ニューヨーク・メッツ

概観
ニューヨーク・メッツは、2年連続のナショナルリーグ東地区優勝もほぼ確実と見られていた。しかし、夏場からフィラデルフィア・フィリーズの猛追に遭い、シーズン161試合目で首位の座を明け渡してしまい、結局88勝74敗で2位に終わってしまった。しかしこのオフシーズン中に、やや不安のあった先発スタッフにサイ・ヤング賞2回の左腕ホアン・サンタナを迎え、ティーム力は格段に向上した。本拠地シェイ・ステディアム最後の年を飾ることができるだろうか。

先発
サイ・ヤング賞2度選出の左腕ホアン・サンタナを、若手4人との交換でミネソタ・トゥインズから獲得した。昨年は、いつもの年であればほとんど無敵になるシーズン後半に振るわず、この4年間で最低の15勝、MLBで初めてふたケタの負けを喫した。しかし今年で29歳とまだ若いサンタナであるから、昨年13勝のトム・グラヴィンの穴を埋めてなお余りある働きが期待できる。ペドロ・マルティネスは、右肩の故障から昨年9月に復帰。5試合の先発で3勝1敗、防禦率2.57に、投球回数を超える32奪三振と、全盛期の投球を取り戻したように見える。サンタナの加入、マルティネスの復活により、昨年ともに15勝の右腕ジョン・メイン、左腕オリベル・ペレスが先発3番手、4番手を務めるという贅沢なスタッフになる。昨年が初のフルシーズンだったメインは、オールスターゲームまでに10勝、防禦率2.71と好投したが、後半は5勝6敗、防禦率5.53と崩れている。シーズン通して安定した投球のできる体力作りが課題となる。3年ぶりに規定投球回数をクリアしたペレスがさらに好成績を残すためには、制球を乱して自滅する悪い癖を改めていかねばなるまい。5人目の先発投手を争うのは、ティーム最年長、38歳の右腕オルランド・エルナンデスと、06年の第1巡指名右腕マイク・ペルフライとの二人。実績を考慮するならばエルナンデスを起用したいが、06年にメッツに来てから2年続けて故障のために9勝止まり。現在も投球練習のみの調整中で、試合では投げていない。将来性で言えば、もちろん05年の新人ドラフト第1巡指名のペルフライを買う。しかし前回の先発では4回途中7失点で負け投手になり、やや評価が下がっている。右腕ホルヘ・ソサは、昨シーズン当初はローテーションの一角を占め、2ヶ月で7勝を挙げた。今年もスウィングマンとして三面六臂の働きを見せるだろう。かつてフロリダ・マーリンズから第1巡指名されてプロ入りした左腕ジェイスン・ヴァーガスは、昨年2試合の先発で4本塁打を打たれで14失点。果たして再起はなるのだろうか。怪我に弱いためになかなかローテーションに定着できないトニー・アルマスが春期練習に招かれているが、このスタッフにはとても食い込むことはかなわないだろう。
評価:A

