08年度の概要
昨年9月中旬からの快進撃で、1993年のティーム創設以来初のリーグ優勝を飾ったコロラド・ロッキーズ。なぜワールドシリーズで4連敗したのか理由のわからないまま迎えた今季は、スタートからすでに冴えなかった。開幕試合で勝った後すぐに5連敗。4月16日から4連勝で勝率5割を超えたと思ったら、今度は4連敗でまた5割未満に後退。結局コロラドが5割を上回ったのは、この4連勝のときが最後になった。5月に入るとさらに落ち込み、10日から6連敗、26日のフィラデルフィア・フィリーズとの試合で5対20と大敗すると、今季最長の8連敗を喫した。それでも、オールスターゲーム後から9月5日までに28勝18敗と盛り返し、昨年の再来も期待されたが、6日からの7連敗で万策尽き果てたの感がある。終わってみれば74勝88敗でナショナルリーグ西地区3位と、例年と変わり映えのしないシーズンだった。
投手
最近若い投手の成長が目覚ましかったコロラドだったが、今年はまたリーグ15位の防禦率4.77と数字を落としてしまっている。とりわけ期待はずれに終わったのはジェフ・フランシスとフランクリン・モラレスの両左腕だった。昨年リーグの左腕投手としては最多の17勝をマークしたフランシスは、開幕から2試合で12点を失っての連敗という最悪のスタートだった。5月18日に今季初勝利を挙げたが、いっかな調子は戻らず、6月には左肩を傷めて故障者リスト入りした。シーズン通算4勝10敗、防禦率5.01で、3年続けてきたふたケタ勝利も途絶えている。今年の新人賞の最有力候補とまで言われていたモラレスが良かったのは、6回無失点に抑えた今季初先発試合だけ。4試合続けて大量失点を喫すると、5月にもならない前にマイナーリーグに送られてしまった。
一方、血管の病気から見事に立ち直った右腕アーロン・クックが、MLB7年目で初のふたケタとなる16勝、防禦率3.96をマークしたのは、投手スタッフでの最大の朗報だ。地元クアーズ・フィールドでも防禦率4.19と安定した投球を披露したが、6勝6敗と勝ち星が伸びなかったのは残念だった。3年目の右腕ウバルド・ヒメネスは、4月8日に今季初勝利を挙げてから、13試合連続勝ち星なしの6連敗。しかし、7月に5勝1敗、防禦率1.74と立ち直り、最後は12勝12敗、防禦率3.99、172奪三振の好成績を収めている。ヒメネスが特に素晴らしかったのは、地元で16試合に先発して7勝4敗、防禦率3.31もさることながら、打たれた本塁打が8本しかなかったということだ。
シーズン通してローテーションに加わっていたのがクックとヒメネスしかいなかったため、監督クリント・ハードルは、12人も先発投手を起用しなければならなかった。昨年セイントルイス・カーディナルズで7勝17敗の右腕キップ・ウェルズは、開幕試合で先発を務めたが、ほとんどブルペンで控えていた。右腕の血管に血栓ができたため、およそ2カ月欠場。その後カンザスシティ・ロイアルズに移籍している。左腕マーク・レドマンは、開幕時点では先発ローテーションにいたが、7試合で防禦率7.84と打ち込まれてメンバーから外された。7月に復帰したがやはり調子は戻らず、シーズン後半はマイナーリーグで投げていた。毎年制球に苦しむことが多かった左腕ホルヘ・デラロサは、5月に昇格してすぐにローテーション入り。シーズン前半は3勝5敗、防禦率7.26とひどい内容だったが、オールスターゲーム以降は見違えるように投球が改善され、MLB5年目で初めてふたケタ勝利をマークした。シーズン途中に獲得した左腕グレンドン・ラッシュや、ミネソタ・トゥインズで10勝をマークした右腕リバン・エルナンデスを獲得したが、打者有利のクアーズ・フィールドで投げるには、球威が不足していた。06年の新人ドラフト全体第2位指名右腕グレッグ・レノルズがシーズン中盤からローテーションに抜擢されているが、2勝8敗、防禦率8.13。昨年は新人ながら19試合で先発した右腕ジェイスン・ハーシュは、開幕前に故障者リスト入り。9月になってやっと4試合投げただけだった。
