック |
右 |
|
C |
| フランクリン・モラレス |
左 |
(新人) |
D |
| ウバルド・ヒメネス |
右 |
|
D |
| キップ・ウェルズ |
右 |
(セイントルイス) |
D |
| マーク・レドマン |
左 |
|
D |
| ジョシュ・タワーズ |
右 |
(トロント) |
D |
| ジェイスン・ハーシュ |
右 |
|
D |
| ホアン・モリヨ |
右 |
(新人) |
E |
| ジョン・コロンカ |
左 |
(招待選手) |
D |
| 中抑え |
|
|
|
| ブライアン・フエンテス |
左 |
|
C |
| ルイス・ビスカイノ |
右 |
(ヤンキーズ) |
C |
| マット・ハージェス |
右 |
|
C |
| テイラー・ブックホルツ |
右 |
|
D |
| ライアン・スパイア |
右 |
|
D |
| ホセ・カペヤン |
右 |
(デトロイト) |
D |
| マイカ・ボウイー |
左 |
(招待選手) |
D |
| クリス・ジョージ |
左 |
(招待選手) |
D |
| 抑え |
|
|
|
| マニー・コルパス |
右 |
|
C |
捕手
一時はニューヨーク・メッツに移籍が決まっていたヨルビト・トレアルバだったが、結局今年もコロラドで本塁を守ることになった。昨年はMLB昇格以来初めて100試合以上に出場。打率.255は平凡な数字だが、シーズン終盤には勝負強い打撃でティームの初優勝に貢献している。クリス・イアネッタは、昨年の春期練習で高打率をマークして、レギュラー定着かと思われたが、シーズン前半に2割にも満たない打率で、トレアルバの控えに回ることになった。しかし、トレアルバ、イアネッタともに捕球は巧みで、どちらがマスクをかぶっても、投手は安心である。
評価:C
内野手
遊撃手トロイ・トゥロウィツキは、大学の先輩ボビー・クロズビーを完全に超えた。昨年が初めてのフルシーズンだったが、155試合に出場して打率.291、104得点、99打点、24本塁打。守備ではMLBの平均をはるかに上回る広い守備範囲で投手を救った。わずか2ポイントの差でライアン・ブラウンにナショナルリーグ新人賞は譲ったものの、攻守揃った現役屈指の遊撃手と呼ぶのにふさわしい活躍だった。三塁手ギャレット・アトキンズは、シーズン序盤にやや不調だったが、6月以降は全ての月で打率3割以上と持ち直し、2年連続の打率3割、100打点、25本塁打もマークした。97年以来コロラドひと筋のトッド・ヘルトンは、トレードの噂をよそに、10年連続の打率3割以上、91打点で4番打者を見事に務め上げた。デレク・リーにゴールドグラヴ賞は譲ったものの、シーズン2失策と相変わらずの巧守も披露している。ジョー・コシャンスキは06年にAA級で31本塁打、その年にフューチャーズゲームに選ばれてもいる長打者だが、MLBに定着するためには一塁守備を向上させなければならない。マツイ・カズオが抜けた二塁だけはまだレギュラーとなる選手が決まっておらず、3人の若手を含む5人が定位置を争っている。01年の追加第1巡指名ジェイスン・ニックスは、巧打俊足に加えて、AAA級ではトップクラスの守備力と評されている。03年の新人ドラフト第1巡指名のイアン・ステュワートは長打力が魅力。本来のポジションは三塁だが、アトキンズがいるために二塁の守備練習も始めた。オマー・クウィンタニラは、ステュワートと同じ年にオークランド・アスレティックスから追加第1巡指名を受けてプロ入りした。打撃では苦しんでいるが、3年間で犯した失策はわずかに1個と守りは堅い。クリント・バーメスは、05年の開幕試合でトレヴァー・ホフマンから逆転さよなら満塁本塁打を打つという華々しいスタートを切ったが、その後自宅で鎖骨を折ってからは不振が続いている。サンディエゴ・パドレスから放出されたマーカス・ジャイルズは招待選手として春期練習に参加。練習試合では打率3割を維持しており、MLB復帰の可能性は高い。マット・カタもジャイルズと同じ招待選手で、内野外野どこでもこなせる選手である。
評価:B
外野手
