ロサンジェルス・エンジェルズ・オヴ・アナハイム

概観
昨年ロサンジェルス・エンジェルズ・オヴ・アナハイムは4月半ばの6連敗で最下位に沈んだものの、4月25日に首位に立ってからは一度もその座を譲り渡すことなく、最終成績94勝68敗で2年ぶりにアメリカンリーグ西地区優勝に輝いた。ボストン・レッドソックスとの顔合わせとなった地区シリーズでは、第2試合のマニー・ラミレスのさよなら3点本塁打で敗れたのが響いたか、3連敗での敗退を喫している。このオフシーズンにミネソタ・トゥインズの名中堅手トリイ・ハンターを獲得して攻守両面でティーム力は向上した。レギュラーから控えに至るまで、力のある選手が揃っており、02年以来の世界一も不可能ではない。

先発
昨年サイ・ヤング賞候補にもなった右腕ジョン・ラッキィがエンジェルズのエースである。19勝9敗、防禦率3.01、179奪三振に加えて、3年連続で200イニング以上を投げるスタミナもある。しかし、春期練習中に右腕を傷めたために、開幕には間に合わないだろうと伝えられている。一方、05年にアメリカンリーグのサイ・ヤング賞に選ばれたバルトロ・コロンはその後故障続きで振るわず、このオフシーズンに放出された。新たにローテーションに加わったのは、同じ年にサイ・ヤング賞候補に名前が連なっていた右腕ジョン・ガーランド。シカゴ・ホワイトソックス時代には02年から6年連続ふたケタ勝利をマークしているが、05年、06年の18勝から昨年は10勝と数字を落としている。しかし、得点力のあるエンジェルズに移ったことで、再び15勝前後の活躍が期待されている。右腕ジェレッド・ウィーヴァーは、昨年故障で出遅れたこともあって、13勝7敗、防禦率3.97とやや数字を落とした。しかし、確実にふたケタ勝利が計算できる投手であることは確かだ。昨年自己ベストの18勝7敗、防禦率3.40をマーク、通算100勝も達成した右腕ケルビム・エスコバルは現在右肩の故障で調整中。復帰は5月ごろになるということで、それまでエスコバルの穴を埋める先発投手が必要になる。春期練習に招かれている新人右腕ニック・アーデンハートは、06年のフューチャーズゲームに出場、昨年AA級で10勝8敗、防禦率3.65をマークした。練習試合でも及第点の投球を見せており、開幕メンバー入りが期待される。06年の16勝8敗、防禦率4.28から、昨年は7勝15敗、防禦率5.76と落ち込んだ右腕エルビン・サンタナは、練習試合でも不調が続いている。昨年はトレードの噂もあったが、開幕メンバーに残ることはできるのか。ジョー・ソーンダーズは、ローテーションの合間で先発を務め、この2年間で15勝を挙げている。しかし、先発が右投手しかいないティームなので、左腕の利点を活かして定着を狙いたい。右腕ダスティン・モーズリィも主力投手を休ませたいときに臨時の先発投手として呼ばれることがある。
評価:B

救援
クローザーは今年も、05年から3年連続40セーヴ以上をマークしている右腕フランシスコ・ロドリゲスが務める。ときおり制球を乱してセーヴ機会をふいにすることはあるが、イニング数をはるかに超える三振数が奪える救援投手である。前抑えの右腕スコット・シールズは地味ではあるが、エンジェルズのブルペンには絶対に欠かせない。MLB通算の防禦率が2.95という安定感に加えて、3年連続で70試合以上にマウンドを務めるスタミナも備えている。右腕ジャスティン・スパイアはここ3年間続けて51試合以上に登板し、防禦率2点台を維持しており、シールズ、ロドリゲスと並んで、エンジェルズの試合終盤を支えている。01年に新人ドラフト第1巡指名を受けてプロ入りしたが、長い間芽の出なかった右腕クリス・ブーチェクは救援でMLB定着のチャンスをつかんだ。春の練習試合では若手の右腕投手の好投が目立つ。ダレン・オデイ、アレクス・セラノの両右腕はいずれも招待選手としての参加だが、ともに防禦率1点台の投球を披露して注目されている。昨年のフューチャーズゲームに出場したリッチ・トムプスンは、シールズのように、長いイニングの投げられる救援投手としてメンバー入りを狙っている。エンジェルズは左腕投手が不足しがちになるティームだが、昨年はダレン・オリヴァーが一人でがんばった。救援専門で投げるようになったのは2年前からだが、合計104試合に登板して、防禦率3.59をマーク。左打者に対するワンポイントだけでなく長いイニングが投げられる貴重な左腕だ。オリヴァー以外の左腕救援として、ソーンダーズがスウィングマンとしてブルペンに入るかもしれない。
評価:B