シーズン後半クローザーに定着して活躍した右腕マニー・コルパスが、シーズン早々に崩れてしまった。4月だけでセーヴ失敗が4回、防禦率6.46というのでは抑えは任せられず、結局ここ3年間で81セーヴの左腕ブライアン・フエンテスが、セットアッパーから復職することになった。抑えに戻った当初はときおり打ち込まれたフエンテスも、シーズン後半は16セーヴ、防禦率1.75と抜群の安定感を披露した。一方のコルパスも、次第に投球が落ち着いてきて、6月以降は3.44の数字を残している。テイラー・ブックホルツと、シーズン途中にデトロイト・タイガーズから獲得したジェイスン・グリッリの両右腕が、それぞれ63試合、51試合でマウンドを務めて2点台の防禦率をマークした。2人とも先発で投げた経験もあるので、長抑えとして今後も働いてくれるだろう。MLB3年目のライアン・スパイアは、自己最多の43試合に登板して、防禦率4.06はまずまずの数字だったと言えるだろう。しかし、昨年のリーグ優勝を支えた右腕マット・ハージェス、新加入の右腕ルイス・ビスカイノは、いずれも5点台の防禦率と振るわなかった。また、フューチャーズゲームで100マイル近い速球を投げて注目された右腕ホセ・カペヤンや、組織内屈指の好素材と言われた右腕ホアン・モリヨの両若手はわずか1試合に投げただけ。このまま忘れ去られてしまうのだろうか。
一方、ブルペンの左腕は人材不足。先発、救援両方で投げたラッシュを除くと、マイカ・ボウイー、セドリック・バワーズ、ジョシュ・ニューマンは全員防禦率が9点以上で、フエンテスがクローザーに回ってしまうと、ブルペンに左腕投手はいないのと同じことだった。
野手
打者有利と言われるクアーズ・フィールドを本拠地とするロッキーズは、ティーム創設以来打力を持ち味としてきたが、今季は2005年以来3年ぶりに、ティームに100打点をマークした選手が出なかった。昨年は打率.340、137打点を打って二冠王、MVP得票でも第2位と活躍したマット・ホリデイには、今季は不本意なシーズンであったかもしれない。5月24日までは.321、26打点、8本塁打を打っていたが、左太腿裏を傷めて2週間欠場。復帰後は高打率で打ちまくっていたものの、9月に入って.232と調子を落とし、打率.321、88打点、25本塁打でシーズンを終えた。3年連続シルヴァースラッガー賞に選ばれたとはいえ、前年と比較したら、あまりにも物足りない数字だった。だが、賞に選ばれるより早く、オークランド・アスレティックスへの移籍が発表されており、コロラドでのホリデイの選手生活は5年で幕を閉じた。ティーム首位の99打点をマークした三塁手ギャレット・アトキンズにしても、昨年までは2年続けて打率3割、110打点、25本塁打を上回る成績だったのが、今年は.286、21本塁打だった。
デビュー以来コロラドひと筋にプレイを続けている一塁手トッド・ヘルトンは、今年も故障に苦しめられて、98年に正一塁手になってから初めて出場試合数が100を下回った。打率.264、29打点、7本塁打ももちろん自身最悪の成績で、今後の去就が注目される。ヘルトン欠場で呼ばれたジョー・コシャンスキーは.211しか打てなかったが、打った8安打のうち、本塁打、二塁打がそれぞれ3本ずつで長打が6本と、当たれば大きいということは証明した。コロラドの一塁手については、三塁守備があまり得意ではないアトキンズが、ヘルトン欠場中のシーズン後半に起用されていたが、アトキンズ自身にもトレードの噂があるので、これで固定されるかどうかはわからない。
ライアン・ブラウンと新人賞を争った遊撃手トロイ・トゥロウィツキは、二年目の不運に見舞われてしまった。開幕から打率が1割しかマークできなかったばかりか、試合中に太腿に重傷を負って、4月から2カ月近く休まなければならなくなった。6月下旬に復帰してすぐ5打数5安打を打つなど、調子は少しずつ上向いてきたがシーズン前半の不振を取り返すことはできず、前年の成績を大きく下回った。右翼手ブラッド・ホープも、トゥロウィツキと同じく、シーズン前半は打撃不振と故障とで、満足なプレイができなかった。故障から戻った6月からの3カ月は、75試合で.322、57打点、19本塁打と猛打を揮ったものの、9月に調子を落としたため、2年連続の100打点も、初の打率3割、30本塁打もマークできなかった。
