概観
昨年のミネソタ・トゥインズは、7月のルイス・カスティヨのトレードを発端にホアン・サンタナ、トリイ・ハンターなどの主力選手がティームを批判、9月には、94年からティームの人事を一手に引き受けて来た統括テリー・ライアンが辞意を表明するなど暗いニューズが続き、最終成績も79勝83敗で00年以来7年ぶりに勝率5割を下回って、アメリカンリーグ中地区3位に沈んでしまった。このオフシーズン中にサンタナ、ハンターを始め主力選手が何人か抜けたものの、ライアンを引き継いだビル・スミスの動きは悪くない。クリーヴランド・インディアンズやデトロイト・タイガーズの強力なライヴァルに、どう対抗していくだろうか。
先発
ティームの先発スタッフとして4年間で47勝を挙げているカルロス・シルバがシアトル・マリナーズと契約。組織内No.1素材と言われたマット・ガーザを手放し、エースのホアン・サンタナも、若手4選手との交換でニューヨーク・メッツに去った。しかし、春期練習直前に前アリゾナ・ダイアモンドバックスの右腕リバン・エルナンデスと1年契約を結んだのは、いい決断だったと思う。00年から8年連続でふたケタ勝利をマーク。まだ新人だった97年にはポストシーズン合計4勝を挙げて、フロリダ・マーリンズの世界一に貢献している。実績あるヴェテラン右腕の加入によって、他の若手投手にかかる重圧も軽減されることだろう。抜群の制球力でブラッド・ラドキの後継者と目されてきた右腕スコット・ベイカーはようやく期待通りの働きを示した。昨年8月31日のカンザスシティ・ロイアルズとの試合では8回まで完全試合の投球。惜しくもふたケタ勝利には届かなかったが、昨年後半の投球を維持できれば15勝が見込める。制球力では、昨年デビューの右腕ケヴィン・スローウィも負けてはいない。昨年6月にデビューした当初は、投げる試合全てで本塁打を打たれるありさまだったが、9月の再昇格後は29回3分の2を投げて与四球わずか2個、打たれた本塁打は3本と立ち直った。右腕ブーフ・ボンザーは制球を乱して、早い回で崩れる悪い癖がある。しかし、このオフシーズンに減量に成功したことで、06年9月に4勝を挙げた投球を取り戻せそうだ。開幕に間に合うかどうかが難しいところだが、昨年は左肘の手術からのリハビリテイションに一年を費やしたフランシスコ・リリアノが戻れば、サンタナの穴は完全に埋まる。06年には、ブルペンから先発に回ったわずか2ヶ月半の間で11勝をマーク。シーズン通して先発で投げていれば、その年のアメリカンリーグ新人賞だったジャスティン・ヴァーランダーを間違いなくしのいでいただろう。この5人に続く先発投手候補は、『ベースボール・アメリカ』誌でトゥインズ組織内No.1と評されたニック・ブラックバーンが1番手と見られている。昨年は全てリリーフで6試合に登板、防禦率7.71だったが、多彩な変化球と配球の巧みさとが注目されている右腕投手だ。サンタナとの交換でメッツから来た右腕フィリプ・ハムバーは、05年に受けたトミー・ジョン手術から順調に快復を見せているようだ。左腕でローテーション入りが期待されるのは、昨年組織内最多の15勝をマーク、合衆国代表選手としても活躍したブライアン・ダウンジング。
評価:C
救援
右腕ジョー・ネイサンは、現役の中でもトップクラスの安定感を誇るクローザーだ。昨年は4勝2敗37セーヴ、防禦率1.88。2年連続で与えた四球も20個以内と制球力も優れているのだが、昨年は何試合かストライクが投げられなくなるときがあった。前抑えの右腕はマット・ゲリアと下手投げのパット・ニシェクの二人が控えている。ゲリアは73試合に登板して防禦率2.35、ニシェクはティーム最多の74試合登板で防禦率2.94をマーク。両投手とも、左打者にやや打たれている点を除けば、ほぼ完璧な投球内容だった。契約更新したホアン・リンコンは、やや成績が下り坂だが、ベネスエラリーグでは好投。復活の兆しが見えつつある。右肘の故障から戻ったジェシー・クレインも、リンコンとともに以前の投球を再現してもらいたい選手である。06年に66試合で自責点3という驚異的な数字をマークした左腕デニス・レイエスは、肘の故障で不調だった。06年にはポストシーズンの出場メンバーにも選ばれた新人グレン・パーキンズも、左肩の故障でシーズンの大部分を欠場。しかし、今年は二人とも体調万全でシーズンを迎えるだろう。パーキンズには先発ローテーション入りの可能性もあるが、その場合には、昨年24試合登板のカーメン・カリがブルペンに入る。
評価:B
| 先発 |
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| リバン・エルナンデス |
右
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|
B
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| スコット・ベイカー |
右
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C
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| ブーフ・ボンザー |
右
|
|
C
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| ケヴィン・スローウィ |
右
|
|
D
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| フィリプ・ハムバー |
右
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(新人) |
E
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| フランシスコ・リリアノ |
左
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|