先発
ジョン・ラッキィ
A
ジェレッド・ウィーヴァー
B
ケルビム・エスコバル
B
ジョン・ガーランド
(ホワイトソックス)
C
エルビン・サンタナ
C
ジョン・ソーンダーズ
D
ダスティン・モーズリィ
D
ニック・アーデンハート
(招待選手)
E
中抑え
スコット・シールズ
B
ジャスティン・スパイア
C
ダレン・オリヴァー
C
クリス・ブーチェク
D
リッチ・トムプスン
(新人)
E
ダレン・オデイ
(招待選手)
E
アレクス・セラノ
(招待選手)
E
抑え
フランシスコ・ロドリゲス
A

捕手
現役時代には堅守で知られたマイク・シオシアの元で、ジェフ・マシスとマイク・ナポリとの二人が正捕手の座を争っている。高校時代にはクウォーターバックをしていた左打ちの捕手ということで、ミネソタ・トゥインズのジョー・マウアーと並び称されたこともあるマシスだが、MLBでは攻守両面で苦しんでいる。ナポリはMLB初年度の06年に268打数で16本塁打と、長打力を発揮したが、昨年は腰痛と試合中に受けた左足の故障とのために2ヶ月近くメンバーを離れるなど、振るわないシーズンだった。
評価:D

内野手
打撃走塁守備あらゆる面でティームに貢献したオルランド・カブレラを放出。組織内No.1素材の評判をとるブランドン・ウッドが正遊撃手に抜擢される。05年にHigh A級で43本塁打を打って周囲を驚かせたが、その後は振り回す打撃が裏目に出て、やや打撃で苦しんでいる。ゴールドグラヴ遊撃手カブレラには及ばないものの、無難な守備を見せる。長い間MLB定着が期待されていたケイシィ・コッチマンが初めて規定打席を超えた。68打点、11本塁打は一塁手としては今ひとつの数字だが、優れた選球眼で高い出塁率をマーク。一塁守備では将来ゴールドグラヴに選ばれるかもしれない。元クバ代表のケンドリ・モラレスが正一塁手の座を奪うには、打撃の良さを強調したいところだろう。マイナーリーグ通算打率が3割を超える巧打者ハウイー・ケンドリックは、昨年MLBでも.322の高打率をマークした。ただし、2度の故障者リスト入りがあったため、出場したのは88試合止まり。今年はフルシーズンを務め上げて、首位打者争いに加わりたい。定位置のないレギュラーと呼ばれたショーン・フィギンズは完全に三塁に落ち着くことになった。昨年は春期練習中の怪我で開幕から出遅れたものの、6月に.461の高打率をマークすると、以後シーズン終了まで3割以上を打ち続けた。出塁率も.393をマークし、理想的なリードオフマンになりつつある。内野の控えはマイセル・イストゥリスとエリク・アイバル。いずれも内野ならばどこでも守れる選手のうえ、春の練習試合では3割以上の打率を維持している。レギュラーに万が一の事態が起こった場合でも、すぐに代役をこなしてくれるだろう。一塁、三塁、外野を守れるロブ・クウィンランは、打撃だけでメンバーに残るのは難しくなってきた。
評価:C

