概観
05年にティーム創設以来初めてのナショナルリーグ優勝を果たしたヒューストン・アストロズだったが、それからわずか2年で73勝89敗、中地区5位に落ち込んでしまった。打力向上を目指してカルロス・リーを獲得したものの、ロジャー・クレメンス、アンディ・ペティットが抜けた後の先発スタッフの再編成に失敗したのが響いた。シーズン途中には監督フィル・ガーナーと統括ティム・パープラとが解任されており、08年のヒューストンは新規蒔き直しのシーズンになる。打者有利のミニッツメイド・パークに合わせて、野手の補強に力を入れてきているが、投手スタッフの整備がやや遅れているように見える。06年のテイラー・ブックホルツ、ジェイスン・ハーシュ、昨年のトロイ・パットンと、若手の先発投手を次々と手放した人事を非難する声も聞かれる。
先発
今年も右腕ロイ・オズウォルトがエース。14勝は、MLBデビューの01年以来という最低の数字ではあったが、通算防禦率3.07は現役第2位、勝率.675は同3位という、屈指の安定感を誇る投手である。しかし、先発2番手以降の人材には決め手を欠く。07年にコロラド・ロッキーズから獲得したジェイスン・ジェニングズは、1年でティームを去り、41歳で開幕を迎える右腕ウディ・ウィリアムズにはふたケタ勝利の力があるが、健康面での不安がある。MLB4年目の左腕ワンディ・ロドリゲスは、昨年9勝13敗と負け越してはいるものの、初めて規定投球回数以上を投げて、防御率も4点台をマークしており、おそらくロドリゲスが先発2番手に抜擢されるだろう。右肘の故障でほぼ2年間を棒に振ったブランドン・バッキも今年は春期練習に参加。05年のリーグ優勝のときには、シーズン後半からポストシーズンにかけて大活躍した右腕投手の復活が待たれる。昨年は24試合の先発で7勝8敗、防禦率4.59を挙げたクリス・サムプスンや、サンディエゴ・パドレスでデビューを果たし、MLB初勝利もマークしたジャック・カッセルの両右腕にもローテーション入りのチャンスがありそうだが、若手の中で一番の注目株は、昨年9月にMLBデビューを果たした新人右腕フェリペ・パウリノだ。遊撃手としてプロ入りしたが、強肩を買われて投手に移動。100マイルを超える速球をコントロールする技術が備わってくれば、一躍主力投手へと成長を遂げることだろう。招待選手には、カンザスシティ・ロイアルズ時代には将来のエースになると見られていたが、肩の故障で伸び悩む右腕ルネルビス・エルナンデス、昨年は42試合全てリリーフ登板だったが、189試合の先発経験を持つヴェテラン右腕ブライアン・モーラーがいる。
評価:C
救援
ナショナルリーグ優勝時には素晴らしい働きを示したブラッド・リッジだったが、2年続けての不調で信頼を失った。そこでリッジをトレードして、昨年のセーヴ王右腕ホセ・バルベルデをアリゾナ・ダイアモンドバックスから獲得。故障と制球難とでなかなか抑えに定着できなかったバルベルデも、昨年は1勝4敗47セーヴ、防禦率2.66とようやく才能を開花させたようだ。見返りにティーム最多の79試合に登板したチャド・クウォールズを失ったものの、フィラデルフィア・フィリーズからジェフ・ギアリー、サンディエゴ・パドレスからダグ・ブロケイル、アトランタ・ブレイヴズからオスカル・ビヤレアル、チャド・パロントなど、65試合以上の登板経験を持つ右腕救援を獲得して、ブルペンはむしろ強化された。右腕デイヴ・ボルコウスキは、比較的長いイニングを投げられる点で重宝するが、防禦率5.15はいささか高すぎる。06年に40試合で投げた右腕フェルナンド・ニエベは、故障のために昨年は全休。層が厚くなったブルペンに食い込むことができるかどうか。ワンポイント救援役で活躍したトレヴァー・ミラーがタムパベイ・レイズに復帰したため、また左腕投手不足に苦しめられることになる。毎年40人枠には名前が残るマーク・マクレモアが、昨年やっとMLBでデビューを果たし、29試合登板で防禦率3.86と好投した。昨年のルール5で指名された前ロサンンジェルス・ダジャーズのウェズリィ・ライトは長いイニングも投げられる左腕投手としてメンバー入りを期待される。招待選手のスティーヴン・ランドルフは、昨年3年ぶりにMLBで投げたが、14試合で防禦率12.15だった。
評価:D
| 先発 |
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| ロイ・オズウォルト |
右
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|
A
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| ワンディ・ロドリゲス |
左
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C
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| ウディ・ウィリアムズ |
右
|
|
C
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| クリス・サムプスン |
右
|
|
D
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| ジャック・カッセル |
右
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(サンディエゴ) |
D
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| フェリペ・パウリノ |
