フロリダ・マーリンズ

概観
昨年71勝91敗でナショナルリーグ東地区5位のフロリダ・マーリンズは、このオフシーズンにも毎年恒例のガレージセールを挙行した。ミゲル・カブレラ、ドントレル・ウィリスをデトロイト・タイガーズに放出して、03年世界一の主力選手は全てティームを去った。代わりにやって来たアンドルー・ミラー、キャメロン・メイビンはいずれもトップクラスの素材だが、06年には4人がふたケタ勝利、3人が20本塁打以上と新人選手の活躍が目を引いたものの、昨年はハンレイ・ラミレス以外は不振や故障に苦しめられた。新加入のルイス・ゴンザレスがうまくティームをまとめて行ってくれると、若い選手たちもプレイしやすくなりそうだ。

先発
03年新人賞、05年の最多勝ドントレル・ウィリスがいなくなり、フロリダの投手スタッフからエースが消えた。また、06年にふたケタ勝利をマークした新人4人のうち、昨年も10勝以上をマークできたのは、10勝15敗、防禦率5.81の成績だった左腕スコット・オルセンだけ。ジョシュ・ジョンスン、アニバル・サンチェス、リッキィ・ノラスコの右腕3人はいずれも故障に苦しみ、合計で3勝しか挙げられなかった。この故障者たちに代わってローテーション入りした右腕セルジオ・マイターは、ウィリス、オルセンに次ぐ27試合に先発を務めたが、勝ち星に恵まれず5勝8敗、防禦率4.65と振るわなかった。今年はここに、昨年のフューチャーズゲームで世界選抜の先発を務めた右腕リック・ヴァンデンハーク、デトロイト・タイガーズから獲得した左腕アンドルー・ミラー、ロサンジェルス・ダジャーズから来たヴェテラン左腕マーク・ヘンドリクスンが加わり、ローテーションの5人の争いはいっそう厳しくなっている。ヴァンデンハークは95マイルの速球と変化球の組み合わせが巧みな投手で、昨年は4勝6敗、防禦率6.83の成績だった。06年の新人ドラフトで第1巡指名を受けてプロ入りしたミラーも昨年MLBデビューを果たし、5勝5敗、防禦率5.63。ヘンドリクスンは、タムパベイ・デヴィルレイズ時代に2年間で21勝をマークしたことがあるが、ダジャーズに移ってからの1年半は、スウィングマンとして起用されることが多かった。タムパベイと言えば、将来ローテーション入りを期待されていた右腕ダグ・ウェクターが、春期練習に招かれている。長打を浴びやすい悪い癖を改善して、MLB復帰を果たせるだろうか。
評価:D

救援
故障者続出でほとんど総崩れになってしまった先発スタッフと比べると、フロリダのブルペンはそれほど悪くない。右腕ケヴィン・グレッグが予想外の働きで32セーヴをマーク、クローザーとしてシーズンを全うした。防禦率3.54はやや高いものの、04年にMLBに定着してからは初めての3点台の防禦率だった。開幕前にはクローザー定着が期待されていた左腕テイラー・タンカーズリィは2度の故障でシ−ズン前半は不調。しかし、オールスターゲーム以降は35試合で防禦率1.48、24回3分の1を投げて33奪三振と好投した。タンカーズリィと同じく、昨年がMLB2年目だったレニエル・ピントも投球回数とほぼ同数の三振を奪う投球だった。右腕では、新人マット・リンドストロムが71試合で防禦率3.09、02年からの5年間で17試合しか投げたことのなかったリー・ガードナーが、62試合に救援して防禦率1.94、この2年間ほとんどMLBのマウンドから離れていたジャスティン・ミラーが62試合で防禦率3.09をそれぞれマークしている。昨年は故障でシーズンの大半を欠場したローガン・ケンジングも、9月に復帰してから9試合で3勝、防禦率1.35の数字を残しており、順調な快復ぶりを示した。一方、シーズン序盤に抑えでも好投していたヘンリー・オウェンズは、右肩の故障のためにメンバー復帰が遅れそうだ。この他にメンバー入りが期待されているのは、アルベイ・ガルシア、ロス・ウルフの両新人右腕に、デトロイトからやってきた右腕エウリヒオ・デラクルス。春期練習に招かれている05年の新人ドラフト第1巡指名トリオ、右腕クリス・ヴォルスタッド、ライアン・タッカーに左腕アーロン・トムプスンや、06年に第1巡指名を受けてプロ入りした右腕ブレット・シンクバイルなど、この中からどれだけの選手がMLB昇格のチャンスを手にするかが楽しみである。
評価:D

