ロサンジェルス・ダジャーズ

概観
昨年のナショナルリーグ西地区は9月半ばまで4ティームが激しい首位争いを展開していたが、ロサンジェルス・ダジャーズは9月16日からの7連敗でポストシーズン進出の道を断たれてしまった。最終成績82勝80敗で辛くも勝率5割は維持したものの、前年のワイルドカードから4位に後退し、シーズン終了後監督グレイディ・リトルは解任された。58年にブルックリンから西海岸に移転して、今年で50周年になるダジャーズは、去就が注目されていた巧守長打のアンドルウ・ジョーンズを獲得して、攻撃力をアップさせてきた。新しく監督に就任したジョー・トーリも、実績については申し分がない。88年以来20年ぶりの世界一を成し遂げて、記念の年を飾りたいところだ。

先発
右腕ブラッド・ペニーが先発の柱である。06年に16勝をマークして、6人が同数ながらもナショナルリーグ最多勝のタイトルを手にした。昨年はシーズン前半に10勝1敗、防禦率2.39の好成績を収め、オールスターゲームでも先発を務めた。後半勝ち星に恵まれなかったとは言え、シーズンを全うすれば今年も15勝以上は挙げられるはずだ。06年にペニーとナショナルリーグ最多勝を分け合った右腕デレク・ロウは、12勝14敗と負け越してはいるものの、防禦率3.88は悪い数字ではない。02年に先発に定着してからは、毎年32試合以上に先発を務め、最低でも12勝はマークしてきている、信頼できる先発投手である。右腕チャド・ビリングズリィは、故障者の相次いだ先発スタッフをカヴァーした。6月下旬にブルペンから回り、20試合の先発で8勝5敗、防禦率3.38をマーク。今年はペニー、ロウに続く先発投手として、13勝から15勝が期待されている。3年契約でやって来た右腕クロダ・ヒロキは、日本では通算74完投をマーク。スタミナのある先発投手と評される一方で、昨年のマツザカ・ダイスケが夏場以降全く振るわなかったこともあり、まずふたケタ勝てるかどうかというところか。先発5番手を争うのは故障から復帰を目指すジェイスン・シュミットとエステバン・ロアイサとの両ヴェテラン右腕。3年契約で迎えられながら、肩の手術でシーズンの大部分を棒に振ったシュミットは、春期練習も主力とは別のメニューで参加しており、シーズン開幕には間に合わなさそうだ。ロアイサはすでに練習試合でマウンドに登っているので、現時点ではロアイサが5人目の先発投手の最有力候補と言っていい。06年9月にMLBにデビュー、地区シリーズでも先発を務めた左腕クオ・フンチーも、昨年は故障で8試合しか投げられず、ローテーション定着の期待に応えることができなかった。招待選手の右腕パク・チャンホは、もしMLB復帰を果たすことになれば、6年ぶりにダジャーズの一員になる。
評価:C

救援
右腕サイトウ・タカシは、昨年2勝1敗39セーヴ、防禦率1.40と抜群の安定感を披露した。昨年唯一の失投と言えば、9月18日のコロラド・ロッキーズとのダブルヘッダー第2試合で、2アウトからトッド・ヘルトンに打たれた逆転さよなら本塁打。あの一打で優勝争いから脱落したとも言えるだけに、今季は内心期するところもあるだろう。サイトウの前抑えには、右腕ジョナサン・ブロクストン。ティーム首位の83試合を投げて防禦率2.85。将来のクローザー候補として、着実に実績を積んでいると言っていい。昨年途中ニューヨーク・ヤンキーズから来た右腕スコット・プロクターは2ティーム合計で83試合登板。起用法について対立したジョー・トーリと再会することになったが、過去の確執はもう解消されているだろうか。39歳のヴェテラン右腕ルディ・シーンズも昨年自己最高の73試合に登板しており、これで、右肘の故障でこの2年間はほとんどマウンドに登っていないイエンシ・ブラソバンが戻ってくれば、右の救援投手は万全の体制が整う。左腕ジョー・ベイメルはブロクストンと並ぶ83試合登板、防禦率3.88をマークして契約延長を取り付けた。ベイメル以外の左腕投手はクオとエリク・スタルツ。いずれも昨年は故障のために満足のいく投球ができなかったので、春期練習にマイク・マイアーズ、トム・マーティンを招いたのは、いい選択だと思われる。肩の故障で昨年はシーズンを全休している右腕タニオン・スターツは、先発、救援いずれもこなすスウィングマンとして働けそうだ。
評価:B

