テキサス・レンジャーズ

概観
昨年のテキサス・レンジャーズは、5月に9勝20敗と大きく負け越し。さらに新監督ロン・ワシントンと主力選手との間でいさかいがあったとも伝えられ、ティーム内の雰囲気は険悪になっていた。しかし、6月から調子は次第に上向きになり、ほぼ勝率5割の勝ち進むようになった。シーズン最後のシリーズで3連敗したため、オークランド・アスレティックスを抜くことはできず、75勝87敗でアメリカンリーグ西地区4位に終わった。昨年後半の勢いが続くならば、故障で働けなかった主力選手たちを加えて、4年ぶりの勝率5割到達を狙うこともできそうだ。

先発
昨年10勝14敗、防禦率5.16の右腕ケヴィン・ミルウッドが今年もテキサスのエースを務める。地元では8勝4敗、防禦率4.78とまずまずの成績を収めながら、アウェイの試合では2勝10敗、防禦率5.52と振るわなかった。ヒューストン・アストロズでは故障のために活躍の機会がなかった右腕ジェイスン・ジェニングズと契約。打者有利のクアーズ・フィールドで投げた経験が活かせれば、レンジャーズ・ボールパークも恐れるには足るまい。ただ、投手が打席に立つことがないアメリカンリーグでは、ジェニングズの得意の打撃が見られなくなるのは非常に残念なことではある。06年に自身最高の15勝をマークしている右腕ビセンテ・パディヤ、シカゴ・ホワイトソックスでは屈指の好素材と言われていた右腕ブランドン・マカーシーも、昨年は故障のためにシーズンを全うできず、負け数がふたケタに終わっている。先発5番手の最有力候補は、昨年途中にボストン・レッドソックスから獲得した左腕ケイスン・ガッバード。2ティーム合計で6勝を挙げているが、シーズン終盤は疲れが出たのか、コントロールを乱して崩れた。毎年ローテーション定着の期待されながら、昨年は6勝11敗、防禦率5.36でシーズンを終えたキャメロン・ローや、開幕から先発で投げていたが、シーズン中盤の不調でマイナーリーグに送られたロビンソン・テヘダの両右腕は、今年はブルペンで出番を待つことになるようだ。トーマス・ダイアモンドは、04年の新人ドラフト第1巡指名で、組織内No.1投手と評されていたこともあったが、昨年は右肘のトミー・ジョン手術のため全休。評価も急落してしまった。一方、ダイアモンドと同じ年にやはり第1巡指名を受けてプロ入りした右腕エリク・ハーレィはこの3年半の間にマイナーリーグ全ての階級を経験した。今年はいよいよMLB昇格を狙えるところまで来ている。招待選手のジェイミィ・ライトは、昨年中盤にローテーションに加わって3勝3敗、防禦率4.66。終盤にはブルペンに回って防禦率2.05をマークしており、メンバーに残った場合には、スウィングマンとして活躍の場を与えられるだろう。シンシナティ・レッズではついにローテーションに定着できなかった右腕エリサルド・ラミレスにはもう後がない。
評価:D

救援
昨年途中にエリク・ガニェを放出、手術を受けたオオツカ・アキノリと契約更新しなかったため、昨年後半抑えに抜擢された左腕C・J・ウィルスンが引き続き起用されるだろう。7月31日から11連続セーヴ機会成功ではあったが、失点を喫しながらの救援にはやや不満も残る。シンシナティ・レッズから来た左腕エディ・グアルダドには、通算183セーヴの実績がある。かつては"Everyday"とあだ名されるほどタフな投手だったが、肘を傷めたここ数年は休みがちになっている。2年契約を結んだ右腕フクモリ・カズオは、日本で4年連続ふたケタのセーヴを挙げているものの、好不調の波が激しい選手。また、オフシーズン中に肘の手術も受けており、不安視される材料は少なくない。前抑えの右腕ホアキン・ベノイトは昨年70試合で防禦率2.85という安定した数字を認められて2年間の契約延長となった。中抑えには、昨年59試合登板の右腕フランク・フランシスコを筆頭に、35試合に投げたウェズ・リトルトン、29試合登板のスコット・フェルドマンが続く。招待選手のジェイスン・デイヴィスは、昨年制球を乱して不調だったものの、先発も救援もこなせる右腕投手だ。左腕では昨年がMLBデビューだったA・J・マーレイと、先発でも投げているジョン・ライネッカーとの二人がメンバー入りの候補者だ。
評価:D

