概観
昨シーズン前半は49勝39敗と快調だったミルウォーキー・ブルワーズは、オールスターゲーム以降勝ち星が伸びず、シカゴ・カブズに追い上げられた末に、惜しくも83勝79敗でナショナルリーグ中地区の2位でシーズンを終えた。しかし、ここ数年の新人ドラフトで指名したり、中南米から探し当てたりした若手の成長によって、ティームの力は着実に伸びてきている。昨年はシーズン終盤で力及ばなかったものの、その経験を今季に活かして、82年以来ティーム史上2度目のポストシーズン進出が期待されている。
先発
05年に18勝をマークして、ティームのエース格に成長したと思われた左腕クリス・キャプアノだったが、06年は11勝、昨年は左脚付け根の故障もあり5勝12敗、防禦率5.10にまで落ち込んでしまった。故障と言えば、さらに残念だったのが右腕ベン・シーツだ。オールスターゲームまでに10勝4敗、防禦率3.41と好調だったのにもかかわらず、右中指を怪我したシーズン後半はわずか2勝しか挙げられなかった。左右の両輪が不調だったのに対して、4年契約の1年目だった右腕ジェフ・スーパンはティーム最多の34試合に先発を務めて、12勝12敗、防禦率4.62。シーズン中盤で打ち込まれた点を除けば、ミルウォーキーの先発スタッフの中では最も安定した数字を収めている。右腕デイヴ・ブッシュは、31試合の先発でシーツ、スーパンと並ぶ12勝を挙げてはいるものの、防禦率5.12は打たれ過ぎである。11勝をマークした右腕クラウディオ・バルガスにはややスタミナが不足しているようで、長いイニングを投げられないという弱点がある。マイナーリーグでは三振の奪える投手として知られていた右腕ヨバニ・ガヤルドが昨年6月18日にMLBデビュー。すぐさまローテーションの一角を占め、シーズン後半には、ティーム最多の8勝、防禦率3.75と活躍した。しかし、春期練習直前に左膝の手術を受けたため、調整の遅れが懸念される。8月まではブルペンで投げていた右腕カルロス・ビヤヌエバは、9月にローテーションに抜擢されると5試合で2勝2敗、防禦率2.10をマーク。左腕投手不足をカヴァーするならば、昨年6月25日にAAA級で完全試合を達成して、一躍その名を知らしめたマニー・パラもいる。05年にトロントから追加第1巡で指名されてプロ入りした左腕ザック・ジャクスンは、昨年AAA級で11勝10敗、防禦率4.46と平凡な成績に終わっている。06年に7先発で2勝2敗の実績はあるものの、ローテーション入りはやや厳しそうだ。将来のことを考えて、今年の先発スタッフにはガヤルド、ビヤヌエバ、パラを定着させて、ブッシュ、バルガスはロングリリーフに回すべきだろう。
評価:C
救援
昨年44セーヴのフランシスコ・コルデロがシンシナティ・レッズと契約。新たに迎えたクローザーは、右腕エリク・ガニェだった。03年のナショナルリーグのサイ・ヤング賞は、その後肘や脚の故障に苦しめられ、昨年発表された『ミッチェル・レポート』の中では筋肉増強剤の使用者として名前が挙がった。ガニェが5年前の投球を取り戻すことができないと、05年に7勝1敗39セーヴ、防禦率1.74をマーク、06年には防禦率6.87の乱調ででクローザーから外されながらも、昨年は前抑えとして活躍した右腕デリク・ターンボウがカヴァーすることもあるだろう。その場合でも、この4年間で312試合に登板した、前ピッツバーグ・パイレーツのヴェテラン右腕サロモン・トレス、昨年カンザスシティ・ロイアルズで防禦率2.45をマークしている右腕デイヴィッド・リスキがいるから、セットアッパーの人材には事欠かない。ニューヨーク・メッツから来たギエルモ・モタはこのところ故障や薬物検査での陽性反応などトラブル続きだが、03年に救援として105イニングも投げて、防禦率1.97をマークしたこともある。左腕は、06年途中にテキサス・レンジャーズから獲得したブライアン・シャウスが73試合で防禦率3.02と好投したのが目立つくらい。ここ3年間MLBではいい投球ができていないランディ・チョートや、昨年初めてMLBに呼ばれて6試合マウンドを務めたミッチ・ステッターがブルペンに加われば、左腕の救援がさらに充実する。タムパベイ・デヴィルレイズでは先発でもクローザーでも振るわなかった右腕セス・マクラングは、中抑えで再出発を図っている。
評価:B
| 先発 |
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| ベン・シーツ |
右
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|
B
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| ジェフ・スーパン |
右
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|
B
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| ヨバニ・ガヤルド |
右
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|
C
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| クリス・キャプアノ |
左
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|
C
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| カルロス・ビヤヌエバ |