先発
ブラッド・ペニー
B
デレク・ロウ
B
チャド・ビリングズリィ
C
クロダ・ヒロキ
(新人)
D
エステバン・ロアイサ
C
ジェイスン・シュミット
C
パク・チャンホ
(招待選手)
D
マット・ライリィ
(招待選手)
D
ジェイスン・ジョンスン
(招待選手)
E
中抑え
ジョナサン・ブロクストン
C
スコット・プロクター
C
ルディ・シーンズ
D
ジョー・ベイメル
C
クオ・フンチー
E
エリク・スタルツ
E
イエンシ・ブラソバン
D
タニオン・スターツ
(招待選手)
D
マイク・マイアーズ
(招待選手)
D
トム・マーティン
(招待選手)
D
マイク・コプラヴ
(招待選手)
D
ブライアン・シャケルフォード
(招待選手)
D
抑え
サイトウ・タカシ
B

捕手
ラッセル・マーティンは、昨年はファン投票でオールスターゲームに選ばれ、ナショナルリーグ屈指の好捕手に成長した。151試合に出場して、打率.293、87打点、19本塁打、21盗塁をマーク。14失策はやや多いが、動きの良さが評価されてゴールドグラヴ賞に選出された。昨年控えを務めていたマイク・リーバサルが引退し、今年はセイントルイス・カーディナルズでプレイしていたゲイリー・ベネットがマーティンをバックアップする。春期練習に招かれているダニー・アルドワン、レネ・リベラは、いずれも守備はいいが、MLB定着には打撃が今ひとつという選手たちだ。
評価:B

内野手
マイナーリーグでは巧打者ぶりを披露していたジェイムズ・ロニィが、ついに定位置をつかんだ。6月10日にMLBに呼ばれた当初はノマー・ガルシアパラと併用されていたが、オールスターゲームまでに打率.385を打ったのを認められて、シーズン後半は正一塁手になった。なめらかなグラヴさばきも高い評価を受けており、この先ゴールドグラヴに選ばれることもあるだろう。ロニィに一塁を譲ったガルシアパラは、昨年後半から三塁を守っている。06年には打率.303、93打点、20本塁打でカムバック賞を手にしたガルシアパラは、昨年はまた59打点、7本塁打と数字を落とした。組織内の野手では最も高い評価を得ているアンディ・ラローシが、持ち前の長打力を発揮すれば、ガルシアパラはいったいどこを守ればいいのだろうか。遊撃手のラファエル・フルカルは、足首の故障でひと月近く欠場。4年間続けてきたふたケタ本塁打も、100得点も途絶えてしまった。怪我の状態は気にかかるところだが、体調万全でシーズンを迎えれば、また俊足長打のリードオフマンとしてティームを引っ張っていくことだろう。97年から05年まで平均100打点以上をマークしてきたジェフ・ケントだが、この2年間は69、78と打力が振るわない。この稿が掲載されて数日後には40歳になることも考えると、今季ケントが劇的な復活を遂げる可能性はあまり高くはないだろう。昨年がMLB初年度だったトニ・アブレウが二塁、三塁、遊撃の控えを務めるが、ヴェテランのラモン・マルティネスも招待選手からMLB復帰を目指している。昨年のフューチャーズゲームでラリー・ドビー賞を授かったフー・チンロンの評価は急上昇中。今年で契約期間が満了するフルカルの後継者として、周囲に対して大いにアピールしてもらいたい。昨年終盤にサンフランシスコ・ジャイアンツから獲得したマーク・スウィーニィは、当代屈指の代打と評される。
評価:B

