サンディエゴ・パドレス

概観
ナショナルリーグ西地区連覇を狙ったサンディエゴ・パドレスはシーズン最終試合で敗れ、89勝73敗の同率で並んだコロラド・ロッキーズとワイルドカードを争う1試合限りのプレイオフを行なうことになった。延長13回表に2点を奪ってポストシーズン進出決定と思われながら、その裏3点を奪われ逆転さよなら負けを喫するという苦渋を味わうことになってしまった。サンディエゴの本拠地球場ペトコ・パークは、左中間、右中間が広いため、投手にとっては天国のような場所だが、打者の側からするときわめて長打が出にくい球場ということになる。タイトル奪回のポイントは、いかにして地元での得点力を向上させるかということに尽きるだろう。

先発
右腕ジェイク・ピーヴィは、昨年19勝6敗、防禦率2.54、240奪三振で三冠王。満票でサイ・ヤング賞に選ばれた。惜しまれるのは、コロラド・ロッキーズとのワイルドカードを争うプレイオフに先発して、7回途中6失点でマウンドを降りていることだろう。右腕クリス・ヤングはなぜか勝ち星が伸びない。06年には無安打無得点試合達成かと期待させる投球を2度も披露、昨年は被打率.192という、安打を打たれない投手なのだが、この3年間の勝ち星の合計は32勝。昨年はふたケタにも届かない9勝に終わっている。今年がMLB通算23年目になる右腕グレッグ・マダクスは、さすがに全盛期の投球を期待することはできなくなったものの、88年から20年連続のふたケタ勝利、その間、選手組合のストライキの影響でシーズンが短かった2年間を除く全ての年で30試合以上に先発を務めてきた、信頼できる投手であることは変わらない。この3人で50勝を挙げれば、西地区のタイトル奪回は十分に可能と思われる。先発4番手以降を争うのは、まず3年ぶりでパドレになった右腕ジャスティン・ジャーマノ。最初の9試合の先発で5勝1敗、防禦率2.67と好投。夏場以降やや勢いが衰えて、結局7勝10敗、防禦率4.46の成績には終わったものの、シーズン通して安定した投球ができればふたケタ勝利が狙えそうだ。度重なる故障でついにシカゴ・カブズから放出された右腕マーク・プライアは、故郷のサンディエゴで復活を目指す。03年にマークした18勝、防禦率2.43、245奪三振は、昨年のピーヴィと比べても全く遜色のない数字だった。ロサンジェルス・ダジャーズと契約しながら、故障のために18試合しか投げられずに放出された左腕ランディ・ウルフもローテーション入りが期待される投手。03年の16勝10敗、防禦率4.23、177奪三振をピークに、以後は故障で規定投球回数未満しか投げられていない。03年の新人ドラフト第1巡指名右腕ティム・ストーファーは、昨年わずか2試合の登板で防禦率21.13。ローテーションはおろか、開幕メンバー入りさえも危ない。
評価:B

救援
昨年史上初の通算500セーヴをマークした右腕トレヴァー・ホフマンが、コロラド・ロッキーズとの1試合プレイオフで2点差を守りきれずに敗れるとは誰も予想しなかっただろう。しかし、04年から4年連続40セーヴ以上、防禦率2点台とシーズン通しての数字は安定しており、41歳という年齢もあまり不安材料にはならなさそうだ。ヒース・ベルとクラ・メレディスとの両右腕は、昨年ともに80試合以上マウンドに登る働きを見せた。三振を奪えるベルと、制球力に優れたメレディスという具合に、バランスのとれたコンビである。昨年がMLBデビューだった右腕ケヴィン・キャメロンは、58イニングを投げて1本も本塁打を打たれていない。例年、左の救援投手の人材難で苦労するサンディエゴだが、現在40人枠にウィルフレド・レデスマ、ジョー・サッチャー、ジャスティン・ハムプスンの3人が登録されている。レデスマは、昨年途中ロイス・リングとの交換でアトランタ・ブレイヴズからやって来た。昨年はほとんど救援で投げていたが、デトロイト・タイガーズ時代にはローテーション入りも期待されていた投手である。昨年途中にミルウォーキー・ブルワーズから獲得したサッチャーは、MLB初年度ながら22試合の登板で防禦率1.29をマーク。ハムプスンも39試合で防禦率2.70と好投を見せている。先発投手としても実績のあるショーン・エステスやグレンドン・ラッシュ、06年の新人ドラフト第2巡指名のウェイド・ルブランクもメンバー入りを狙う。
評価:C

