概観
シカゴ・ホワイトソックスは、05年の86年ぶりの世界一からわずか2年でティームが崩壊してしまった。72勝90敗の成績はアメリカンリーグ中地区4位。99年以来の勝率5割未満、89年以来のシーズン90敗という惨状だった。ティーム総得点が700点に届かなかったのはアメリカンリーグではホワイトソックスだけ。防禦率4.77もリーグ12位と、投打ともに大掛かりな建て直しが必要とされている。しかし、それでもティームの浮上が見られないようであれば、監督オジー・ギエンと、統括ケニー・ウィリアムズとのいずれか、あるいは二人とも解任という事態も起こりうるシーズンである。
先発
フレディ・ガルシアを放出して、若手をローテーションに抜擢するという目論見は、完全な失敗に終わった。左腕ジョン・ダンクス、右腕ギャヴィン・フロイドの二人で36試合に先発したが、7勝18敗、防御率5.43と振るわず。しかも、今年は6年連続ふたケタ勝利を挙げているジョン・ガーランドも抜けたので、ダンクス、フロイドの成長を期待しつつ、新たな若手のデビューが待たなければならない。05年の新人ドラフト第1巡指名を受けた右腕ランス・ブロードウェイは、昨年9月7日にMLBデビュー。リリーフで3試合投げた後、9月27日には6回無失点、8奪三振の内容で初勝利をマークした。ローテーション入り候補の一人と考えていいだろう。今年がMLB3年目になるチャーリー・ヘーガー、ニール・マセトの両右腕は、先発で投げた経験がそれぞれ1試合あるが、春期練習でよほど目覚ましい活躍を見せない限り、ローテーションに加えられる可能性は薄い。毎年のようにトレードの噂が立てられるハビエル・バスケスは、モントリオール・エクスポズ時代の01年に16勝を挙げて以来の15勝をマーク。防禦率3.74に、4年ぶりの200奪三振と、右のエースとしてゆるがぬ地位を築いたことだろう。一方左のエース、マーク・バーリは昨年4月18日のテキサス・レンジャーズとの試合でノーヒッターを達成したが、7回を3点以内に抑えながら勝てなかった試合が8試合もある不運に見舞われ、防禦率3.63と好投しながら、01年以来最低の10勝しか挙げられなかった。04年途中からホワイトソックスで投げている右腕ホセ・コントレラスは3年連続で成績を落とし、昨年は10勝17敗、防禦率5.57まで沈んでしまった。昨年9月に3勝1敗、防禦率3.54とやや立ち直りを見せたが、果たして完全な復活は果たされるのであろうか。
評価:C
救援
クローザーの右腕ボビー・ジェンクスが、2年連続の40セーヴ以上、防禦率は06年の4.00から2.77と大きく向上している。奪三振数が減った代わりに、四球数も半分以上まで減らしており、より安定感のある抑えに成長した。今年のホワイトソックスには、そのジェンクスを支えるべき前抑えが二人も加わっている。オクタビオ・ドテルは、ここ3年間クローザーで投げることが多いがとても成功しているとは言い難い。セットアッパーとして6勝4敗6セーヴ、防禦率1.85、118奪三振をマークした02年の再現こそが期待される。ミルウォーキー・ブルワーズから来たスコット・ラインブリンクも、4年連続で70試合以上にマウンドを務めている体力抜群の救援投手だ。マイク・マクドゥガルが防禦率6.80と大きく崩れ、カンザスシティ・ロイアルズ時代にはマクドゥガルとクローザー役を争ったライアン・バクヴィチも5点台の防禦率と振るわず放出された。むしろ、昨年がMLB初年度だったエーレン・ワッサーマンが33試合で防禦率2.74をマークしたのが目を引くくらいだった右腕の救援が、これで大きく改善された。左腕は、昨年ともに68試合に登板したマット・ソーントン、ブーン・ローガンがいるが、5点近い防禦率が気にかかる。故障と制球難とに苦しむアンドルー・シスコが、投球回数を上回る三振を奪い、防禦率3.11をマークした05年の投球を取り戻してくれると、投手のやりくりがしやすくなるだろう。
評価:C
| 先発 |
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| ハビエル・バスケス |
右
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|
B
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| マーク・バーリ |
左
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|
B
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| ホセ・コントレラス |
右
|
|
C
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| ジョン・ダンクス |
左
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|
D
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| ギャヴィン・フロイド |
右
|
|
D
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| ランス・ブロードウェイ |
右
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(新人) |
E
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| チャーリー・ヘーガー |
右
|
(新人) |
D