ジミー・ロリンズにMVPを譲ったものの、左翼手マット・ホリデイはリーグを代表する強打者に成長した。打率.340、137打点で二冠王。しかし、単に振り回すだけでなく、右翼側に流し打つ技術にも長けている。右翼を守るブラッド・ホープはホリデイに次ぐ116打点、29本塁打。満塁の場面に滅法強く、打率.450、30打点をマークしている。中堅手には昨年ヒューストン・アストロズから来たウィイ・タベラスが入り、ティーム首位の33盗塁を成功させたが、故障も多く97試合の出場にとどまった。05年のシカゴ・ホワイトソックス世界一に貢献したスコット・ポゼドニクが招待選手として春期練習に参加しているが、現在ティーム首位の盗塁数をマークしており、打撃不調のタベラスに代わってリードオフマンに定着するかもしれない。控えの外野手では、ライアン・スピルボーズがシーズン終盤にタベラス欠場の穴をよく埋めた。脚力のあるコリィ・サリヴァン、強打のジェフ・ベイカーの他に、大学時代にはスーパーボウルを制覇したニューヨーク・ジャイアンツのクウォーターバック、イーライ・マニングの控えを務めていたセス・スミスは、強肩でMLB定着を目指している。
評価:B
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CF
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ウィイ・タベラス |
右
|
|
C
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|
SS
|
トロイ・トゥロウィツキ |
右
|
|
B
|
|
LF
|
マット・ホリデイ |
右
|
|
A
|
|
1B
|
トッド・ヘルトン |
左
|
|
A
|
|
3B
|
ギャレット・アトキンズ |
右
|
|
B
|
|
RF
|
ブラッド・ホープ |
左
|
|
B
|
|
2B
|
ジェイスン・ニックス |
右
|
(新人) |
E
|
|
C
|
ヨルビト・トレアルバ |
右
|
|
D
|
|
|
|
|
|
|
|
C
|
クリス・イアネッタ |
右
|
|
D
|
|
IF
|
イアン・ステュワート |
左
|
(新人) |
E
|
|
IF
|
オマー・クウィンタニラ |
左
|
|
D
|
|
IF
|
クリント・バーメス |
右
|
|
D
|
|
1B
|
ジョー・コシャンスキ |
左
|
(新人) |
E
|
|
IF
|
マーカス・ジャイルズ |
右
|
(招待選手) |
C
|
|
IF/OF
|
マット・カタ |
両
|
(招待選手) |
D
|
|
OF
|
ライアン・スピルボーズ |
右
|
|
D
|
|
OF
|
コリィ・サリヴァン |
右
|
|
D
|
|
OF
|
ジェフ・ベイカー |
右
|
|
D
|
|
OF
|
セス・スミス |
左
|
(新人) |
E
|
|
OF
|
スコット・ポゼドニク |
左
|
(招待選手) |
C
|
監督
クリント・ハードルは02年途中に前任のバディ・ベルを引き継いで以来、昨年まで6年近くコロラドで指揮を執っている。折しもクラブが若手育成の方針に切り替えた時期で、05年にはティーム創設の95年以来という最低勝率まで沈んだが、若手を鍛え上げて昨年は見事にナショナルリーグ優勝を成し遂げた。しかし最優秀監督の投票では、西地区優勝のボブ・メルヴィン、東地区優勝のチャーリー・マヌエルに続いての得票数第3位に終わったというのは、この6年間の努力を考えると少々気の毒な気もする。
評価:A
期待の若手
若手主体のティーム作りが図に当たって、コロラドの主力はほとんどが生え抜きの選手である。中でもマット・ホリデイやギャレット・アトキンズやブラッド・ホープのように、新人ドラフト上位指名ではなかった選手の成長が目覚ましいが、右腕投手ブランドン・ハイニックもまた同じような期待がかかっている。06年のドラフトでは第8巡の指名だったハイニックは、昨年High A級で16勝5敗、防禦率2.52と急成長。速球も変化球も目を見張るものではないが、抜群の制球力と、配球の巧みさとが成功のかぎだと言う。現在はマイナーリーグで練習しているが、早ければ今年中にMLBに呼ばれるのではないかと関係者は見ている。