シカゴ・ホワイトソックス

08年度の概要
2005年に88年ぶりの世界一を成し遂げたシカゴ・ホワイトソックスは、昨年72勝90敗でアメリカンリーグ中地区4位。04年にオジー・ギエンが監督に就任してから最低の数字だった。しかし、今季は若手の成長に支えられて、再びポストシーズン進出を勝ち取っている。開幕からすぐに首位争いに加わったホワイトソックスが一番危なかったのは、4月28日からの7連敗だった。しかし、他のティームも勝ち星を伸ばせなかったため、首位から2.5ゲーム差の同率2位で踏みとどまる。そして、5月14日からの8連勝で負けた分を取り返し、首位に立つと、以降はミネソタ・トゥインズとのペナントレースが展開された。9月23日から直接対決で3連敗を喫し、土壇場で逆転されながらも、雨で順延になっていたデトロイトとの試合に勝ち、162試合目で首位ミネソタと並んだ。そして、地区優勝決定試合でミネソタを降し、89勝74敗の成績で3年ぶりのポストシーズン進出を果たしたが、地区シリーズでは、勢いに乗る東地区優勝タムパベイ・レイズに1勝3敗と敗れている。

投手
昨年の五本柱からジョン・ガーランドが抜けて、右腕ギャヴィン・フロイド、左腕ジョン・ダンクスの若手が同時にローテーションに加えられたが、いずれも急成長を見せた。MLB4年間で8勝しか挙げられなかったフロイドは、開幕から3カ月で9勝をマーク。シーズン後半にはやや打ち込まれる場面があったものの、初めて規定投球回数をクリアしたうえ、ティーム最多の17勝に、防禦率3.84、145奪三振をマークした。昨年MLBにデビューして6勝を挙げているダンクスは、勝ち星こそ多くはなかったが、通算防禦率はティーム首位の3.32で、フロイドを上回る安定感があった。特筆すべきは、ミネソタとの地区優勝決定試合に先発を務め、8回を2安打無失点の投球で勝利投手になったことだろう。左腕マーク・バーリは、シーズン前半にやや負けが込んでいたものの、9月には4勝1敗、防禦率2.29をマークするなど、オールスターゲーム以降に勝ち星を伸ばし、3年ぶりに15勝を挙げた。昨年は15勝で、ティーム一番の勝ち頭だった右腕ハビエル・バスケスは、オールスターゲーム前から夏場にかけて、大量失点を許すことが多かった。最終的には12勝で、2000年以来のふたケタ勝利は続いているが、16敗は1998年にデビューしてから最多の数字だった。この4人だけでシーズンの80パーセント以上に当たる134試合をまかなってきたが、5人目の先発、ヴェテラン右腕ホセ・コントレラスは、シーズン途中でメンバーを離れている。5月までは5勝3敗、防禦率2.89と好投していたが、6月に突如崩れ、7月には右肘を傷めて故障者リスト入り。8月に復帰したものの、今度はアキレス腱の故障で、そのままシーズンを終えた。コントレラスを引き継いだのは、北京オリンピックに呼ばれずにすんだ新人右腕クレイトン・リチャード。最初の3度の先発では打ち込まれたが、8月19日に6回無失点の投球でMLB初勝利。しかし、9月に3連敗するとブルペンに回された。2年目の新人ランス・ブロードウェイも8月に1試合だけ先発を任され、このときに今季唯一の勝ち星を挙げている。