先発
スコット・オルセン
C
アンドルー・ミラー
(デトロイト)
D
セルジオ・マイター
D
マーク・ヘンドリクスン
(ダジャーズ)
C
ジョシュ・ジョンスン
D
アニバル・サンチェス
D
リッキー・ノラスコ
D
リック・ヴァンデンハーク
D
ダグ・ウェクター
(招待選手)
D
中抑え
テイラー・タンカーズリィ
D
マット・リンドストロム
D
ジャスティン・ミラー
D
レニエル・ピント
D
リー・ガードナー
D
ローガン・ケンジング
D
ヘンリー・オウェンズ
(新人)
E
アルベイ・ガルシア
(新人)
E
ロス・ウルフ
(新人)
E
抑え
ケヴィン・グレッグ
C

捕手
この2年間の正捕手だったミゲル・オリボはカンザスシティ・ロイアルズと契約して、ティームを去った。今年はデトロイト・タイガーズから獲得した両打ちのマイク・ラベロとヴェテランの右打ちマット・トリーナーとが併用される。巧守の捕手と評されてきたラベロは、昨年はイバン・ロドリゲスの控えで51試合に出場して打率.256を打ち、打撃面でもまずまずの活躍を披露している。トリーナーは04年にMLB昇格以来、常に第2捕手としてプレイしてきた。昨年は守備が冴えなかったものの、打率.269、19打点、4本塁打は自身ベストの数字をマークしている。
評価:D

内野手
03年世界一を支えたミゲル・カブレラが去り、レギュラー3年目のハンレイ・ラミレスが内野の中心になる。06年の新人賞から、昨年は打率.332、125得点、81打点、29本塁打、51盗塁とさらに成長した。ラミレスとは反対に、レギュラー2年目の昨年、数字を落としてしまったのが二塁のダン・アグラである。ティーム2位の31本塁打を打ったものの、その分打撃が粗くなったか、打率は4分も低下、三振が40個以上も増えてしまった。それにしても、打率3割、100打点、30本塁打は確実にマークできたカブレラの代役はそう簡単に見つかるものではない。フロリダが期待するのは、ロサンジェルス・エンジェルズ・オヴ・アナハイム組織内では、将来の正三塁手と評されていたダラス・マクファースンである。足腰の故障に悩まされて、昨年はとうとうシーズン全休を強いられたが、04年にマイナーリーグ2階級合計で.313、126打点、40本塁打をマークした打撃を取り戻してもらいたい。マクファースンの他には、ピッツバーグ・パイレーツでは主に二塁を守っていたホセ・カスティヨと契約。タムパベイ・デヴィルレイズに在籍していた05年に打率.286、117打点、28本塁打をマークした経験があるホルヘ・カントゥを春期練習に招いている。一塁には長打力はあるものの、故障がちの左打者マイク・ジェイコブズが入る。デビューの年だった05年に100打数で11本塁打という長打力は、まだ十二分には発揮されていないだろう。ロバート・アンディノは二塁と遊撃との控えでメンバー入りする予定。外野を守ることが多くなったアルフレド・アメサガは、内野の全ポジションをこなせる。
評価:D