C
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| ニック・ブラックバーン |
右
|
(新人) |
E
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| ブライアン・ダウンジング |
左
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(招待選手) |
D
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| ランディ・カイズラー |
左
|
(招待選手) |
D
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| 中抑え |
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| パット・ニシェク |
右
|
|
C
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| マット・ゲリアー |
右
|
|
C
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| ホアン・リンコン |
右
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|
D
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| デニス・レイエス |
左
|
|
D
|
| カーメン・カリ |
左
|
|
D
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| ジェシー・クレイン |
右
|
|
D
|
| グレン・パーキンズ |
左
|
(新人) |
E
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| フリオ・デパウラ |
右
|
(新人) |
E
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| 抑え |
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|
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| ジョー・ネイサン |
右
|
|
A
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捕手
06年の首位打者ジョー・マウアーは、膝の故障で不満の残るシーズンだった。2度の故障者リスト入りで50試合以上を欠場。打率も5分以上下がってしまった。しかし、失策わずか1に5割を超える盗塁阻止率をマークするなど、守りでは影響は見られなかった。攻守ともにMLBトップクラスというマウアーの評価が変わることはない。マイク・レドモンドは、おそらく現役No.1の控え捕手だろう。ミネソタに来てから3年間で打率.312。守っては無失策、盗塁阻止率4割以上と非の打ち所のない働きだ。昨年デビュー試合で3安打を打ちながら捻挫で故障者リスト入りのホセ・モラレスも強肩強打の好捕手と評判である。
評価:A
内野手
06年のMVPジャスティン・モノーも、マウアーと同様にやや不本意なシーズンだった。シーズン前半は打率.295、84打点、24本塁打と大当たりだったが、オールスターゲームの本塁打競争で調子を崩し、後半は打率.243、37打点、7本塁打しか打てなかった。今年はシーズン通して安定した打撃を続け、06年を上回る数字が期待される。物議を醸した昨年7月のルイス・カスティヨ放出後二塁を任されたアレクシ・カシヤは、11盗塁とスピードのあるところを見せたが、守備ではやや不安な面も見られた。今年はタムパベイ・デヴィルレイズから来たブレンダン・ハリスが加わり、二塁はこの二人が争うことになりそうだ。MLB4年目の昨年が初のフルシーズンだったハリスは、主に遊撃と二塁とでプレイし、打率.286、59打点、12本塁打を打った。現時点ではハリスが勝っているが、春期練習中にカシヤが逆転することも大いにあり得る。守備に不安のあったジェイスン・バートレットに代わって、遊撃手にはヒューストン・アストロズでプレイしていたアダム・エヴァレットが入る。打撃は苦手だが、現役遊撃手でも一、二を争う守備力と、シーズン20盗塁をマークしたこともある脚力を備える。三塁にはエヴァレットと三遊間コンビを組んでいたマイク・ラムを迎えた。デビューの年だった00年以来400打数以上打ったことはないが、定着すれば80打点、20本塁打も期待できる。左打者だが、昨年は左投手に対して.348を打っている。昨年のフューチャーズゲームに出場したマット・トルバートは現在三塁守備の練習中。しかし、打撃の巧さは組織内屈指と言われる。06年に正三塁手として活躍したニック・プントは控えに戻る。内野の守りはゴールドグラヴ級のうえ、外野もこなせる貴重な選手だ。
評価:C
外野手
野手の中心だったトリイ・ハンターがティームを離れ、攻守両面での穴は大きい。そこでこのオフシーズン中に、他ティームの外野手を4人も獲得している。タムパベイ・デヴィルレイズから来たデルモン・ヤングは、全試合に出場、打率.288、93打点、13本塁打の成績で、アメリカンリーグ新人賞得票第2位だった。シカゴ・カブズから獲得したクレイグ・モンローは、06年に92打点、28本塁打を打った強打者。試合終盤ではしばしば勝負強さを発揮する。サンタナのトレードでやって来たカルロス・ゴメスは、メッツ組織内では一番の脚力と守備とを備えていると言われている。すでに昨年52試合の出場経験があり、開幕から1番中堅手として起用されるかもしれない。ルール5ドラフトで、再びミネソタに帰ってきたジョー・プリーディーは長打俊足の選手と高い評価を受けている。マイケル・カダイアは、ベストシーズンだった06年から数字を落とし、打率.276、81打点、16本塁打に終わった。しかし、右翼の守備ではMLB最多タイの送球アウト19回をマーク。オフシーズン中に契約延長も発表され、ハンターが抜けた後のティームリーダーとしての役割も担うことになるだろう。02年のドラフト第1巡指名ディナルド・スパンは、打撃が伴ってくれば、ゴメスと遜色のないスピードがある。長打力のあるギャレット・ジョーンズは、外野守備にまだ慣れていない。