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| ニール・マセト |
右
|
(新人) |
D
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| ジャック・エグバート |
右
|
(新人) |
E
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| 中抑え |
|
|
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| オクタビオ・ドテル |
右
|
(アトランタ) |
D
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| スコット・ラインブリンク |
右
|
(ミルウォーキー) |
C
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| マイク・マクドゥガル |
右
|
|
D
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| マット・ソーントン |
右
|
|
D
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| ブーン・ローガン |
右
|
|
D
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| アンドルー・シスコ |
右
|
|
D
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| エーレン・ワッサーマン |
右
|
(新人) |
E
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| 抑え |
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|
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| ボビー・ジェンクス |
右
|
|
B
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捕手
正捕手のA・J・ピアジンスキは、打撃はいいが守備の方はあまり期待できない。盗塁阻止率は4年連続で25パーセント未満、捕逸14回という数字ではとても安心して見てはいられまい。しかし、昨年はピアジンスキのバックアップとして獲得したトビー・ホールが故障で働けなかったということもあった。ホールは昨年春の練習試合で、守備中に右肩を脱臼。その影響で、出場できたのは38試合だけにとどまり、攻守ともに冴えない一年だった。ホールが開幕から元気でプレイできる今年は、ピアジンスキにかかる負担はかなり軽減されるはずである。
評価:C
内野手
05年世界一のときには優勝決定シリーズでMVPに輝いたポール・コナーコは、昨年打率.259、90打点、31本塁打。しかし、ベストで110打点、40本塁打を超える実績を持つ強打者としては、この数字には大いに不満の残るところだ。オフシーズン中には、ロサンジェルス・エンジェルズとのトレード話もあったらしく、今後の去就が注目されている。三塁のジョー・クリーディは、06年に自己ベストの打率.284、94打点、30本塁打をマークしたものの、腰の手術のため、昨年はシーズンの大部分を欠場しなければならなかった。代わって三塁を守った新人のジョシュ・フィールズは、100試合の出場で67打点、23本塁打を打った。しかし、堅守のクリーディに比べると、フィールズの守りには穴が多く、今季クリーディが完全に復調することになると、フィールズは外野に移動することになるだろう。シカゴに来てから長打者に変貌したホアン・ウリベなのだが、打率は下がる一方で、昨年は01年にMLB昇格以来最低の.234しか打てなかった。そこで、ロサンジェルス・エンジェルズから巧打巧守の遊撃手オルランド・カブレラを獲得した。昨年は自身初の打率3割をマーク。守備では2度目のゴールドグラヴに選ばれている。シーズン途中にイグチ・タダヒトを放出した後は、二塁に新人のダニー・リッカーが起用された。打撃では.230と振るわなかったが、56試合で3失策という堅い守備は評価されている。春期練習では、遊撃の定位置を奪われたウリベの他、クバから亡命してきたアレクセイ・ラミレスも高い評価を受けており、春期練習での定位置争いがおもしろくなってきた。パブロ・オスナは走塁中に右足首を折ったため6月以降を全休したが、内野外野全ての位置をこなせる多能選手の出番が減ることはないだろう。
評価:C
外野手
コナーコ同様に、昨シーズン中にはトレードの噂もあったジャメイン・ダイは一応ティームに残ることになった。06年には打率.315、120打点、44本塁打で、MVP得票第5位になったが、昨年は.254、78打点、28本塁打という、信じられないほどの落ち込みようだった。しかし、ゴールドグラヴ受賞経験がある右翼の守備には衰えが見られない。05年世界一のときには大活躍だったスコット・ポゼドニク、昨年ロサンジェルス・エンジェルズから獲得したダリン・アースタッドは、いずれも故障で100試合未満の出場に終わった。クラブはこの2人と契約更新を行なわず、トレードで代わりの人材を補強している。中堅手にはオークランド・アスレティックスから両打ちのニック・スウィシャーを獲得。過去3年間で78本塁打と長打力を備えているだけでなく、オークランド組織の出身らしく選球眼に優れた選手なのだが、その割に打率が低く、中軸を任せるには物足りないところがある。スウィシャーの加入により、昨年中盤からリードオフマンを務め、32盗塁をマークしたジェリー・オウェンズは控えに回る。左翼にはアリゾナ・ダイアモンドバックスでレギュラー確保が期待されていたカルロス・クウェンティンが入る予定。一方、06年には134試合に出場した経験のあるブライアン・アンダースンは打撃での不振が続いており、MLB定着さえも危うくなっている。