外野手
ゴールドグラヴ10回選出という、現代MLBでもトップクラスの守備を誇るアンドルウ・ジョーンズを2年間3,620万円の契約内容で迎えた。昨年はなかなか打率が2割を超えないほどの打撃不振に苦しめられたが、06年にはアトランタ・ブレイヴズの選手として初めて50本塁打をマークした長打力は、ティームの得点力向上に大きく寄与するだろう。しかし、ジョーンズの加入によって、昨年までの正中堅手ホアン・ピアは左翼に守備位置を移すことになる。MLB昇格以来中堅しか守った経験がなく、意外な落とし穴になるかもしれないと不安視する声も聞かれている。ただ、01年以来200安打以上が4回という打撃の巧さと、通算389盗塁をマークしているスピードとについては、全く心配はない。残る右翼は左打ちのアンドレ・イージアが最有力。MLB2年目の昨年はティームで2番目に多い153試合に出場して、打率.284、64打点、13本塁打をマークしている。ただ左投手をやや苦手としているため、左腕に対して.390と相性の良い右打ちのマット・ケムプが起用されることもある。昨年AAA級ラスヴェガスで打率.337、97打点、17本塁打を打ったデルウィン・ヤングは両打ちなので、控え選手としてMLB定着のチャンスがあるだろう。太腿裏の故障でシーズンを棒に振ってしまったジェイスン・レプコは、メンバー入りするのはかなり厳しくなりそうだ。
評価:B

SS
ラファエル・フルカル
B
LF
ホアン・ピア
B
C
ラッセル・マーティン
B
CF
アンドルウ・ジョーンズ
(アトランタ)
A
3B
ノマー・ガルシアパラ
C
2B
ジェフ・ケント
C
1B
ジェイムズ・ロニィ
C
RF
アンドレ・イージア
C
C
ゲイリィ・ベネット
(セイントルイス)
D
C
ダニー・アルドワン
(招待選手)
D
C
レネ・リベラ
(招待選手)
D
IF
トニ・アブレウ
(新人)
D
IF
フー・チンロン
(新人)
E
1B/OF
マーク・スウィーニィ
C
3B
アンディ・ラローシ
(新人)
E
IF
ラモン・マルティネス
(招待選手)
D
OF
マット・ケムプ
D
OF/2B
デルウィン・ヤング
(新人)
D
OF
ジェイスン・レプコ
D

監督
新監督ジョー・トーリについては、あまり多くを語る必要もないだろう。ニューヨーク・ヤンキーズで采配を揮った12年間全てにポストシーズン進出を果たし、4度の世界一も経験していながら、このオフにクラブから提示された契約期間は1年間。シーズン中から解任の噂が囁かれていたとは言っても、まるで追い払われるような扱いを受けたのはいささか残念な話だった。現役時代からあまり西海岸のティームには縁のなかったトーリではあるが、ダジャーズの元々の本拠地があったのはブルックリン。自分の生まれ故郷にルーツを持つティームの指揮を執るというのは、格別の思いがするのではないだろうか。
評価:A

期待の若手
06年の新人ドラフト第1巡指名左腕クレイトン・カーショーは、その年ルーキー級でプレイして、奪った三振54個に対して与えた四球はわずか5個という抜群のコントロールを披露。昨年は初めてのフルシーズンだったのにも関わらず、Low A級では20試合の先発で7勝5敗、防禦率2.77をマーク、97回3分の1を投げて134個の三振を奪っている。フューチャーズゲームでは、先頭打者に本塁打を打たれたものの、そのくらいではカーショーの評価はびくともしないだろう。3月19日でやっと20歳になるカーショーは、これからいったいどこまで成長するのだろうか。