タムパベイ・レイズ

08年度の概要
タムパベイは、ティーム創設から10周年を期して、ニックネームをデヴィルレイズからレイズに改めた。また、開閉式屋根付きの本拠地球場新設計画も発表され、地元の雰囲気はいやが上にも盛り上がっていた。開幕早々に4連敗、3連敗と続いてアメリカンリーグ東地区最下位に沈んだときには、またしてもシーズン負け越しかとも懸念されたが、4月22日から6連勝で一気に首位に浮上、5月8日からさらに6連勝して、昨年の世界一ボストン・レッドソックスとのタイトル争いに正式に名乗りを上げた。オールスターゲーム直前に7連勝、7連敗と大きな浮き沈みも経験したが、シーズン後半が始まってすぐに首位の座を取り戻すと、そのまま逃げ切り97勝65敗の成績で地区優勝となった。レイズの勢いはこれだけでは収まらず、地区シリーズではシカゴ・ホワイトソックスを3勝1敗で退け、優勝決定シリーズでは地区優勝を争ったボストンを第7試合で降し、初のリーグ優勝を成し遂げている。ワールドシリーズではフィラデルフィア・フィリーズの前に1勝4敗で敗れ去ったが、今年が11年目の若いティームにとっては実りの多いシーズンだった。就任3年目の監督ジョー・マッドンは、今年の最優秀監督に選ばれている。

投手
右腕ジェイムズ・シールズは、シーズン前半は勝ち負けの数がほぼ半々だったが、オールスターゲーム以降は勝ち星が増え始め、14試合の先発で7勝2敗、防禦率3.21と好投。シーズン通算では、自己ベストとなる14勝、防禦率3.56をマークしただけでなく、2度の完封勝利を含む3完投と、体力も備わってきた。左肘の故障で開幕には間に合わなかった左腕スコット・カズミアがローテーションに復帰したのは5月のことだった。5月4日の今季初登板のときには4回4失点で負け投手になったものの、その後は5試合でわずか4失点という投球内容で6連勝をマークし、完全に調子を取り戻した。しかし、シールズとは逆に、オールスターゲーム以降のカズミアは低調で、8月は防禦率4.02、9月は5.19と打ち込まれている。ひと月欠場したために、規定投球回数には届かなかったが、4年連続のふたケタ勝利となる12勝、3年連続で投球回数を上回る三振を奪った。

昨年の新人賞第2位のデルモン・ヤングとの交換でミネソタ・トウィンズからやって来た右腕マット・ガーザは、マイナーリーグ屈指の素材と評判を取った投球をついに披露するときが来た。開幕早々に右腕の不調を訴えて2週間ほど休んだが、復帰後の5月に4勝、防禦率2.52をマーク。6月26日のフロリダ・マーリンズとの試合では、打たれた安打はハンレイ・ラミレスの本塁打だけ、10個の三振を奪う投球でMLB初完投勝利を挙げた。9月に勝ち星がなかったため、シーズン通算では11勝に止まったが、ボストン・レッドソックスと争った優勝決定シリーズでは2勝をマークして、MVPに選ばれている。昨年MLBデビューの右腕アンディ・ソナンスタインは、4月19日に初完投初完封勝利を挙げるなど、4月は4勝1敗、防禦率4.42とまずまずのスタートを切り、オールスターゲームまでにティーム一番乗りで10勝をマークした。8月18日に13勝目を挙げたのを最後に勝ち星を伸ばすことはできなかったが、4人目の先発投手としてシーズンを全うした。右腕エドウィン・ジャクスンは、昨年先発スタッフの一員としてシーズンを投げ抜いたのが自信となったのだろう。シーズン前半は5勝6敗、防禦率3.93と勝ち星が伸びなかったが、8月に4勝1敗、防禦率2.27の投球で、自身初のふたケタ勝利をマーク。9月は打ち込まれながらも3勝3敗の五分でまとめて、シールズと並ぶティーム最多の14勝、防禦率4.42の成績を収めた。これでタムパベイには、ティーム史上初めて5人のふたケタ勝利投手が出たことになる。

ここ数年クローザー不在に苦しんでいるブルペンには、昨年セイントルイス・カーディナルズで現役に復帰した右腕トロイ・パーシヴァルを迎えた。シーズン前半は防禦率3.54とやや打ち込まれながらも19セーヴを挙げていたが、7月初めに左太腿裏を傷めて故障者リスト入り。8月には右膝の故障で再び欠場した。9月にメンバーに戻ってからの防禦率は9.45と落ち込み、ポストシーズンのメンバーにも選ばれなかった。パーシヴァルの代役に選ばれたのは、昨年途中にヒューストン・アストロズから獲得していた右腕ダン・ホィーラー。セットアッパーとして投げていたシーズン前半は41試合で防禦率2.38と好投していたが、パーシヴァルを引き継いだ後半は打ち込まれ、8月は防禦率4.26でセーヴ失敗が3度。9月はさらに数字が落ちて防禦率7.36、セーヴ失敗が2度あった。