右
|
|
D
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| クラウディオ・バルガス |
右
|
|
D
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| デイヴ・ブッシュ |
右
|
|
C
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| マニー・パラ |
左
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(新人) |
E
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| ザック・ジョンスン |
左
|
(新人) |
E
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| 中抑え |
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| デリク・ターンボウ |
右
|
|
C
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| サロモン・トレス |
右
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(ピッツバーグ) |
B
|
| デイヴィッド・リスキ |
右
|
(カンザスシティ) |
C
|
| ギエルモ・モタ |
右
|
(メッツ) |
D
|
| ブライアン・シャウス |
左
|
|
D
|
| ランディ・チョート |
左
|
(アリゾナ) |
D
|
| セス・マクラング |
右
|
|
D
|
| ミッチ・ステッター |
左
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(新人) |
E
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| 抑え |
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| エリク・ガニェ |
右
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(ボストン) |
C
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捕手
監督ネッド・ヨストと対立していたジョニー・エストラダを放出し、昨年後半シカゴ・カブズでマスクをかぶっていたジェイスン・ケンドールと契約を結んだ。ピッツバーグ・パイレーツ時代には、現役でも指折りの巧打巧守の捕手と評価されていたが、オークランド・アスレティックス移籍後は不振が続いている。デミアン・ミラーも抜けたので、控えはヒューストン・アストロズで再起を遂げたエリク・マンスンと、06年からミルウォーキーでプレイしているマイク・リベラとが争う。今年は内野手として登録されているが、ヴィニー・ロッティノもマスクをかぶれる。
評価:C
内野手
昨年がMLB3年目だった一塁手プリンス・フィルダーは、ティーム史上初の50本塁打を打ち、23歳の若さでティームの中心打者に成長した。出塁率.395は、ただ振り回すだけの打者ではないことを証明したが、得点圏に走者をおいた場面での成績が打率.277、61打点、8本塁打と振るわず、今年はさらに勝負強さを身につけなければならない。開幕当初はフィルダーに劣らぬペースで本塁打を打ったJ・J・ハーディは、中だるみがあったものの、最終的には80打点、26本塁打をマーク。打てる遊撃手であることを印象づけた。肩や足の故障でやや守備範囲は狭まってはいるが、守りは堅い。二塁のリッキー・ウィークスは、昨年も怪我に泣かされた。右手首の古傷のために118試合の出場で打率はこの3年間で最も低い.235。しかし、オールスターゲーム以降は出塁率.422をマークして、コリィ・ハートからリードオフマン役を奪い返している。06年に自己ベストの85打点、35本塁打をマーク、昨年はMLBで7試合しか経験のなかった外野手を務めたビル・ホールは、やはり守備で気を遣いすぎたのか、打率.254、63打点、14本塁打と数字を落としている。今年は再び内野に戻るが、守った経験が最も少ない三塁を任されることになっている。一塁から三塁まで全てのポジションをカヴァーするクレイグ・カウンセルは、97年のフロリダ・マーリンズ、01年のアリゾナ・ダイアモンドバックスで世界一を二度経験している、頼りになるヴェテラン。しかし、その他の内野手はジョー・ディロン、ヴィニー・ロッティノ、アレシデス・エスコバル、エルナン・イリバレンなど、MLBでの経験が少ない新人ばかりなので、内野ならどこでもこなせるヴェテラン、アブラム・ヌニェスを春期練習に招いている。
評価:C
外野手