先発
ジェイク・ピーヴィ
A
クリス・ヤング
B
グレッグ・マダクス
B
ランディ・ウルフ
(ダジャーズ)
C
マーク・プライア
(カブズ)
C
ジャスティン・ジャーマノ
C
ティム・ストーファー
D
エンリケ・ゴンサレス
(アリゾナ)
D
ショーン・エステス
(招待選手)
D
グレンドン・ラッシュ
(招待選手)
D
中抑え
ヒース・ベル
D
クラ・メレディス
D
ウィルフレド・レデスマ
D
ジョー・サッチャー
(新人)
D
ジャスティン・ハムプスン
D
ケヴィン・キャメロン
D
ウェイド・ルブランク
(招待選手)
E
抑え
トレヴァー・ホフマン
S

捕手
両打ちのジョシュ・バードと、昨年途中シカゴ・カブズから来たマイケル・バーレットとが相手投手やティームの状況に応じて、交代でマスクをかぶることになりそうだ。昨年初めて100試合以上に出場したバードは、打率.285、51打点、5本塁打とまずまずの数字を残した。06年の自己ベストのシーズンから、昨年はエースのカルロス・サムブラノとのいざこざが原因で成績が落ちたバーレットも、環境が変わって気分一新、打てる捕手としての復活を目指す。ただし、バードとバーレットといずれが本塁を守っても、盗塁阻止率が2割未満というのはいただけない。40人枠に入っているコルト・モートンは、昨年ルーキー級からMLBまで一気に駆け上がった、知られざる逸材。招待選手のニック・ハンドリィは、AA級で20本塁打、盗塁阻止率も30パーセント以上と、攻守両面で優れた数字を残している。
評価:D

内野手
00年の新人ドラフトで全体第1位指名を受けてプロ入りしたエイドリアン・ゴンザレスは、定位置が得られずに力を発揮できなかったが、06年にサンディエゴに来て正一塁手の座についた。昨年はほぼ全試合に出場してティーム首位の100打点、30本塁打を打った。一塁手としては抜群に守備範囲が広く、近い将来ゴールドグラヴに選ばれるかもしれない。アリゾナ・ダイアモンドバックスから来たトニー・クラークは、ゴンザレスの控えというよりも、試合終盤の勝負どころでの代打として主に起用される。遊撃手のハリル・グリーンは、昨年は故障もなく、ベストのシーズンを送ることができた。打率は.254と低かったものの、97打点、27本塁打は前年からほぼ倍増。11失策と守りも堅かった。しかしアトランタ・ブレイヴズで活躍したマーカス・ジャイルズは、またしても故障で116試合にしか出場できず、シーズン終了後放出された。今年の二塁は、守備の堅いイグチ・タダヒトがレギュラー。その他の二塁手には、ルール5ドラフトでミルウォーキー・ブルワーズから獲得したカリクス・クラビー、昨年のフューチャーズゲームに出場し、MLBでのプレイも経験したクレイグ・スタンズベリー。06年の新人ドラフト第1巡指名マット・アントネッリは、招待選手ながら周囲からの評価は最も高い。新人ながら正三塁手に抜擢されたクズマノフは、シーズン前半打撃不振に苦しんだものの、オールスターゲーム以降は.317、37打点、11本塁打と調子を上げてきている。昨年までミネソタ・トゥインズでプレイしていたルイス・ロドリゲスは、内野ならどこでも守れるうえに、スウィッチヒッターなので、メンバー入りする可能性は高い。ただし、守備はさほどうまいとはいえない。オスカル・ロブレスも内野ならどこでもこなせる選手だが、この2年間はあまり出場機会に恵まれていない。
評価:B