外野手
昨年はカブレラの119打点に次ぐ89打点をマークした左翼手のジョシュ・ウィリンガムが4番を打つことになるだろう。昨年は100打点、25本塁打のペースで打っていたが、9月に入って調子を落としたのが残念だった。外野手の経験が少ないため、守備範囲が狭いのが欠点。組織内屈指の素材と期待されながら、故障でMLB定着が遅れていたジェレミー・ハーミダは、昨年やっと右翼の定位置を確保できた。とは言うものの、打率.296、63打点、18本塁打では、満足できる数字とはとても言い難い。ハーミダ以上に関係者やファンが大いに期待を寄せているのは、デトロイト組織内No.1野手と評判のキャメロン・メイビン。昨年8月にデビューを果たし、24試合で打率.143の成績だった。ホアン・ピアが抜けてから人材を欠いている中堅手の最有力候補と見られている。06年に主に中堅を守ったアルフレド・アメサガは、内野外野どこでもこなせる俊足巧打のスウィッチヒッター。こういう選手にはベンチに控えてもらって、いざというときに力を発揮してもらった方がいいだろう。コディ・ロスは故障の多い選手だが、昨年は66試合の出場ながら、打率.335、39打点、12本塁打の好成績をマークしている。昨年の春期練習での活躍が認められて、開幕試合で先発に抜擢されたアレハンドロ・デアサは、9試合で.303を打ちながら、右足首のねんざでメンバーを離れた。8月に復帰してからは打撃不振に苦しみ、今年はまた一から出直しである。今年9月に41歳になるヴェテランのルイス・ゴンザレスと春期練習直前に1年契約を結んだ。現役の大部分を左翼手としてプレイしてきたゴンザレスだが、フロリダでは試合終盤の代打で出場することが多くなる。もちろん、若い選手が多いティームのリーダー役も期待されているはずだ。
評価:D

CF
キャメロン・メイビン
(新人、デトロイト)
E
2B
ダン・アグラ
C
SS
ハンレイ・ラミレス
B
LF
ジョシュ・ウィリンガム
C
RF
ジェレミー・ハーミダ
C
3B
ダラス・マクファースン
(エンジェルズ)
D
1B
マイク・ジェイコブズ
C
C
マイク・ラベロ
(デトロイト)
D
C
マット・トリーナー
D
IF
ロバート・アンディノ
D
IF
ホセ・カスティヨ
C
IF
ホルヘ・カントゥ
(招待選手)
D
1B
ジェイスン・ウッド
(招待選手)
D
OF
アルフレド・アメサガ
C
OF
アレハンドロ・デアサ
D
OF
ルイス・ゴンザレス
(ダジャーズ)
C
OF
コディ・ロス
D
OF
アレクシス・ゴメス
(招待選手)
D

監督
オウナーのジェフリィ・ロリアに嫌われてジョー・ジラーディは監督の座を追われ、フレディ・ゴンサレスが後任に選ばれた。マイナーリーグで10年間監督を務め、アトランタ・ブレイヴズでのコーチ経験もあるゴンサレスであっても、故障者続出で先発総崩れでは手の打ちようもなかったようだ。そのうえ今年は、エースと4番打者とを同時に取り上げられてしまった。マイナーリーグでの長い指導経験から、若手育成には覚えのあるゴンサレスではあるが、あのロリアがいつまで黙っていられるか、そちらの方が心配ではある。
評価:D

期待の若手
主力選手を次々と放出してしまう、クラブの方針には賛成できないが、その分若手の出場機会が多くなるという面もある。投手でも野手でも、新人が早く育ってほしいところだが、クリス・コフランのデビューはここ一、二年のうちに実現すると思われる。06年に追加第1巡指名を受けたコフランは、大学時代にケープコッドリーグで打率.346を打って首位打者を獲得した巧打者。脚力は平均的だが、選球眼も備えており、2番打者タイプの選手と言えるだろう。昨年フューチャーズゲームで先発出場を果たし、順調な成長ぶりを見せている。長打力はあるが、振り回す打撃で穴の多いダン・アグラから二塁手の定位置を奪うかもしれない。