右
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(新人) |
E
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| ルネルビス・エルナンデス |
右
|
(招待選手) |
D
|
| ブライアン・モーラー |
右
|
(招待選手) |
D
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| 中抑え |
|
|
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| ダグ・ブロケイル |
右
|
(サンディエゴ) |
C
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| ジェフ・ギアリー |
右
|
(フィラデルフィア) |
C
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| オスカル・ビヤレアル |
右
|
(アトランタ) |
C
|
| チャド・パロント |
右
|
(アトランタ) |
D
|
| デイヴ・ボルコウスキ |
右
|
|
D
|
| フェルナンド・ニエベ |
右
|
|
E
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| マーク・マクレモア |
左
|
(新人) |
E
|
| ウェズリィ・ライト |
左
|
(新人) |
E
|
| マイク・デジーン |
右
|
(招待選手) |
D
|
| スティーヴン・ランドルフ |
左
|
(招待選手) |
D
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| 抑え |
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| ホセ・バルベルデ |
右
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(アリゾナ) |
B
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捕手
ゴールドグラヴ2回受賞のブラッド・オースマスとさらに1年間の契約延長を行なった。昨年のオースマスは、ここ10年間で最も少ない117試合の出場だった。今シーズン開幕直後に39歳になり、さらに出場機会は減ると思われるが、若手が伸びてくるまではオースマスの豊富な経験がティームを支えるだろう。昨年のフューチャーズゲームに出場したJ・R・トールズが、オースマスの後継者として注目されている。14試合出場で打率.375、12打点と打撃の良さを披露した。オースマスに見習って守備に磨きをかければ、今年の新人賞候補に名前を連ねることにもなるはずだ。ウムベルト・キンテロにもフューチャーズゲーム出場経験があるが、こちらはオースマスが抜けた後の、トールズの控えが限界だろう。
評価:C
内野手
5人を手放してボルティモア・オリオールズから強打の遊撃手ミゲル・テハダを獲得した。昨年は投球を受けて右手首を骨折、連続試合出場記録が途絶えた。133試合の出場で81打点、18本塁打も、99年以来最低の数字だった。もちろん、体調万全ならば打率3割、100打点、30本塁打は堅い選手ではあるが、昨年12月に公表された『ミッチェル・レポート』の中で禁止薬物の使用を指摘されていたことへの影響の方が懸念される。ジェフ・バグウェルの引退で一塁に定着したランス・バークマンは、ティーム首位の34本塁打、同2位の102打点をマークしたものの、打率.278は00年に定位置を得てから最も低い数字だった。クレイグ・ビッジオが引退した後の二塁は、コロラド・ロッキーズの優勝に貢献したマツイ・カズオが入る。シーズン終盤の活躍は目覚ましかったが、一年通して働いたことがないため、体力面でやや不安が残る。昨年途中にタムパベイ・デヴィルレイズから獲得したタイ・ウィギントンが三塁。タムパベイ・デヴィルレイズ時代の06年に24本塁打を打ってから、突如長打力を発揮するようになった。内野の控えは、マーク・ロレッタに加えて、ジェフ・ブラムを 年ぶりに呼び戻した。ロレッタは右打ち、ブラムは両打ちで、二人とも内野ならばどこの守備位置でもこなせる選手なので、控えは万全になったと言える。春期練習に招かれているトマス・ペレスは、昨年MLBでの出場がなかったものの、内野外野すべてのポジションが守れるだけでなく、たった1試合ながらマウンドに登った経験もある。
評価:B
外野手
4年契約で迎えた左翼手カルロス・リーは全試合出場、打率.303、119打点、32本塁打と期待通りの打棒を振るった。守備範囲はやや狭まってきてはいる点はやや気にかかるものの、故障の少ない選手なので、監督や他の選手たちからの信頼は厚い。ハンター・ペンスは、新人ながら108試合で打率.322、69打点、17本塁打をマーク。途中欠場がなかったら、ライアン・ブラウンやトロイ・トゥロウィツキと新人賞を争えたはずだ。昨年は中堅を守ることが多かったが、今年は本来の右翼に戻る予定。ペンスの移動で空いた中堅手は、マイケル・ボーン、レジー・アーバークロムビー、ダリン・アースタッドの新加入3選手の争いになるだろう。フィラデルフィア・フィリーズから来たボーンの持ち味はスピード。昨年は守備固めや代走での起用が多かったが、18盗塁をマークしている。アーバークロムビーは、打撃走塁守備が揃った外野手と評判だったが、昨年は打撃不振のためにシーズンの大半をマイナーリーグで過ごした。しかし、AAA級では93試合の出場で、打率.323、71得点、55打点、17本塁打、41盗塁だった。アースタッドはアナハイム・エンジェルズ時代の02年に世界一を経験しているヴェテランだが、03年以降は故障がちで、5年間合計の出場試合数は3シーズン分の472試合しかない。しかし、オーランド・パルメイロに代わる左の代打としての働きは期待できそうだ。招待選手のホセ・クルスは、実父がヒューストンの打撃コーチ。長打力と守備とには期待ができるが、あまりにも好不調の波が大きい。