救援
メッツのクローザーは、左腕投手としては現役のみならず、MLB史上でもトップクラスというビリー・ワグナー。しかし昨年は夏場に疲れが出たのか、制球を乱して崩れる場面が見られた。あと42セーヴを挙げれば史上5人目の通算400セーヴに到達するが、実はワグナーは、40セーヴ以上をマークした年が2度しかない。終盤での不調はペナントの行方をも左右するだけに、今年はシーズン通して安定した投球が期待される。右腕アーロン・ハイルマンはブルペンに回って急成長を遂げた。06年には74試合で防禦率3.63、昨年はさらに数字が伸びて、81試合登板で3.03と好投した。右腕ジョー・スミスも、横手投げの特長を買われてMLB初年度ながら54試合でマウンドを任された。肘の故障で昨年全休を強いられたが、06年には49試合で防禦率2.60の右腕ドゥアネル・サンチェスが復帰すれば、メッツの試合終盤はかなり安心して見ていられるようになる。故障と言えば、右腕アムビオリクス・ブルゴスも昨年は怪我のために17試合しか投げられなかった。体調万全であれば、投球回数を上回る三振を奪える投手だ。ミルウォーキー・ブルワーズから移籍のマット・ワイズ、タムパベイ・デヴィルレイズから来たブライアン・ストークスはいずれも昨年50試合以上に登板、前オークランド・アスレティックスのルディ・ルゴは新人だった06年に64試合で投げており、いずれもメンバー入りの有力候補だ。ペドロ・フェリシアノは、メッツの左腕投手の中で最も多い78試合に登板して防禦率3.09をマーク、スコット・ショーンワイスは防禦率5.03とやや悪かったものの、70試合でマウンドを務めた。この二人が揃っていれば万全だが、春期練習にはリカルド・リンコンも招かれている。その他の招待選手では、04年に43試合登板の経験があるものの、以後3年間で22試合しか投げていない右腕ネイト・フィールドが、練習試合で防禦率0.00と好投している。
評価:B

先発
ペドロ・マルティネス
A
ホアン・サンタナ
A
ジョン・メイン
B
オリベル・ペレス
B
オルランド・エルナンデス
C
マイク・ペルフライ
D
ホルヘ・ソサ
D
ジェイスン・ヴァーガス
D
トニー・アルマス
(招待選手)
D
中抑え
アーロン・ハイルマン
C
ペドロ・フェリシアノ
D
スコット・ショーンワイス
D
ジョー・スミス
D
ドゥアネル・サンチェス
D
アムビオリクス・ブルゴス
D
マット・ワイズ
(ミルウォーキー)
D
ジェイスン・ストークス
(タムパベイ)
D
ルディ・ルゴ
(オークランド)
D
リカルド・リンコン
(招待選手)
D
ネイト・フィールド
(招待選手)
D
抑え
ビリー・ワグナー
A

捕手
故障の多いポール・ロドゥカと契約更新せず、ジョニー・エストラダはユニフォームも着ないうちに放出。結局08年のメッツの正捕手は、ワシントン・ナショナルズから獲得したブライアン・シュナイダーが務めることになった。シュナイダーの打撃はロドゥカやエストラダには及ばないが、守備力の高さについては誰もが認めるところ。控えのラモン・カストロは、50試合の出場で11本塁打と、突如長打力を発揮した。春期練習には367試合の出場経験を持つラウル・カサノバ他4人が招かれているが、故障者が出ない限り、シュナイダー、カストロのコンビでシーズンをまかなっていけるだろう。
評価:C

内野手
デイヴィッド・ライトとホセ・レイエスとの三遊間コンビは、このティームの宝と言っていい。ティーム創設以来三塁手の人材難で苦しんでいたメッツだったが、昨年のライトは打率.325、出塁率.416、107打点、113得点、30本塁打、34盗塁という素晴らしい数字を残した。失策はやや多いものの、守備範囲は広く、攻走守の揃ったスーパースターに成長したようだ。レイエスは、MVP級の活躍だった06年より打撃成績は落ちているものの、78盗塁で盗塁王。2年連続で四球の数も増えており、MLB屈指のリードオフマンと呼ばれるのにふさわしい選手になった。昨年7月末のトレードでミネソタから獲得したルイス・カスティヨは、移籍後50試合で出塁率.371、10盗塁、失策はわずか2個と、打撃走塁守備あらゆる面でティームに貢献した。ルベン・ゴタイとアンデルソン・エルナンデスはいずれも二塁が本来のポジションだが、カスティヨがいる間は、控えの時期が続くだろう。カルロス・デルガドの昨年の打率.258、87打点、24本塁打は、96年以来最低の数字だった。しかも春期練習中に臀部の筋肉を傷めるなど不安が多い。デルガドの復調が遅れるようだと、バッテリー以外の全てのポジションをこなせるヴェテランのデミオン・イーズリィも一塁を守る場面が多くなるかもしれない。招待選手のオルメド・サエンスは左投手に滅法強い選手。カスティヨの加入で二塁の定位置を奪われてしまったホセ・バレンティンは、内野外野どこでも守れるスウィッチヒッターとしてMLB復帰を目指す。
評価:B