外野手
ゴールドグラヴの常連トリイ・ハンターが5年間の契約内容でエンジェルズと契約した。もちろん中堅の守備は抜群で、打率はあまり高くはないが、100打点、30本塁打は期待できる長打者でもある。ブラディミル・ゲレロは、04年にエンジェルズに来てから4年連続で打率3割、100打点以上をマーク。4年連続30本塁打以上はならなかったものの、今年35本塁打を打てば、通算400本塁打に到達する。左翼のギャレット・アンダースンは、昨年序盤は不調で、故障にも苦しめられたが、オールスターゲーム以降は68試合出場で、打率.305、65打点、13本塁打と、全盛期の勝負強さを取り戻したようだ。しかし、昨年故障のアンダースンに代わって左翼を守り、出塁率.391、27盗塁をマークしたレジー・ウィリッツや、昨年はウィンターリーグで足を折ってシーズンの大半を欠場したが、06年には打率.310、85打点、23本塁打のホアン・リベラが控えに回るのだから贅沢なメンバーである。そのうえ、昨年MLBでのプレイを経験しているテリー・エヴァンズやネイサン・ヘインズなどの新人たちもいて、エンジェルズの外野手はメンバー争いが熾烈である。
評価:A

指名打者
ハンターが加わったことによって、昨年主に中堅を守ったゲイリー・マシューズが、主に指名打者で起用されることになりそうだ。06年の打率.313から昨年は.252に落ちたが、72打点、18本塁打はほぼ自身のベストの数字に近い。守備は悪くないので、4人目の外野手として出場する機会も多いだろう。故障の多いギャレット・アンダースンや、打力のあるスウィッチヒッター、ケンドリ・モラレスも、昨年は指名打者を任されたことがある。
評価:B

3B
ショーン・フィギンズ
B
DH
ゲイリー・マシューズ
C
RF
ブラディミル・ゲレロ
S
LF
ギャレット・アンダースン
B
CF
トリイ・ハンター
(ミネソタ)
A
1B
ケイシィ・コッチマン
C
2B
ハウイー・ケンドリック
C
SS
ブランドン・ウッド
(新人)
E
C
ジェフ・マシス
D
C
マイク・ナポリ
D
1B/3B
ロブ・クウィンラン
D
1B
ケンドリ・モラレス
D
IF
マイセル・イストゥリス
D
IF
エリク・アイバル
D
OF
ホアン・リベラ
C
OF
レジー・ウィリッツ
C
OF
テリー・エヴァンズ
(新人)
E
OF
ネイサン・ヘインズ
(新人)
E

監督
マイク・シオシアは、今年が監督就任9年目になるが、これはティームの初代監督ビル・リグニィ以来の最長記録である。現役時代には強気のリードと頑丈なブロックとで知られた好捕手だったが、監督としては、機動力を駆使して得点を重ねる野球を好む。ところで、リグニィは9年目の年に勝率3割にも満たない不振の責任をとる形で解任されている。豊富な資金を背景に今年もトリイ・ハンターというスター選手が加わったエンジェルシオシアだけに、シオシアはの監督在任のティーム最長記録を達成する可能性は高い。
評価:B

期待の若手
ハンク・コンガーの本名はヒュンというが、アトランタに住んでいた祖父が、ハンク・アーロンに因んでつけたニックネームで呼ばれている。その名の通り、06年の新人ドラフトで第1巡指名を受けたときには、高校球界トップクラスの長打力を持つ捕手と評判だった。昨年は足腰の故障のため、2階級合計で87試合にしか出られなかったものの、打率.290、48打点、11本塁打は悪い数字ではない。残念なことに、春季練習中でも肩を傷めて、現在はリハビリテイション中。守備面での課題も多いので、マイナーリーグでじっくりと鍛えて、3年後にはMLB昇格を目指したい。