概観
バリー・ボンズの通算本塁打新記録で沸いたサンフランシスコ・ジャイアンツだったが、肝心のティーム成績は71勝91敗でナショナルリーグ西地区5位。03年の地区優勝を最後に、4年連続で勝ち星が減り続けている。大方の予想していた通りにクラブはボンズと再契約を交わさず、いろいろな意味で重荷を下ろすことができたのではないだろうか。ヴェテラン偏重のメンバー編成から、試行錯誤を繰り返しつつも、徐々に若手への移行が進められているが、果たして将来のスターは誕生するのだろうか。何よりも、今年のジャイアンツは西海岸移転50周年に当たっている。記念の年を飾るのにふさわしいシーズンにしたいものである。
先発
昨年サンフランシスコ湾の対岸から7年間1億2,600万ドルの契約でやって来た左腕バリー・ジトの初年度は、かなり不満の残るシーズンだった。打線の後押しがなかったとは言え、勝ったり負けたりを繰り返す不安定な投球ぶりで、通算防禦率はMLB8年間で最も悪い4.53。シーズン最後の2試合に連勝しなかったら、6年間続いたシーズンふたケタ勝利も途絶えるところだった。昨年ティーム首位の14勝を挙げたのは左腕ノア・ローリーだった。制球難に苦しみながらも、打たせる投球を心掛けて前年の7勝から見事に立ち直ったが、腕の故障で9月を全休しなければならなかったのは残念だった。オフシーズン中にはニューヨーク・ヤンキーズへのトレードの噂もささやかれたが、サンフランシスコの先発スタッフに残ることになりそうだ。06年に13勝の右腕マット・ケインは、昨年ナショナルリーグで第10位の防御率3.65に、披打率.235と好投しながら、やはり得点力不足に祟られて7勝16敗と大きく負け越してしまった。06年のドラフト第1巡指名右腕ティム・リンスカムが5月にデビューすると、24試合で先発を務めて7勝5敗、防御率4.00。投球回数を上回る150三振を奪う活躍を見せた。昨年途中にマット・モリスをピッツバーグ・パイレーツに譲り渡してから5人目の先発投手の人材探しは続いている。今年ローテーション入りを争うのは、この2年間ロングリリーフ役で実績を作ってきた右腕ケヴィン・コレイア、組織内トップクラスの左腕投手と評価されてきたホナタン・サンチェスの二人。安定感ではコレイアが、三振を奪える球威を持っているという点ではサンチェスが、それぞれ勝っている。昨年4試合先発した新人左腕パトリック・ミシュや、04年に先発で11勝をマークした経験のあるヴェテラン右腕ビクトル・サントスは、春期練習でいいところを見せなければ、開幕メンバーに残るのは難しいかもしれない。かつては組織内No.1の投手とまで言われた右腕メルキン・バルデスは、06年にトミー・ジョン手術を受けた。このままですっかり名前を忘れられてしまいかねない。
評価:C
救援
故障続きのアルマンド・ベニテスを、昨年5月に放出。代わってクローザーを務めたのは右腕ブラッド・ヘネシィだった。ヘネシィは6月末から8月にかけて14連続セーヴを挙げたものの、9月には3度のセーヴ失敗、防禦率5.40と数字を落とした。そのヘネシィを引き継いで4セーヴをマークした右腕ブライアン・ウィルスンが、そのまま今年のクローザーに抜擢され、ヘネシィは前抑えというスタッフになりそうだ。06年にトミー・ジョン手術を受けている右腕タイラー・ウォーカーは、昨年8月にサンフランシスコに復帰して防禦率1.26と好投した。04年に23セーヴをマークしているウォーカーには、ウィルスンが伸び悩んだときの臨時クローザーという役割もある。ランディ・メッセンジャーとヴィニー・チャークとは、二人合計で117試合に登板。ケヴィン・コレイアが先発に移動したとしても、影響はほとんどないだろう。しかし、春期練習に招かれているヴェテランのスコット・ウィリアムスンが復帰できれば、サンフランシスコのブルペンはさらに層が厚くなる。左腕では、ヴェテランのスティーヴ・クラインが今年も健在。昨年の防禦率4.70は自身ワーストの数字だったものの、10年連続で67試合以上にマウンドを務めている体力は衰えていないようだ。63試合登板のジャック・タシュナーの防禦率も5.40と高かったが、クラインとは異なる、三振を奪えるタイプの左腕投手である。昨年12月のルール5ドラフトで指名されたホセ・カペヤンは、ボストン・レッドソックスの短期A級ローウェルで14試合に先発、4勝3敗、防禦率3.69、71奪三振をマークしている。タシュナーとともに、三振を奪えるワンポイント救援として出番が与えられるかもしれない。
評価:D
| 先発 |
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| バリー・ジト |
左
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B
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| マット・ケイン |
右
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C
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| ノア・ローリー |
左
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|
C
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| ティム・リンスカム |
右
|
|
C
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| ケヴィン・コレイア |
右
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|
D