評価:C
指名打者
膝に不安のあるジェイスン・クーベルが指名打者として出場することが多くなるだろう。昨年後半は打率.303、28打点、6本塁打と打撃好調で、今年レギュラーを確保できれば、3割、80打点、20本塁打も期待できる。打撃はいいが守備範囲はそれほど広くないクレイグ・モンローは、左腕投手に対する指名打者として起用されることもあるだろう。また、クーベルと同じく膝に不安のあるジョー・マウアーも、シーズンを全うするためにはときおり打撃に専念することも必要だ。
評価:C
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CF
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カルロス・ゴメス |
右
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(メッツ) |
D
|
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DH
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ジェイスン・クーベル |
左
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|
C
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|
C
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ジョー・マウアー |
左
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|
A
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RF
|
マイケル・カダイア |
右
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|
B
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1B
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ジャスティン・モノー |
左
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A
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|
LF
|
デルモン・ヤング |
右
|
(タムパベイ) |
C
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|
3B
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マイク・ラム |
左
|
(ヒューストン) |
C
|
|
2B
|
ブレンダン・ハリス |
右
|
(タムパベイ) |
C
|
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SS
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アダム・エヴァレット |
右
|
(ヒューストン) |
C
|
|
|
|
|
|
|
|
C
|
マイク・レドモンド |
右
|
|
C
|
|
C
|
ホセ・モラレス |
右
|
(新人) |
E
|
|
IF
|
アレクシ・カシヤ |
両
|
|
D
|
|
IF
|
ニック・プント |
両
|
|
C
|
|
3B
|
ブライアン・ブッシャー |
左
|
(新人) |
E
|
|
1B/3B
|
マット・トルバート |
両
|
(新人) |
E
|
|
OF
|
クレイグ・モンロー |
右
|
|
C
|
|
OF
|
ギャレット・ジョーンズ |
左
|
(新人) |
E
|
|
OF
|
ジェイスン・プリディー |
左
|
(新人) |
E
|
|
OF
|
ディナルド・スパン |
左
|
(新人) |
E
|
監督
昨年のロン・ガーデンハイアは、01年にミネソタの監督の任に就いてから初めて勝率5割未満でシーズンを終えた。06年の地区優勝のときには打線の中軸をあまり動かしてこなかったが、ジョー・マウアーの故障欠場に見舞われた昨年は打順を変えてくることが多かった。今年はホアン・サンタナ、トリイ・ハンターの移籍によって、昨年以上に選手起用で腐心する場面もあるだろうが、前ティーム統括テリー・ライアンの発掘した若手を見事に育て上げてきた手腕を発揮して、再び優勝争いへとティームを導いていくはずだ。
評価:B
期待の若手
ホアン・サンタナのトレードは、ニューヨーク・メッツが大きく得したと言われることが多いが、デオリス・ゲラがMLBに昇格したときには、この人事の真価がわかることだろう。06年に17歳でプロ入りした右腕投手は、初年度からローテーション入り。Low A級、High A級の2階級合計で7勝8敗、防禦率2.53をマークしている。昨年は5月に肩を傷めたものの、フューチャーズゲームのメンバーに選ばれた。95マイルを超す速球とチェンジアップとは、すでにMLBでも通用すると言われており、今後は変化球の習得と体力作りとに専念して、3年後のローテーション入りを狙う。