ゴールドグラヴ3回選出のマイク・キャメロンがサンディエゴ・パドレスから加わった。キャメロンの打撃は目を見張るほどの数字ではないが、外野の広いペトコ・パークを抜け出したことで、前年よりも好成績を残せる可能性はある。しかし、禁止薬物使用のため開幕から25試合出場停止処分を科せられているため、しばらくは控え選手で補わなければならない。ゲイブ・グロスは代打で勝負強さを発揮する左打者。殿堂入りの名外野手を父に持つトニー・グウィンは、守備と脚力とはいいが、MLB定着には依然として打撃が課題になっている。現役を引退後、昨年はマイナーリーグの監督を務めていたゲイブ・キャプラーは、打撃走塁守備のバランスがとれた選手だ。キャメロンの加入はまた、選手の守備位置に大きな変動をもたらすことになる。昨年中堅手を任されたビル・ホールが、再び内野に戻り、昨年のナショナルリーグ新人賞に輝いたライアン・ブラウンが、三塁から左翼に守備位置を移す。昨年は113試合の出場で打率.324、97打点、34本塁打、15盗塁をマーク。守備では26失策と確かに苦しんだが、守備位置の移動はブラウンにどのような影響を与えるか。昨年24本塁打、23盗塁をマークして、ようやく俊足長打の外野手として定位置を確保したコリィ・ハートが右翼手。ウィークスとリードオフマンの座を争う。昨年の新人ドラフトで第1巡指名を受けたマット・ラポータも春期練習に招かれている。昨年はマイナーリーグ2階級合計で30試合しか出場しなかったのに、31打点、12本塁打と並外れた打力を披露した。守れる場所さえあれば、すぐにでもMLBに呼びたい選手である。
評価:C
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2B
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リッキー・ウィークス |
右
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|
C
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CF
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マイク・キャメロン |
右
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(サンディエゴ) |
C
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1B
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プリンス・フィルダー |
左
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B
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LF
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ライアン・ブラウン |
右
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|
B
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RF
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コリィ・ハート |
右
|
|
C
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3B
|
ビル・ホール |
右
|
|
C
|
|
SS
|
J・J・ハーディ |
右
|
|
C
|
|
C
|
ジェイスン・ケンドール |
右
|
(カブズ) |
C
|
|
|
|
|
|
|
|
C
|
エリク・マンスン |
左
|
(ヒューストン) |
D
|
|
C
|
マイク・リベラ |
右
|
|
D
|
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C/IF
|
ヴィニー・ロッティノ |
右
|
(新人) |
E
|
|
IF
|
クレイグ・カウンセル |
左
|
|
C
|
|
IF
|
ジョー・ディロン |
右
|
(新人) |
D
|
|
IF
|
アレシデス・エスコバル |
右
|
(新人) |
E
|
|
IF
|
アブラム・ヌニェス |
両
|
(招待選手) |
D
|
|
OF
|
ゲイブ・グロス |
左
|
|
D
|
|
OF
|
トニー・グウィン |
左
|
|
D
|
|
OF
|
ゲイブ・キャプラー |
右
|
(復帰) |
D
|
|
OF
|
マット・ラポータ |
右
|
(招待選手) |
E
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監督
ネッド・ヨストは、03年にミルウォーキーの監督に就任して以来、5年かけてティームの順位を2位まで引き上げた。昨年は82年以来のポストシーズン進出のチャンスではあったが、最後の最後でシカゴ・カブズに逆転を許してしまったのは、カブズ監督ルー・ピニエラの方が一枚上手だったということかもしれない。しかし、ヨストが采配を揮った5年間で若い選手たちが着実に力を伸ばしてきているのは確かだ。名監督ボビー・コックスの下で磨いた監督術が今年こそ実を結ぶかもしれない。
評価:C
期待の若手
ブルワーは果たしてブルワーになれるのか。そういう冗談を言ってみたくなるのが、06年の新人ドラフトで第2巡指名を受けてプロ入りした遊撃手ブレント・ブルワーのことである。昨年Low A級では、打率は.251と低かったものの、42盗塁と持ち前のスピードを披露した。三振170個という振り回しがちの打撃を改善していけば、30本塁打、30盗塁をマークできる素材である。守備ではその強肩が災いして、暴投による失策が多い。遊撃手にはJ・J・ハーディ、昨年のフューチャーズゲームに出場したアレシデス・エスコバルがいるので、ブルワーを中堅手に移動させようという話もあるらしい。