ウィイ・タベラスは、1試合5盗塁も決めるなど快足ぶりを遺憾なく発揮し、68盗塁でタイトルを手にした。しかし、出塁率がわずか.308しかないためリードオフマンとして起用されることは少なく、そのため盗塁数よりも少ない64得点しか挙げられなかった。招待選手からMLB復帰を果たしたスコット・ポゼドニクは故障がちで、先発したのは20試合あまり。かつてはリードオフマンとして期待されていたこともあるコリィ・サリヴァンは、ホリデイが怪我で休んでいたときに少し試合に出たが、ほとんどがマイナーリーグでのプレイだった。昨年100試合に満たない出場ながら、打率.299、51打点、11本塁打の好成績を収めたライアン・スピルボーズは、脇腹を傷めて夏場に1カ月ほど休んだが、打率.313をマーク。来季はホリデイに代わる正左翼手の候補に名前が挙がるだろう。
捕手にはヨルビト・トレアルバとクリス・イアネッタとが併用されてきたが、イアネッタが得意の打撃で定位置を確保しそうだ。昨年はトレアルバが105試合に先発したのに対して、イアネッタは約半分の54試合。今年はシーズン前半こそトレアルバが主にマスクをかぶっていたが、5月から6月にかけて次第にイアネッタの出場機会が増え、夏にトレアルバが膝を故障したためもあったが、9月にはほぼ全試合で先発している。守備には課題が残るが、104試合で65打点、18本塁打を放った長打力は魅力だ。しかし、新しい二塁手は最後まで定まらず、54試合先発のクリント・バーメスから、6月にたった1試合だけ先発で使われたダグ・バーニアーまで、7人が先発メンバーに名前を連ねた。バーメスはシーズン通算.292、44打点、11本塁打、13盗塁。守備も無難にこなすが、04年に鎖骨骨折でシーズンの半分を欠場して以来、故障に弱い。アトキンズに正三塁手の座を譲ったジェフ・ベイカー、03年ドラフトの全体第10位指名イアン・ステュワートは、打撃ではまずまずの数字を残しているが、シーズン通して二塁を守るのは厳しいだろう。アトキンズの去就次第では、どちらかが三塁に戻るのではないだろうか。ステュワートと同じ年にオークランド・アスレティックスから追加第1巡指名を受けたオマー・クウィンタニラも本来の守備位置は遊撃手ながら、こちらは打撃よりも守備の方が良かった。開幕試合で先発に抜擢された新人ジェイスン・ニックスは、打力不足でマイナーリーグに送られた。ニックスと同じく、今年がMLB初年度になったホナタン・エレラはスピードのあるところを披露したが、打撃はまだ力不足のようだ。
MLBにようこそ
組織内の外野手では最も期待されているデクスター・ファウラーがMLBに登場した。04年の新人ドラフトのときには第14巡の指名だったが、大学進学の可能性もあったためで、本当であれば第1巡で名前が呼ばれていてもおかしくない素材だった。プロ入りから3年間はあまり目立った数字は残していないが、今年AA級で3割を打っていよいよ素質の片鱗を示し始めたようだ。北京オリンピックの代表に選ばれたせいでデビューが2カ月も遅れたうえ、13試合で打率.154では、まだ評価の下しようがないが、来季はマット・ホリデイが抜けた外野手の定位置争いに加わってくる可能性は高い。
09年への展望
監督クリント・ハードルは、初代ロッキーズ監督だったドン・ベイラーを打撃コーチに迎え、打力向上を図る。ヘルトンの衰え、ホリデイのアスレティックス移籍に続いて、アトキンズにもトレードの噂が囁かれる中、打線の再編成が行なわれるだろう。アスレティックスでクローザーを務めていたこともあるヒューストン・ストリートの獲得で、フエンテス、コルパスのいずれかが他ティームに譲渡されるのは必至。12月8日からのウィンターミーティングで、どんなトレードが話し合われるのか、興味深いところである。