2年連続40セーヴをマークしている右腕ボビー・ジェンクスは、シーズン前半に19セーヴ、防禦率1.95と無難に投げていたが、6月下旬に右肩の故障のため、メンバーを離れた。故障そのものは軽いものだったので、7月下旬にはもうマウンドに戻り、8月は11試合登板でわずか1失点、1勝6セーヴの好投を披露した。ところが、9月に入ると防禦率5.84と突如調子を崩した。セーヴ数も伸びず、今季は30セーヴでシーズンを終えている。ジェンクスの前抑えには、新たにスコット・ラインブリンクとオクタビオ・ドテルの両右腕が迎えられた。ラインブリンクは、7月下旬からおよそ1カ月もメンバーを離れていたため、04年から続いていた70試合以上の登板数が途切れ、今季は50試合でリリーフを務めたのに止まった。しかし、防禦率3.69はここ数年の平均的な数字だった。抑えとしては振るわなかったドテルは、屈指のセットアッパーとして活躍したヒューストン・アストロズ時代の投球を取り戻しつつあるように見える。今年は故障にも苦しめられることはなく、4年ぶりに70試合以上に登板。防禦率は3.76とやや高かったものの、投球回数を上回る92三振を奪っている。右腕D・J・カラスコは3年ぶりにMLBに復帰。コントレラスの故障者リスト入りで昇格したカラスコは、7月、8月と防禦率2点台で好投していたが、9月には8点台と大崩れした。2年目のエーレン・ワッサーマン、今年がデビューというアダム・ラッセルの両新人は、20試合以上で起用されたものの、防禦率はそれぞれ7.78、5.19というから、あまり活躍はできなかった。3年目の新人ニック・マセトは32試合登板で防禦率4.63だったが、ケン・グリフィ獲得のときにシンシナティ・レッズに譲り渡された。

左腕では、マット・ソーントンが、ティーム最多の74試合でマウンドを務めた。防禦率も2.67と安定していただけでなく、投球回数を上回る三振を奪っている。昨年新人ながら68試合も投げているブーン・ローガンは、今年も55試合に登板しているが、防禦率は前年から1点以上も悪い5.97だった。そこで8月にカンザスシティ・ロイアルズからホレイシオ・ラミレスを獲得。ロイアルズでは15試合と登板数は少ないながらも防禦率2.59と好投していたラミレスだったが、ホワイトソックス移籍後は7.62と打ち込まれ、この点では補強は失敗に終わっている。

野手
投手と同じく、打線でも2人の若手の活躍が目を引いた。カルロス・クウェンティンは、アリゾナ・ダイアモンドバックスから昨年12月に獲得。春の練習試合で3割を打ったのが認められて、正左翼手に選ばれた。クウェンティンの好調はシーズンに入っても続き、4月には打率.302、21打点、7本塁打を打ってレギュラーの座を確実にした。シーズン前半は打率は.277とやや低かったものの、70打点、22本塁打と長打力を発揮してオールスターゲームにも選ばれた。このペースで行けば、打点、本塁打のタイトルも狙えたのだが、9月最初の試合で、自分でバットを殴りつけたときに右手首を骨折し、残り試合を全休。しかし、打率.288、100打点、36本塁打の成績で、今季のシルヴァースラッガー賞に選ばれた。もう一人の若手は、今年1月に4年契約を結んだクバ出身のアレクセイ・ラミレス。開幕当初は外野を守ることが多く、打撃も1割台で振るわなかったが、5月中旬に故障者リスト入りしたホアン・ウリベに代わって二塁を任されるようになってから、調子を上げてきた。6月から8月まで3割を打ち続けただけでなく、満塁本塁打を4本も放つなど、満塁の場面で勝負強さを発揮した。シーズン通算.290、77打点、21本塁打、13盗塁の成績で、新人賞得票で第2位になっている。

移籍選手の中ではクウェンティンの活躍が目覚ましかったが、ロサンジェルス・エンジェルズ・オヴ・アナハイムから来たオルランド・カブレラも、悪くない働きだった。内野の守備力強化のためにやってきたカブレラは、安定した守備力を発揮。打撃では主に1番を打ち、出塁率.334、93得点、19盗塁をマークして、リードオフマンの役割を果たしている。一方、今年1月にオークランド・アスレティックスから獲得したニック・スウィシャーは冴えなかった。出塁率の高さを買われて、開幕当初は1番を打っていたが、あまりに打てないので下位に回された。6月には打率.315、23打点、7本塁打といい働きも見せたが、全体に低調で、11月にはニューヨーク・ヤンキーズに譲り渡されてしまった。7月31日には、シンシナティ・レッズのケン・グリフィを獲得して、周囲を驚かせたが、移籍後の成績は41試合に出場して.260、18打点、3本塁打。ときには4番を任されることはあったものの、6番か7番を打つことの方が多く、力の衰えを見せつけられた思いがする。