評価:C
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CF
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マイケル・ボーン |
左
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(フィラデルフィア) |
D
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2B
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マツイ・カズオ |
両
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(コロラド) |
C
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SS
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ミゲル・テハダ |
右
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(ボルティモア) |
A
|
|
LF
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カルロス・リー |
右
|
|
A
|
|
1B
|
ランス・バークマン |
両
|
|
A
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RF
|
ハンター・ペンス |
右
|
|
C
|
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3B
|
タイ・ウィギントン |
右
|
|
C
|
|
C
|
ブラッド・オースマス |
右
|
|
C
|
|
|
|
|
|
|
|
C
|
J・R・トールズ |
右
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(新人) |
E
|
|
C
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ウムベルト・キンテロ |
右
|
|
D
|
|
IF
|
マーク・ロレッタ |
右
|
|
C
|
|
IF
|
ジェフ・ブラム |
両
|
(サンディエゴ) |
D
|
|
IF
|
トマス・ペレス |
右
|
(招待選手) |
D
|
|
OF
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レジー・アーバークロムビー |
右
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(フロリダ) |
D
|
|
OF
|
ダリン・アースタッド |
左
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(ホワイトソックス) |
C
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|
OF
|
ホセ・クルス |
両
|
(招待選手) |
D
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監督
05年のナショナルリーグ優勝監督フィル・ガーナーが昨年途中解任され、8月27日にベンチコーチだったセシル・クーパーが後を引き継いだ。残り31試合で15勝16敗の成績を収め、今年から正式にヒューストンで采配を振るうことになった。現役時代のクーパーは、ボストン・レッドソックスとミルウォーキー・ブルワーズとで合計17年プレイし、オールスターゲームに5度出場、2度のゴールドグラヴ選出に、打点王にも2度輝いている強打巧守の一塁手だった。現役引退後は現場を離れて、スポーツ選手のエージェント会社で勤務。03年から2年間マイナーリーグの監督を務め、05年からヒューストンのコーチに呼ばれている。
評価:D
期待の若手
右腕ブラッド・ジェイムズは、ノースセントラルテキサス短期大学時代にはJ・R・トールズとバッテリーを組み、04年の新人ドラフトでそれぞれ第29巡、第20巡で指名されてプロ入りした。最初の2年間はあまり目立たなかったが、06年にLow A級で6勝2敗、防禦率1.98をマークしてから急速に力をつけてきている。落ちる球を打たせる投球を得意とするとともに、ピンチの場面でも動じない強い精神力も備えており、将来はセットアッパーとして大成するのではないかと見られている。今年の40人枠にトールズとともに名前が載った。早ければ今年の終盤か来年には、トールズとまたバッテリーを組めるようになるかもしれない。