評価:C
指名打者
昨年9月16日に、ジム・トーミは史上23人目の通算500本塁打を達成した。しかし、シーズン序盤に肋骨を傷めるなどして約一ヶ月欠場したため、シーズン通算成績は打率.275、96打点、35本塁打。故障で長期欠場した05年を除くと、98年以来9年ぶりに打点が100を下回っている。とは言うもの、体調万全であれば、100打点、40本塁打は確実な長打者であることには変わりはない。なお、今季のトーミは、通算2,000安打まであと75本、1,500四球まであと51個、1,500打点まであと102点に迫っている。
評価:B
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SS
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オルランド・カブレラ |
右
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(エンジェルズ) |
B
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CF
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ニック・スウィシャー |
両
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(オークランド) |
C
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1B
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ポール・コナーコ |
右
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|
B
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DH
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ジム・トーミ |
左
|
|
B
|
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RF
|
ジャメイン・ダイ |
右
|
|
B
|
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3B
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ジョー・クリーディ |
右
|
|
C
|
|
C
|
A・J・ピアジンスキ |
左
|
|
C
|
|
LF
|
カルロス・クウェンティン |
右
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(アリゾナ) |
D
|
|
2B
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ダニー・リッカー |
左
|
|
D
|
|
|
|
|
|
|
|
C
|
トビー・ホール |
右
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|
D
|
|
IF
|
ホアン・ウリベ |
右
|
|
C
|
|
IF
|
パブロ・オスナ |
右
|
|
D
|
|
IF
|
アレクセイ・ラミレス |
右
|
(新人) |
E
|
|
3B
|
ジョシュ・フィールズ |
右
|
|
D
|
|
OF
|
ジェリー・オウェンズ |
左
|
|
D
|
|
OF
|
ブライアン・アンダースン |
右
|
|
D
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
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監督
オジー・ギエンの好みは、バントやヒットエンドランや盗塁を多用して、先の塁を奪うという野球だと思うのだが、ホワイトソックスの本拠地US・セルラー・フィ−ルドが長打の出やすい球場だからなのか、どうもしっくりいっていないような感じがする。脚力のあるスコット・ポゼドニクやダリン・アースタッドが働けなかった昨年は、なおさらそのように思われた。ギエンはまた、現代MLBでも指折りの口の悪さで知られる監督である。しかし、MLB機構が推進する薬物検査プログラムで、ラテンアメリカ出身選手ばかりから陽性反応が出ている状況を憂いて、啓発活動のためのイスパニア語ヴィデオ制作を呼びかけたのは、近ごろ珍しい美談のひとつであった。
評価:B
期待の若手
ジャック・エグバートは、04年の新人ドラフトでは第14位という低い順位での指名を受けてプロ入りした右腕投手だが、昨年はAA級で12勝8敗、防禦率3.06、166奪三振という安定した投球を披露した。投球を低めに集めるコントロールを備えており、マイナーリーグ通算529イニングを投げて、打たれた本塁打が12本しかない。春期練習では、昨年ローテーションに抜擢されたジョン・ダンクスやギャヴィン・フロイドや、シーズン終盤にMLBに呼ばれたランス・ブロードウェイとローテーション入りを争う。