先発
ケヴィン・ミルウッド
B
ジェイスン・ジェニングズ
(ヒューストン)
C
ビセンテ・パディヤ
C
ブランドン・マカーシー
D
ケイスン・ガッバード
D
キャメロン・ロー
D
ロビンソン・テヘダ
D
トーマス・ダイアモンド
(新人)
E
エリク・ハーレィ
(招待選手)
E
ジェイミィ・ライト
(招待選手)
D
エリサルド・ラミレス
(招待選手)
D
中抑え
ホアキン・ベノイト
C
フランク・フランシスコ
D
ウェズ・リトルトン
D
スコット・フェルドマン
D
ジョン・ライネッカー
D
A・J・マーレイ
(新人)
E
ジェイスン・デイヴィス
(招待選手)
D
抑え
C・J・ウィルスン
D

捕手
今年のテキサスの本塁は、守りの堅いジェラルド・レアードと、マーク・テイシェイラとの交換でやって来た強打のジャロッド・サルタラマッキアとが併用される。故障の多いレアードは、昨年初めて100試合以上でマスクをかぶった。12失策、9捕逸はレアードらしからぬお粗末さだったが、盗塁阻止率.398はさすがの数字だった。サルタラマッキアは2ティーム合計で93試合に出場、打率.261、33打点、11本塁打を打っているが、守備ではレアードに遠く及ばない。ケニー・ロフトンとの交換でクリーヴランド・インディアンズから獲得したマックス・ラミレスは、昨年のフューチャーズゲーム出場選手。マイナーリーグ通算打率.304の強打者で、捕手の他一塁、三塁、外野も守れるところが魅力である。招待選手のアダム・メルーズは、投手のリードに定評がある。05年の新人ドラフトで第3巡指名のテイラー・ティーガーデンは、大学時代には守備に長けた捕手と言われていたが、プロ入りしてから打力も向上している。
評価:C

内野手
内野の中心は遊撃手のマイケル・ヤング。5年連続200安打という安定感のある打撃を披露するが、昨年の打率.315、80得点、94打点、9本塁打はやや不本意な数字ではあった。ヤングとコンビを組む二塁手イアン・キンズラーは、昨年開幕当初は立て続けに長打を放って周囲を驚かせたが、6月下旬に左足の疲労骨折で約1ヶ月メンバーを離れた。シーズン通算では130試合出場、打率.263、61打点、20本塁打、23盗塁をマークし、MLB屈指の長打俊足巧守との評価を得ている。三塁のハンク・ブレイロックは、04年の110打点、32本塁打をピークに、毎年成績が下がっている。昨年は右肩の故障もあって、出場できたのはわずか58試合。ただ、少ない試合数ながらも、打率.293、33打点、10本塁打は悪くない数字だった。シーズンをフルに勤め上げれば、04年に近い数字が残せそうである。健康面で不安の残るブレイロックの控えを狙うのは、トラヴィス・メトカーフとホアキン・アリアスの両若手だ。いずれも昨年がMLBデビューの選手だが、メトカーフはブレイロック欠場中に49試合で先発を務め、打率.255、21打点、5本塁打を打った。かつては組織内トップクラスの野手と高く評価されていたアリアスは、春期練習中に中堅を守っていて肩を傷め、昨年はほとんど試合に出られなかった。テイシェイラがアトランタ・ブレイヴズに移った後は新加入のジャロッド・サルタラマッキアが一塁を守ることが多かったが、今年はベン・ブルサードを迎えた。昨年は一塁、外野、指名打者で起用されたが、出場したのは99試合止まり。それでも、シーズン通して守備位置を固定すれば、80打点、20本塁打は期待できるだろう。ニューヨーク・メッツ時代には堅守強打の二塁手兼三塁手として知られたエドガルド・アルフォンソが2年ぶりのMLB復帰を目指して春期練習に参加。06年にはシーズン当初に驚異的なペースで本塁打を放ったクリス・シェルトンも招かれている。
評価:B