クローザーに不安はあったが、ブルペンは全体としては強力だった。今年ヒューストンから獲得した左腕トレヴァー・ミラーは、ホィーラーの70試合に次ぐ68試合に登板。過去3年間は先発で起用されていた左腕J・P・ハウェルは、今季は64試合全てが救援登板で、6勝1敗3セーヴ、防禦率2.22の好成績を収めている。5月下旬にパーシヴァルが故障者リスト入りしたときに昇格した右腕グラント・バルフォアは、以後4カ月のあいだ防禦率1点台を維持する抜群の安定感を披露した。ポストシーズンではやや打ち込まれたが、投球回数をはるかに上回る数の三振を奪える速球もは、来季も頼りになるだろう。右腕ジェイスン・ハメルは、カズミアが5月に復帰するまでローテーションに加わり、5試合先発で2勝2敗、防禦率4.88。ブルペンに回ってからは長抑えとして35試合に登板、防禦率4.44の数字だった。このスタッフに、8月にはボルティモア・オリオールズから右腕チャド・ブラッドフォードが加わり、21試合で防禦率1.42と好投した。さらに9月14日には、昨年の新人ドラフト全体第1位指名左腕デイヴィッド・プライスがデビュー。ポストシーズンの出場メンバーに残り、優勝決定シリーズ第7試合では2アウト満塁のピンチを切り抜け、ティームの初優勝を決めるセーヴを挙げている。一方、昨年に26セーヴをマークしている右腕アル・レイエスは、開幕メンバーには選ばれたものの、4月半ばに右肩を傷めて故障者リスト入り。以後はMLBとマイナーリーグを何度か往復したが、8月にマイナーリーグ行きを嫌ってティームを去った。昨年ティーム最多の67試合でマウンドを務めた右腕ゲイリー・グローヴァーも故障続きで、登板したのは29試合。やはり8月にマイナーリーグ入りを拒否して契約解除された。31試合で防禦率3.31をマークしているスコット・ドーマンも、12試合に投げただけで防禦率6.14と振るわず、5月以降は出番がなかった。

野手
昨年、ティーム史上初の40本塁打を打ってカムバック賞に選ばれたカルロス・ペニャが中心打者となるはずだったが、5月までは2割がやっとという打撃不振に苦しみ、6月には左手人差し指を折って1カ月近く欠場している。しかし、復帰後はようやく長打力を取り戻し、オールスターゲーム後の66試合で55打点、17本塁打と活躍した。また、やわらかなグラヴさばきがついに周囲の目に留まり、初のゴールドグラヴに選出されている。06年の新人ドラフト全体第3位指名のエヴァン・ロンゴリアは、開幕前から正三塁手候補の呼び声が高かったが、実際のデビューはやや遅く、4月12日のことだった。最初の2カ月はあまり打てなかったが、ペニャが休んでいた6月に.300、19打点、8本塁打を打つと調子が上向きになり、オールスターゲーム後には4番を任された。ところが、8月に左手首の骨折で故障者リストをすることになった。今シーズン中の復帰は難しいかもしれないと言われていたが、わずか1カ月後にはメンバーに戻り、シーズン終了まで全試合に出場。優勝決定シリーズでは4本塁打を打った。記者投票によって、今年のアメリカンリーグ新人賞にも選出されている。

開幕から4番を打っていた中堅手B・J・アプトンは、3割を超える打率をマークしてはいたものの、5月には1本も本塁打が打てないなど、長打力が低下した。そこで、脚力と出塁率の高さとを活かすため、オールスターゲーム後から2番を打つようになった。打率.273、67打点、9本塁打は、いずれも昨年より低い数だったが、盗塁数は前年の22から44に倍増している。地区シリーズで3本塁打、優勝決定シリーズで7本塁打と、ポストシーズン最多本塁打記録を塗り替える勢いで打ちまくっていたが、ワールドシリーズでは本塁打を打てなかった。カール・クロフォードは、例年に比べてやや打撃が不調だった。開幕当初は2番、オールスターゲーム後にはアプトンに代わって3番を打ったが、打率.273は、3割近い通算打率をマークしているクロフォードとしては低調である。悪いことは重なるもので、8月に右手中指の靱帯損傷で故障者リスト入り。ロンゴリアのように、シーズン中の復帰はかなわなかったが、ポストシーズンから5番打者として復帰。優勝決定シリーズで.345を打つなど、ポストシーズン通算16試合で.290、8打点、2本塁打、7盗塁は、クロフォード本来の数字だった。