外野手
今年6月に38歳になるヴェテラン、ジム・エドモンズがセイントルイス・カーディナルズから獲得した。ゴールドグラヴ選出8回という巧守は、マイク・キャメロンの抜けた中堅を埋めてくれるだろうが、心配なのは昨年試合中にフェンスに激突した際の後遺症。打撃も04年の.301、111打点、42本塁打から3年連続で数字が落ちている。ブライアン・ジャイルズは、ピッツバーグ・パイレーツ時代には100打点以上が3回、30本塁打が4回という強打者だったが、サンディエゴに来てからはフィル・ネヴィン、ライアン・クレスコ、ビニ・カスティヤたちと同様に、すっかり長い当たりが出なくなってしまった。しかし、優れた選球眼と出塁率の高さとを買われて、1番や2番打者として活躍している。昨年は主にミルトン・ブラドリィが守っていた左翼には、昨年代打で活躍したスコット・ヘアストンと、組織内No.1野手との呼び声がかかるチェイス・ヘッドリィとが併用されるようだ。ポール・マカナルティは、マイナーリーグ時代から長打力を期待されているが、もともとが一塁手であるため、外野守備には不安が残る。40人枠に登録されている外野手はこの4人だけで、あとは内野手のカリクス・クラビーが掛け持ちする他、春期練習に招かれている、両打ちのジェフ・ダヴァノンや左打ちのジョディ・ゲラト、新人ではヴィンス・シニシ、ウィル・ヴェナブルの中から名前が加えられるかもしれない。
評価:C

LF
スコット・ヘアストン
D
RF
ブライアン・ジャイルズ
B
1B
エイドリアン・ゴンザレス
B
CF
ジム・エドモンズ
(セイントルイス)
B
SS
ハリル・グリーン
C
C
ジョシュ・バード
D
3B
ケヴィン・クズマノフ
D
2B
イグチ・タダヒト
(フィラデルフィア)
D
C
マイケル・バーレット
C
C
コルト・モートン
(新人)
E
C
ニック・ハンドリィ
(招待選手)
E
1B
トニー・クラーク
(アリゾナ)
C
IF
オスカル・ロブレス
(ダジャーズ)
D
IF
ルイス・ロドリゲス
(ミネソタ)
D
IF
カリクス・クラビー
(新人)
E
3B/OF
チェイス・ヘッドリィ
(新人)
E
1B/OF
ロバート・フィック
(招待選手)
D
IF
エドガー・ゴンザレス
(招待選手)
E
IF
マーシャル・マクドゥガル
(招待選手)
E
OF
ポール・マカナルティ
(新人)
D
OF
チップ・アムブレス
(招待選手)
D
OF
ジョディ・ゲラト
(招待選手)
D
OF
ジェフ・ダヴァノン
(招待選手)
C
OF
ヴィンス・シニシ
(招待選手)
E
OF
ウィル・ヴェナブル
(招待選手)
E

監督
バド・ブラックの、ロサンジェルス・エンジェルズ・オヴ・アナハイムの投手コーチからサンディエゴ監督に転じて最初の年は、あとわずか1イニングでポストシーズン進出を逸してしまった。広い本拠地球場を活かすために、投手力の強化に力を入れてきたが、MLB首位の防禦率3.72をマークさせたのは見事だった。あとは投手を支える得点力をいかにして向上させるかが課題だが、エンジェルズ監督マイク・シオシアが得意としてきた機動力を取り入れて、積極的に点を取りにいく野球を目指してくるのではないだろうか。
評価:C

期待の若手
チェイス・ヘッドリィは、ペトコ・パークの広い外野でも長打力を発揮できるだろうか。05年の新人ドラフトで第2巡指名を受けてプロ入りしたヘッドリィは、昨年AA級で打率.330、78打点、20本塁打を打ち、組織内トップクラスの長打者として、俄然注目を浴びた。昨年6月にケヴィン・クズマノフが腰痛で休んだときにMLBデビューを果たしているが、このときの成績は8試合の出場で、打率.222で打点も本塁打もなし。しかし春の練習試合ではこれまでのところ打撃好調で、もしこのまま開幕メンバーに残ることができれば、クズマノフに代わる三塁手か、あるいは、まだレギュラーの決まっていない左翼かに定着すると思われる。