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| ホナタン・サンチェス |
左
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|
D
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| パトリック・ミシュ |
左
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(新人) |
E
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| ビクトル・サントス |
右
|
(招待選手) |
D
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| メルキン・バルデス |
右
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(新人) |
E
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| 中抑え |
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| ブラッド・ヘネシィ |
右
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|
D
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| タイラー・ウォーカー |
右
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|
D
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| ランディ・メッセンジャー |
右
|
|
D
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| ヴィニー・チャーク |
右
|
|
D
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| スティーヴ・クライン |
左
|
|
C
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| ジャック・タシュナー |
左
|
|
D
|
| ホセ・カペヤン |
左
|
(新人) |
E
|
| ビリー・サドラー |
右
|
(新人) |
E
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| スコット・ウィリアムスン |
右
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(招待選手) |
D
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| 抑え |
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| ブライアン・ウィルスン |
右
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|
D
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捕手
ゴールドグラヴ2回受賞の名手ベンジー・モリナは昨年、MLB10年間で最も多い139試合に出場、そのうち125試合で先発した。81打点はティーム首位の数字、2年連続で19本塁打と長打力も発揮している。ここ3年続けて捕逸がふたケタと、やや動きは衰えてきているものの、攻守両面でサンフランシスコには欠かせない選手である。控えは、3年目のエリエセル・アルフォンソと2年目のギエルモ・ロドリゲスとが争う。アルフォンソは、06年に87試合で12本塁打をマークしている、打てる捕手。ロドリゲスも出場試合数は39と少なかったが、得点圏打率.409と勝負強い打撃を披露した。
評価:C
内野手
バリー・ボンズが去って、ティーム最年長選手になった遊撃手オマル・ビスケルは、前年から打率を5分も落としてはいるものの、確実に当てていく打撃で、今年も2番打者として働いてくれるだろう。12度目のゴールドグラヴ賞には惜しくも選ばれなかったが、受賞者のジミー・ロリンズよりも、守備率とアウト参加数とで優れた数字を残している。ここ3年間は打線の中心として活躍していた二塁手レイ・ダラムは、06年の.293、93打点、26本塁打から、昨年は.218、71打点、11本塁打とひどい落ち込みようだった。二遊間がほぼ決まっているのに対して、一塁と三塁とは今のところ未定。一塁定着が期待されているのは両打ちのダン・オートマイアーで、昨年は62試合の出場で、打率.287、16打点、6本塁打の数字を残した。長打者になれる素質は十分に備えているが、もともとの守備位置が外野手なので、この春期練習では一塁守備の練習に時間を割かなければならない。ティームの主力打者だったペドロ・フェリスが抜けた三塁には、ヴェテランのリッチ・オーリリアが入る予定になっている。3年ぶりにサンフランシスコに戻ったオーリリアだったが、首と太腿裏との故障で昨シーズンは3分の1を欠場。ダラムと同様に再起が待たれる選手である。脚力のあるケヴィン・フランゼンは内野だけでなく、昨年は外野でも起用された。しかし春期練習中の出来次第では、ダラムやオーリリアを押しのけて定位置を獲得できるかもしれない。昨年MLBデビューを果たしたエウヘニオ・ベレスも、AA級で49盗塁をマークした俊足の持ち主だ。二塁手が本来の守備位置だが、肩が強いので外野手としても十分なプレイができる。06年にMLBに呼ばれているトラヴィス・イシカワは、昨年AA級で.214しか打てず、一塁定着のチャンスが遠のいてしまった。