MLB初年度には、日本にいたときのような長打力を発揮できなかったイワムラ・アキノリは、出塁率の高さを買われて1番打者に定着。前年より打率、出塁率を落とし、得点も91点にとどまったが、大きな故障もなく、ティーム最多の152試合に出場した。昨年終盤から取り組んでいた二塁守備も無難にこなしている。ガーザとともにミネソタからやって来たジェイスン・バートレットは昨年26失策と、遊撃手としての守備にやや難があったものの、今年は16失策まで減らす進歩を見せている。オールスターゲームをはさんで故障者リスト入りしているが、7月下旬に復帰してからは、それまで2割5分しか打っていなかった打撃も急上昇し、50試合で.331をマークしている。故障に加えて素行不良もあって昨年はMLBでのプレイ機会を与えられなかったウィイ・アイバルは、ロンゴリア欠場時に三塁を務めるなど、内野の4ポジションを全てこなして95試合に出場。打撃不振で遊撃手を外されていたベン・ゾブリストは、過去2年で3本塁打しか打てなかったのが、6月25日から3試合連続本塁打をマーク。バートレットが故障者リスト入りしていた7月には正遊撃手を務め、二塁、遊撃、左翼として先発した9月には打率.321、12打点、5本塁打を放つなど、突如打撃開眼している。ディオネル・ナバロは、ニューヨーク・ヤンキーズ組織内No.1素材と言われた技量をついに発揮した。昨シーズン後半から打力向上の兆しは見えていたが、今季は打率.310、35打点、4本塁打で前半を終え、初めてオールスタゲームに選ばれた。後半はやや調子を落としたものの、攻守両面で大きく成長を遂げている。控えのショーン・リガンズは、MLB3年目で初本塁打を打つなど打撃は良くなってきたが、25人のうちアウトにできたのは1人だけと、やや守備で苦労したようだ。

シーズンを通じてタムパベイの弱みとなったのは、右翼手と指名打者だった。MLB15年のヴェテラン、クリフ・フロイドと契約を結び、指名打者としての活躍が期待されたが開幕すぐに左膝に重傷を負って故障者リスト入りした。また、この3年間で58本塁打を打っているジョニー・ゴメスは、打率が2割にも満たない打撃不振のため、8月にはマイナーリーグに送られた。招待選手からMLB復帰のエリク・ヒンスキは、指名打者、右翼の他に一塁、三塁、左翼もこなし、ティームでは3番目に多い20本塁打を放ったが、打率が.247とやや低かった。シーズン途中にミルウォーキー・ブルワーズから獲得したゲイブ・グロスも13本塁打は打ったが、定位置を確保するには至らなかった。2年目のネイサン・ヘインズ、ジャスティン・ルッジアノ、今年デビューのフェルナンド・ペレスなど、脚力のある新人たちも起用されたが、やはりレギュラー定着はならなかった。そんな中で、ミトコンドリア異常症という難病に苦しんでいたロッコ・バルデッリが1年ぶりにメンバーに復帰し、28試合と少ない出場機会で.263、13打点、4本塁打の成績を収めたのはいいニューズだった。

MLBにようこそ
02年のアプトン、06年のロンゴリア、昨年のプライスと、過去の新人ドラフトで第1巡指名を受けた選手たちの活躍が目覚ましかったが、こうなってはジェフ・ニーマンもうかうかとしていられない。04年に全体第4位指名を受けてプロ入りした右腕投手は、最初の2年は故障で冴えなかったものの、昨年初めてフルシーズンを過ごし25試合に先発を務めて、12勝9敗、防禦率3.98、123奪三振をマーク。フューチャーズゲームではアメリカ選抜の先発に選ばれた。今季は4月13日にMLBデビューを果たし、初先発で6回を1失点に抑えて初勝利も挙げた。次の先発で8失点を喫して負け投手になるとマイナーリーグに戻され、9月に再昇格したときには3試合全て救援で1勝1敗、防禦率4.05だった。

09年への展望
タムパベイの投手力には見るべきものがあったが、得点力不足はシーズン中から指摘されていた。そこで今年ティーム最多勝投手ジャクスンを手放して、デトロイト・タイガーズの成長株マット・ジョイスを獲得したのは、打線強化の第一歩である。その他噂が聞かれるだけでも、ボビー・アブレウ、ジェイスン・ジアムビ、リック・アンキールなど強打者、長打者の名前が並んでいる。