外野手
モイセス・アロウがヘルニアの手術を受けたために、開幕から1ヶ月はメンバーから外れることになった。昨年もシーズン中盤に3ヶ月近く欠場しているが、87試合の出場ながらも打率.341、49打点、13本塁打をマークした打力はやはり捨て難く、一日も早い復帰が待たれる。中堅手のカルロス・ベルトランは昨シーズン終了後に両膝の手術を受けた。昨年ティーム首位の112打点、33本塁打を打ち、抜群に広い守備範囲を備えたベルトランに、故障の影響は出るのだろうか。この故障者二人を現在カヴァーしているのは、シカゴ・カブズから獲得したアンヘル・パガン。練習試合では4割を超える高打率を保っている。ショーン・グリーンが抜けた後の右翼は、長打力のあるライアン・チャーチと、打撃が巧く機動力に長けたエンディ・チャベスとが併用されるようだ。ただ、いずれも左打者であるので、招待選手のブレイディ・クラークにはMLB復帰のチャンスになるかもしれない。昨年は出場機会に恵まれなかったが、ミルウォーキー・ブルワーズ時代にはしぶとい打撃と広い守備範囲とで正中堅手の座を占めていた選手だ。マーロン・アンダースンは昨年終盤にロサンジェルス・ダジャーズから来て、43試合の出場で25打点。そのうち24点は得点圏に走者をおいた場面でマークしたという驚くべき勝負強さを発揮した。
評価:C

SS
ホセ・レイエス
A
2B
ルイス・カスティヨ
A
CF
カルロス・ベルトラン
A
3B
デイヴィッド・ライト
A
1B
カルロス・デルガド
B
LF
モイセス・アロウ
B
RF
エンディ・チャベス
C
C
ブライアン・シュナイダー
(ワシントン)
C
C
ラモン・カストロ
D
C
ラウル・カサノバ
(招待選手)
D
IF/OF
デミオン・イーズリィ
C
IF
ルベン・ゴタイ
D
IF
アンデルソン・エルナンデス
(新人)
D
1B/3B
オルメド・サエンス
(招待選手)
D
IF/OF
ホセ・バレンティン
(招待選手)
D
OF
ライアン・チャーチ
(ワシントン)
D
OF
アンヘル・パガン
(カブズ)
D
OF/IF
マーロン・アンダースン
C
OF
ブレイディ・クラーク
(招待選手)
C

監督
ウィリー・ランドルフはニューヨーク・メッツ監督就任2年目でナショナルリーグ東地区優勝。しかし昨年は、シーズン後半に突如調子を崩したティームを建て直しきれずに、わずか1勝の差で地区タイトルを譲ってしまった。今年はホアン・サンタナという大きな力を手にしたものの、春期練習からすでに、主力選手に故障者が続出している。予定されていたレギュラーが全員揃えば、東地区のライヴァル、フィラデルフィア・フィリーズと甲乙つけ難いティーム力なのだが、今年のこの状況をランドルフはどのように乗り切っていくことだろう。
評価:B

期待の若手
ホアン・サンタナの獲得で、将来有望な若手を4人も失ったニューヨーク・メッツだが、組織内No.1野手と期待されている中堅手フェルナンド・マルティネスは手放さずにすんだ。守備とスピードとでは、ミネソタ・トゥインズに移籍したカルロス・ゴメスに譲るが、打撃、特に長打力ではマルティネスが上だというのが、関係者の見方である。現在19歳のマルティネスは、まだフルシーズンをプレイしたことはないが、これから徐々に経験を積み、将来は一塁手か左翼手として定位置を与えられるだろう。