外野手
昨年は100試合以上先発を務めた選手がいない、レギュラー不在の外野だったが、今年も状況はあまり変わらない。しかし昨年の数字から考えると、マイケル・ヤングに次ぐ打率.307をマークして4番にも起用されたマーロン・バード、昨年9月に.309を打ったネルソン・クルス、シンシナティ・レッズでついに素質を開花させ、90試合の出場ながら打率.292、47打点、19本塁打を打ったジョシュ・ハミルトンの3人がレギュラー候補になるだろう。ミルトン・ブラドリィは両打ちで、打力も申し分はないものの、故障が多いのと、素行に問題があるのとが欠点である。エリク・ガニェのトレードで、ボストン・レッドソックスからやってきたデイヴィッド・マーフィは、移籍が大きな転機になった。9月には外野の3つのポジションで先発に起用されて.306を打った。しかし、定位置確保のためには何か抜きん出た技量を見せなければならないだろう。昨年のドラフト第1巡指名を受けてプロ入りのフリオ・ボルボンは、もしMLBに定着できれば、理想的なリードオフマンになれるだろう。一方、春期練習に招かれているジョン・メイベリーは05年のドラフト第1巡指名選手。昨年はマイナーリーグ2階級合計で30本塁打を打っている長打力が魅力の左打者だ。
評価:D

指名打者
左打ちのフランク・カタラノットは、外野守備に不安は多いが、打撃の巧みさには定評がある。三振が少なく、選球眼も優れているので、1番か2番を打たせるのがいいだろう。ただ、故障の多い選手なので、健康面では大いに注意する必要がある。昨年がMLB3年目だったジェイスン・ボッツも課題は守備。昨年は36試合で左翼手を務めてはいるが、指名打者に固定して、打撃に専念させるのが良さそうに思われる。
評価:C

CF
ジョシュ・ハミルトン
(シンシナティ)
C
DH
フランク・カタラノット
C
SS
マイケル・ヤング
A
1B
ベン・ブルサード
(シアトル)
C
3B
ハンク・ブレイロック
C
LF
マーロン・バード
C
RF
ネルソン・クルス
D
C
ジェラルド・レアード
D
2B
イアン・キンズラー
C
C
ジャロッド・サルタラマッキア
D
C
アダム・メルーズ
(招待選手)
D
C
テイラー・ティーガーデン
(招待選手)
E
IF
ラモン・バスケス
D
IF
トラヴィス・メトカーフ
D
IF
ホアキン・アリアス
(新人)
E
IF
エドガルド・アルフォンソ
(招待選手)
D
1B
クリス・シェルトン
(招待選手)
D
OF
ミルトン・ブラドリィ
C
OF
デイヴィッド・マーフィ
(新人)
D
OF
ジェイスン・ボッツ
D
OF
フリオ・ボルボン
(新人)
E
OF
ジョン・メイベリ−
(招待選手)
E

監督
ロン・ワシントンは、オークランド・アスレティックスで三塁コーチを務めていたころから、将来はMLBの監督になれると評判だった。しかし、シーズン序盤はごたごた続き。中盤に入って持ち直したから良かったようなものの、あのまま浮上してこなかったら、内部分裂まで起こしかかった責任を問われて、わずか1年で監督の任を解かれていたかもしれない。今年はそのごたごたから解放され、新たな気持ちでシーズンを迎えたいところだ。
評価:D

期待の若手
さまざまな問題をはらんでいた昨年のマーク・テイシェイラのトレードだったが、アトランタ・ブレイヴズの有望株を多数迎えることができたのは、長い目で見れば、ティームにとっていい判断であっただろう。そのうちの一人、右腕ネフタリ・ペレスは、今年5月でやっと20歳になる若者だが、100マイル近い速球に大きな期待が寄せられている。昨年テキサスに来てからLow A級に昇格し、わずか15イニングしか投げなかったが、27個の三振を奪っている。しかし、12個も四球を与えたコントロールの課題は、早く改善しなければならない。