評価:C
外野手
新しい本塁打記録を樹立したバリー・ボンズが抜けることになるが、その影響でティーム力が大きく低下するということもないだろう。長打力で相手投手に威圧感を与えていたとはいえ、好不調の波が大きかったし、両膝の故障で左翼の守備はすっかり衰えていた。ボンズに代わる中心打者にと期待がかかるのは、フィラデルフィア・フィリーズから5年契約で迎えたアーロン・ロワンド。昨年は自身ベストの打率.309、89打点、27本塁打をマークしてオールスターゲームにも出場。故障を恐れないプレイでゴールドグラヴにも選ばれた。通算238盗塁の脚力を持ち、守備範囲も広いデイヴ・ロバーツは左翼に回る。故障が多いのが玉に瑕で、規定打席を超えたことが一度しかないものの、04年のアメリカンリーグ優勝決定シリーズでボストン・レッドソックスに逆転優勝を呼び込むきっかけとなる盗塁を決めるなど、ここ一番での活躍が光る選手である。ティームで最も多い155試合に出場したランディ・ウィンが右翼。打率.300もティーム首位だったが、3番打者を任される予定の今年は、80打点、20本塁打の数字もクリアしたいところだ。この3人で外野手はほぼ決まりだが、控えに回る若手もなかなかの実力者揃いである。昨年ジャイアントの仲間入りをしたフレッド・ルイスは、わずかデビュー3試合だった5月13日に全塁打をマーク。昨年AAA級で.333をマークしたネイト・シアホルツも初年度で.304を打つ活躍を見せた。シーズン終盤にピッツバーグ・パイレーツから獲得したラジャイ・デイヴィスは、リードオフマンに定着して17個の盗塁を決めている。
評価:C
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LF
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デイヴ・ロバーツ |
左
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|
C
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|
SS
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オマル・ビスケル |
両
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A
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RF
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ランディ・ウィン |
両
|
|
C
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|
C
|
ベンジー・モリナ |
右
|
|
B
|
|
CF
|
アーロン・ロワンド |
右
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(フィラデルフィア) |
B
|
|
2B
|
レイ・ダラム |
両
|
|
C
|
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3B
|
リッチ・オーリリア |
右
|
|
C
|
|
1B
|
ダン・オートマイアー |
両
|
|
D
|
|
|
|
|
|
|
|
C
|
エリエセル・アルフォンソ |
右
|
|
D
|
|
C
|
ギエルモ・ロドリゲス |
右
|
(新人) |
E
|
|
1B
|
トラヴィス・イシカワ |
左
|
(新人) |
E
|
|
IF/OF
|
ケヴィン・フランゼン |
右
|
|
D
|
|
IF/OF
|
エウヘニオ・ベレス |
両
|
(新人) |
E
|
|
OF
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ラジャイ・デイヴィス |
右
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|
D
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|
OF
|
フレッド・ルイス |
左
|
|
D
|
|
OF
|
ネイト・シアホルツ |
左
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(新人) |
E
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監督
ブリュス・ボシは、サンディエゴ・パドレス組織内で24年間働いた後、昨年サンフランシスコの監督に就任した。サンディエゴ時代には小刻みな継投と、バントを多用する攻撃とで地区優勝4回、リーグ優勝1回という実績を残しているが、サンフランシスコでの1年目は、そういう持ち味を活かすチャンスがほとんどなかったのかもしれない。とは言うものの、ブルペンが充実し、スピードのある若手がデビューしようとしている今年は、そういう意味でティーム再建の足がかりとなるかもしれない。
評価:C
期待の若手
昨年のフューチャーズゲームに選ばれたブライアン・ボコックは、06年の新人ドラフトで第9巡指名を受けてプロ入りした。同じ年のドラフトで追加第1巡指名を受けたエマニュエル・バーリスは、ボコックと同様にスピードを備えた遊撃手。しかし、抜群の守備を誇るボコックの方が、これまでのところ一歩リードしているようだ。昨年は振り回す打撃で苦しんだものの、最後はLow A級サンノゼで39試合に出場、打率.292、26盗塁の好成績を残してシーズンを終えた。今年で41歳になるオマル・ビスケルの守備位置を受け継ぐのは、きっとこのボコックだろう。