05年のワールドシリーズMVPになったジャメイン・ダイも、シーズン通して打線の中軸を任され、打率.292、96打点、34本塁打の好成績を収めている。これで通算打点は991点、本塁打は298本になり、来年4月にも大台到達となるだろう。しかし、同じ年に優勝決定シリーズMVPに選ばれたポール・コナーコや、ポストシーズン通算で11打点、4本塁打も打ったジョー・クリーディは不調だった。コナーコは、開幕からの打撃不振に加えて、6月には脇腹を傷めて故障者リスト入り。復帰後の8月、9月で打率.294、27打点、13本塁打を打って、ようやく本来の打撃を取り戻したようだったが、打率.240、62打点、22本塁打は、やはり故障欠場があった03年以来の低い数字だった。腰痛を抱えながらのプレイだったクリーディは、それでもシーズン前半で.252、49打点、16本塁打をマークしていたが、ついに7月下旬に故障者リスト入り。後半はわずか11試合にしか出られなかった。A・J・ピアジンスキの.281、60打点、13本塁打は、ほぼ平年並みの数字。しかし、不安定な守備は相変わらずで、投球を後ろに逸らすことは少なくなったが、盗塁阻止率は2割にも満たない。堅守で知られたトビー・ホールも、故障明けだった今季はすっかり技量が鈍ってしまい、クラブは契約延長を申し出なかった。

クウェンティン、ラミレスが活躍した一方で、伸び悩む若手もいる。MLB4年目のブライアン・アンダースンは、2年ぶりに100試合以上に出場したものの、そのうち先発で出たのは39試合だけ。ほとんどが守備要員としての起用だった。3年目のジェリー・オウェンズは、昨年32盗塁をマークして定位置確保が期待されていた春期練習中の故障で、ほとんどプレイできなかった。昨年クリーディ欠場を補って23本塁打と長打力を発揮した、3年目のジョシュ・フィールズは、今年もクリーディが夏に故障者リスト入りしたときに昇格。しかし、三塁にはウリベが入ったために出番を失い、打った安打は5本だけ、本塁打は1本もなかった。

MLBにようこそ
右腕クレイトン・リチャードは、昨年まではほとんど無名の選手だった。2005年の新人ドラフトで第8巡指名を受けてプロ入りしたが、最初の3年間はすべて負け越している。しかし今季はAA級で6勝6敗、防禦率2.47の成績を挙げてAAA級に昇格。すると今度は6勝無敗、防禦率2.45。44回を投げて与えた四球がわずか4個という素晴らしいコントロールを披露して、フューチャーズゲームではアメリカ選抜の先発投手に指名された。北京オリンピックに連れて行かれるという不穏な噂も流れたが、7月23日についに白靴下を履いた。デビューから3試合続けて5回もたずにノックアウトの憂き目を見たが、8月19日にMLB初勝利を挙げると、次の先発で2勝目。シーズン終盤のローテーションに加われるかと思われたが、また3試合続けて黒星を喫してブルペンに回ることになった。このオフシーズンに先発のハビエル・バスケスが抜けているが、来季の先発候補にはもちろんリチャードの名前も入っていることだろう。

09年への展望
05年の世界一から最下位転落の危機にも陥って一時は批判もされた若手への切り替えは、フロイド、ダンクス、クウェンティン、ラミレスなどの活躍でポストシーズン進出を果たしたことを考えれば、それが計画通りに運んでいるといういい証拠になるだろう。来季に向けて選手の入れ替えはさらに進み、バスケス、スウィシャーはすでにトレードされた。今年のフューチャーズゲームに出場したリチャードやクリス・ゲッツは、来季のレギュラー候補の筆頭となるだろうが、かつては組織内トップクラスの素材と評判をとったこともある、ジョン・ヴァンベンショーテン、ジェイスン・ニックス、ブレント・リリブリッジ、故障や不振でレギュラーの座が遠のいたフィールズ、オウェンズたちが立ち直るかどうかも注目される。